映画レビュー0538 『6才のボクが、大人になるまで。』

シルバーウィーク最後の1本。ご存知アカデミー賞でもだいぶ話題になった例のアレです。

6才のボクが、大人になるまで。

Boyhood
監督
脚本
リチャード・リンクレイター
出演
エラー・コルトレーン
ローレライ・リンクレイター
公開
2014年7月11日 アメリカ
上映時間
166分
製作国
アメリカ

6才のボクが、大人になるまで。

両親の離婚後、母親のもとで姉と暮らす6歳のメイソン。やがて母は再婚し、新たな父とその子どもたちと6人での生活が始まる。

偉業ではあるけれど、話としては普通すぎる。

6.5

ご存知の通り、この映画の最も大きな特徴かつ最も偉大な功績は、「12年かけて撮影され、各役の俳優たちが物語の進行と同様に歳を取りつつ演じた」というもの。

一人の役者が時を経てまた同じ役を演じ、一つの家族とその周りの人々がそのまま成長していく様を描いていて、確かに他に観たことがないとんでもない映画だと思います。

特に子ども二人に関してはさすがにどんどん成長していく様が顕著なので、「おお、おっきくなったな」とか「イケメンになったなぁ」とか、まるで彼らを見守る親戚のおじさんのように眺めることができました。

上映時間の長さも気になっていたんですが、さすがに12年もの年月を描くだけあってそんなに長いという感じもなく、要所要所で年齢や環境が切り替わっていくので、割と集中して見続けることができたように思います。

こういうコンセプトだけに、映画として結構珍しいのが、あえて時代性を感じる要素をところどころ散りばめているところ。僕としてはやっぱりゲーム関係に目が行きました。「おっ、ゲームボーイアドバンスやってる」とか、「xboxになったかー。時代だなー」とか。

聞けば音楽も時代に合わせたチョイスをしているそうなので、人によってはそっちの方で「おっ」となることもありそうです。レディー・ガガのPVとか、僕としては古いのかどうかもサッパリでしたが、どうやら好きな人には懐かしいようで。そう言ったさりげない楽しみもあります。

また、非常に珍しいと感じたのが政治的な思考が入っている点。イーサン・ホーク演じるお父さんがブッシュをこき下ろすんですよね。で、やがて子どもと一緒にオバマの選挙運動をしてたりして。なかなかこういうハッキリとした政治的なひいきを描くのは初めて観たので、結構新鮮でした。

そんなわけで、映画技術としてはもう文句のつけようがない、素晴らしい試みなのは間違いないと思いますが、ただ肝心の物語に関しては、普通の家族のありそうな話を演じているだけに、正直なところ本当に普通で、特段すごく面白いというような部分は無かったと思います。

コンセプトがコンセプトなので仕方がないと思いますが、「12年間一つの家族を撮影し続ける」というのが最大のポイントになっているだけに、裏を返せば「普通に各年代の役者を揃えて撮影してたら別に全然面白くないじゃん」という内容なのも事実でしょう。人間ドラマとして観た場合「これが描きたかった」というような力点が置かれたエピソードが出てくるわけでもないので、やっぱり僕が単純に評価基準としている「映画として面白かったかどうか」で言えば「別に普通の話じゃないの」という感想を抱いたのが正直なところです。主人公の男の子もなんか性格がどんどん暗くなっちゃうし。

これが本当に普通の家族を追った話であればまた別だと思いますが、結局は役者陣が仮の家族を演じている、早い話が創作の家族なので、であればもっとグッと来るエピソードでも差し込んでくれた方が面白かったんじゃないかなぁという気がします。ただヘタにそれをやっちゃうと、今度はこの映画のコンセプト自体が陳腐化する可能性があるというジレンマもあり、なかなか難しいところではあると思います。

おそらくは、その「12年間同じ役者で映画を撮った」という偉業を、最もケチの付かない形で表に出そうとした結果こういう普通の話になったのかな、と思います。

一応、子どもが成長していくにあたって経験する(善悪含めた)様々な出来事や、親子の関係、親自身の悩みや成長と言ったテーマも描かれ、決して幅の狭い内容ではないと思いますが、でもやっぱり「12年間同じ役者で撮影しました」以外の魅力があまり感じられず、事前に予想していた「それ以上のものが無いんじゃないか」という不安が的中した次第。

ただ、世間的には大絶賛の嵐らしいので、これまた僕が世間とズレているダメレビューの典型かもしれません。くどいようですが撮影方法としては他に無い新鮮なものなので、一度観てみて損はないと思います。

その上で「面白いかどうか」は各々判断していただければ、と。

このシーンがイイ!

ラストシーンは好きですね。やりすぎず、余韻を残した終わり方。

ココが○

子ども二人にとってはとんでもなく記念になる素晴らしい撮影だったのではないでしょうか。こういう映画を撮ろう、と思った企画力・実行力は素晴らしいと思います。

ココが×

普通すぎる点に尽きます。

MVA

超メジャーどころと言えばイーサン・ホークぐらいだと思いますが、彼はさすがに引き締めてくれて良かったです。でも一番良かったのはこの人かな。

パトリシア・アークエット(オリヴィア・エヴァンス役)

お母さん役。

一番感情豊かに演じていたと思います。アカデミー賞助演女優賞も納得。

反面、主演の男の子はほぼ素なのかどうかわかりませんが、抑揚のない言動ばっかりで面白みがなかったのが残念。演技としては両親の方が数段良かったです。

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