映画レビュー0980 『クラッシュ・ゾーン』

今日はもしかしたら初めてかもしれないノルウェーの映画ですね。

特捜部シリーズのデキの良さから「北欧映画がアツいのでは」と思ってたりするんですが、これはほぼコメディなのであんまり関係ないのかも。

そんな中、ツイッターで某奥様に「ネトフリもうすぐ配信終了やで!」とオススメ&お知らせしてもらったので観ましたよっと。

クラッシュ・ゾーン

Borning 2
監督

ハルヴァルド・ブレイン

脚本

アンヌ・エルヴェダル
リン=ジャネット・キード

原案

ハルヴァルド・ブレイン

出演

アンドレス・バースモ・クリスティアンセン
オットー・イェスパーセン
スヴェーン・ノルディン
ヘンリク・メスタド
ヴェガール・ホール
イーダ・ヒューソイ
マリー・ブロックス
ヤニ・スカヴラン
ヨナス・ホッフ・オフテブロ

音楽

マグヌス・ベイテ

公開

2016年10月12日 ノルウェー

上映時間

97分

製作国

ノルウェー

視聴環境

Netflix(PS4・TV)

クラッシュ・ゾーン

後半に進むにつれて徐々にコメディ感が増していくひどさが良い。

7.0
「もう二度とレースはしない」と誓った男、しかし娘を連れ戻すためにやむなく参戦
  • 一応はレースが題材ではあるものの、レース自体はかなりいい加減
  • それよりも家族再生&友情にコメディを混ぜたアクション映画といった風情
  • 前半より後半の方が笑えてくるなかなか珍しいタイプ
  • 拙いB級感を楽しむ映画でしょう

あらすじ

実はこれ続編らしく、「キャノンレース」という前作があるそうです。今回は「前作観て無くても大丈夫だよ!」という情報から観ることにしたので、前作自体は未鑑賞。確かに前作を観て無くても大丈夫な類の映画ではありました。

主人公のロイは(おそらく)野良レース界隈ではかなり名の知られたレーサーのようなんですが、(おそらく)前作でレース後に逮捕されてしまい収監された模様。

んでこの度めでたくお勤め完了、ということで出所するところからのスタート。どうも交通違反系でブチ込まれたっぽいんですが、人を轢いたわけでもないだろうに(おそらく)実刑2年も食らう違反、ってなんなんでしょね。北欧は厳しいんだろうか…。

(おそらく)刑務所はもうコリゴリだぜってことで彼はレースとは距離をおいて慎ましくホットドッグ屋でバイトして生きていくぞ…と改心したんですが、出所直後にかつての彼の名声を知る男たちがゾロゾロとやってきて「おいレースすんぞ」と。2年も待ってたんやぞ、と。人気者ですわ。

しかし彼にその気はない…ものの、彼の娘とお付き合いしている男がトヨタのピックアップトラックでレース参戦を決め、娘もそれに同乗して着いて行っちゃいまして。

そこに別れた前妻で娘の母親でもあるイングリッドが「連れ戻しなさいよ!」とロイに命じ、やむなく彼は封印したはずの愛車を引っ張り出してきてスタート地点まで行くんですが娘はシカッティングした挙げ句レースはスタート。

娘を連れ戻すことしか頭にないイングリッドはそのままロイに追うように命じ、やむなく追走を始めるロイ。

その他(おそらく)前作から登場のメンバーたちも混ざりつつ、公道を3000km近く走るレースの結末は、そしてロイは娘を無事連れ戻すことができるのか…! というお話になっております。

うますぎないのがいい

んでまあ先に言っちゃえば、当然ロイはやむを得ずレースに復帰することになるわけですが、割とそこに至るまでが結構長くて、おまけにぶっちゃけさして面白くもない…ので「こりゃ外しちゃったかなー」とガッカリ気味に観ていたわけですよ。ネットのレビューサイトでは軒並み低評価だったし。マジカヨと。

でもちょうど彼がレースに参戦を決めた辺りから、結構割り切ったくだらなさが顔を出してきてですね。そこまでの盛り上がりに欠けたテンションの低さから振り子のように盛り返したボーナスポイントも相まってなかなか面白かったですね。最終的には。

オチとかもうひどすぎて「うわこれで終わりかよ!」ってなりましたがそれが許せる、そんな(良い意味で)ダメな映画です。

序盤はやたらといちゃつくだけの娘バカップルと、ただ怒りに任せてロイを急き立てる前妻(とまったくやり返さないロイ)にとにかくイライラしたんですが、そのイライラがなかなか良い伏線になっていたのがお上手。

決して「めっちゃ面白かった!」とか言えるような映画ではないんですが、最終的にはいろいろ許せちゃうという…妙な魅力のある映画でしたね。

おそらくあんまり映画を観ていない人であれば「つまんねーな」で終わるんじゃないかと思うんですが、そこそこ映画(特にアメリカ映画)を観ていると「うますぎないのがかわいくていい」みたいな見え方しちゃう映画ってあると思うんですよ。

この映画はまさにそんな感じで、変に仕込みすぎないし感動に寄せようともしないし、細かいことはすっ飛ばしてバカみたいなことをちゃんと映画にする、そこにちょっとした情熱めいたものを見た気もします。そこが良いなと。

っていうかもう登場人物ほぼ全員バカなんですよ。バカというかダメ人間というか。まあ公道でレースするぞ、なんて人たちなのである程度はわかりきってることではあるんですが。

やっぱりテーマがテーマなので(1しか観てませんが)「ワイルド・スピード」と比べちゃう面があったんですが、僕はあっちはハマらなかった分こっちの方が好きでしたね。あっちはなんかスカしてる感じがあったけど、こっちはもう完全にダメ人間たちがツッコミ役不在のままボケ倒すようなひどい映画(褒めてます)だったので。

レース映画としては期待しないように

ただ「レース映画」ではあるものの、そのレース自体はかなりいい加減でゆるいし、きちんと駆け引きを描いたりもしておらずレース映画として期待すると完全に裏切られるのでそこは注意した方が良いでしょう。レースらしい迫力のあるシーンも多少はあったものの、内容的にレース映画としては下の下です。

何泊かかけて走破しているはずなんですが、睡眠時間をどうするだの給油のタイミングだのその辺のシビアなレース要素はまるで無く、途中途中も割とゆっくりと「お前も頑張ってるな? んー?」みたいな感じでまーゆるい。っていうか全然勝とうとしてない。なんならみんなで遠征してる感。

最後もレースとしてはひどい展開なので、くどいようですが「レースを期待」するのはやめましょう。レース映画だけど。でも全然レースじゃないから。

むしろ「レースを生業にしていた男とその家族」と「レースで培った友情関係」をコメディタッチで描くドラマとして観た方が間違いないです。そう思えばこのB級感、割と許せるんじゃないかなと。

マイナー国故の良さ

やっぱりメジャー路線の映画ではない分少々クセがある面は否めないんですが、そのクセがメジャー路線に飽きてきた人には刺さるニッチ感がたまらない映画な気がしますね。

僕もそうですが、やっぱり基本的に洋画と言えばアメリカ産、たまにイギリス産って感じで観続けていると、この手のマイナー国の映画を挟んだときに“慣れ”に反した展開が新鮮で惹かれちゃう面があると思います。「狙って裏の裏をかく」んじゃなくて、「素で裏の裏に行っちゃった」感じ。それが良いんですよ。

これ大真面目にハリウッド映画でやられたら「クソだなー」って思ってもおかしくない、結構際どいクソ展開(褒めてます)だと僕は思ったんですが、でもそれが面白さ、愛おしさに見えてきちゃうのがマイナー路線の良さだなぁと改めて思いました。

あえて借りに行くほどの映画でもないとは思いますが、観られるチャンスがあるならたまに挟んでみると良いタイプの映画かもしれません。

このシーンがイイ!

ロイを追うフィリップ・モルクのシークエンスがどれもバカバカしくて最高でしたね。車変えろよっていう。

特に途中のガソリンスタンドで追いついたところがもう完全にゾンビ状態でゲラゲラ笑いましたよ。くだらなすぎる。

ココが○

他の人もそうなのかはわかりませんが、僕は観ていて「後半に向けて徐々にくだらなさが加速していく」ように見えてそれがなかなか珍しいし面白いなと思ったんですよね。

本当に最近(ハリウッドにありがちな)「コメディのくせに最後は綺麗にまとめようとしすぎ」な映画にうんざりしているので、最後まで潔くくだらなさを突き通す中学生が作ったかのようなシナリオがむしろ最高だなと。

ココが×

まあとにかく整合性というか、やっぱり「レース」という意味ではまったくナンセンスなのでそこは引っかかる人も多いのではないかなと思います。

あとは娘カップルのイチャイチャぶりね。なんかすごい痛々しくてイライラした。彼氏がバカっぽいからかな。

MVA

知らない役者さんばっかりで新鮮だったんですが、一番良かったのは…この人かなー。

マリー・ブロックス(イングリッド役)

主人公ロイの元妻。

とにかくイラつかせるのがうまい。腹立つ。そしてそれがいいフリになってるのが素敵。

彼女はただイラつかせるだけでなく、コメディエンヌ的にお上手だったのも良い。なかなかいいキャラクターしてました。

あとやっぱりモルク役のヘンリク・メスタドも推したい。地味にいい男だけど完全にネタキャラだったし。

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