映画レビュー1347 『最後の1本 ~ペニス博物館の珍コレクション~』

もうタイトル見た時点で「これは絶対観ないとダメなやつだ」と確信し、急いで観ました。

最後の1本 ~ペニス博物館の珍コレクション~

The Final Member
監督

ジョナ・ベッカー
ザック・マス

出演

シグルズル・“シッギ”・ヒャールタルソン
パゥットル・アラソン
トム・ミッチェル

音楽
公開

2014年4月18日 アメリカ

上映時間

73分

製作国

カナダ

視聴環境

JAIHO(Fire TV Stick・TV)

最後の1本 ~ペニス博物館の珍コレクション~

男のくだらなさが存分に味わえる。

8.5
世界で唯一のペニス専門博物館、“最後の1本”を巡る一悶着
  • 世界で唯一のペニス博物館に足りない最後のピース、それが“ヒトのペニス”
  • 我こそはそのピースになるぞと2名の男が名乗り出るが…
  • 特に片方の候補者がなかなかのキ●ガイっぷりを発揮していていろいろ衝撃
  • モノがモノなだけに閲覧注意

あらすじ

想像通りにくだらなく、また想像以上にひどい内容もあり、大変楽しみました。創作なら一笑に付しておしまいですが、これがドキュメンタリーなんだからもう味わい深いったらなかったですね。

なお何度も「ペニス」と書くのも憚られるので、以降はペニス=一茂と変換して書きたいと思います。(ペニス=息子=一茂という概念自体がもうかなり古い)

アイスランドにある「アイスランドペニス博物館」は世界で唯一の「あらゆる哺乳類の一茂を集めた博物館」です。館長のシッギさんがコツコツと集め続けて40年、巨大なクジラから超ミニマムなハムスターの標本まで多種多様な一茂が揃っておりますが、唯一足りないのが「ヒト」の標本。

そんなの死が近い人にお願いすれば簡単なのでは…と思いきやいろいろと難しい問題もあり、実現には至っておりません。

しかしここにヤァヤァヤァ我こそは! と心強い“提供者”が2人現れます。

1人は地元アイルランドでは冒険家として有名なパゥットル・アラソン氏。なんでもかつて300人の女性と関係を持ったという元プレイボーイで、御年95歳。失礼ながらそれなりに早めの供給も期待できそうです。

しかしそこに立候補を表明したもう1人の候補者であるアメリカ人の中年カウボーイ、トム・ミッチェル氏は「自分が生きているうちに切断して提供したい」と(いろんな意味で)新鮮なオファー。おまけに彼は巨根がアイデンティティのような人物で、己の一茂に「エルモ」と名付けて溺愛しております。いろいろすごい。

やはり館長的には地元の名士であるアラソン氏からの供給を持って“完成”としたい意思がにじみ出ておりますが、それを知ってか知らずか「俺以上の一茂は無いぜ」とばかりに海の向こうから猛プッシュを仕掛けてくるミッチェル氏。この勝負、目が離せないぜ…!

若干ホラーみすら感じる面白さ

かつてこれほどまでにレビューを書くのが楽な映画があっただろうか…と考えてしまうぐらいにツッコミどころ満載、言いたいことだらけのドキュメンタリーでした。参った参った。

序盤はシッギ館長が「学術的にも意義のあることだし、タブー視する意識を変えていきたい」と意気込みを語り、「なるほど確かにそうかも知れない色眼鏡で見ちゃってごめんね」と真面目に観ることにしました。ああやっぱりドキュメンタリー、テーマはバカバカしくてもちゃんとしてるんだ…。

…と思ってたら舌の根の乾かぬうちに「こんなものも作ってるよ」と一茂を模した木槌や酒瓶ケースなどをご紹介して頂きましてバカヤロウ、と笑いが止まりません。

そしてここから本題の「最後の1本」であるヒトの標本をどうするのか問題を観ていくわけですが、まあどちらの候補もキャラが濃くて「さすがこのテーマに相応しい争いやで…!」と生唾を飲み込むわけですよ。

最有力候補と言える冒険家のパゥットル・アラソン氏はもう完全なるお爺ちゃんなんですがまだまだ意気軒昂、アルバムを引っ張り出して「この子はこういう子で美人だったんだよね」とか今の時代では完全アウトな自慢話をご披露、あかん人やんけとドン引きさせてくれます。せめて写真にモザイクかけたれよ。もう時が流れすぎて見た目じゃ誰かわからないのかもしれないけどさ…。

っつーことでやっぱり一茂自慢する男はろくでもねえな…と思っていたら次の候補者、アメリカ人のトム・ミッチェル氏のターンになるとアラソン氏なんて全然かわいいレベルだったんだなと思い知らされることになります。

このミッチェル氏、“セサミストリートが始まる前”から自らの一茂に「エルモ」と名付けていたそうで、もうこのエピソードだけでも結構な御仁とわかるんですが、しかしそんなのはこれまた全然かわいい方でね…その後「あ、これガチでヤバい人じゃん」とアラソン氏に対するドン引きなんてドン引きに入らなかったなと反省するぐらいにドン引きさせてくれます。

もちろん当初は「候補が増えてありがたい」ぐらいに思っていたのであろうシッギ氏も徐々に「こいつマジでやべえ」と気付き始めてから距離を取り始めるようになる様がまた笑えるんですが、しかしこの手のヤバい人はそんなこともお構いなしにグイグイ系なのでより負のスパイラルが進んでいくという地獄のような展開をこっちは笑いながら(そして引きながら)観ることになります。

その個別のエピソードはぜひご覧頂くとして、まあ何もかもがすごい。引く。

それもすべては「己の一茂が(自分にとっても=博物館にとっても、そして人類にとっても)最も価値のあるもの」と信じて疑わない彼の思考回路によるものだとは理解できるんですが、しかしそれにしてもここまで恥も外聞もなく自らのナニかを自慢できるのはある意味尊敬に値するな、と感心するぐらいに自信満々ですごい。こいつ絶対トランプ支持者だろ。(偏見)

仮に一茂でなかったとしても、例えば歯がものすごく綺麗で整ってるから、って「ホワイトちゃん」とか名前つけて「誰もが良いと思うはず」と信じて突き進む人がいても相当に迷惑だし引いちゃうと思うんですよ。そういう他人からの視線をまったく気にせずに「どうだ」と己のセンシティブな一茂を惜しげもなくアピールしていく睾丸厚顔っぷりは本当に呆れました。こういう人がいるんだ、って知られるだけでもある意味観る価値があるドキュメンタリーかもしれません。

それはさておき、アイルランドは古い時代のエピソードの名残りでチン長12.7cm以上無いと一茂とは認められないという暗黙の了解があるらしく、それもまた爆笑もんです。それによってまた別の問題も発生してくるという…気になるでしょう!?

気になると言えば僕もやっぱり(この映画を観た男性誰もがするように)股間に定規を当てて「12.7cmあるかな…」と調べたりしました。多分あります。元気な状態で測ってないからわからないけど多分。自信満々に言えないのがつらい。今度ちゃんと測ってみようかな…。

しっかり映っちゃうので注意

もうタイトルからして「これ絶対面白いやつでしょ」と思える人であればそのまま面白いだろうとは思いますが、ドキュメンタリーだからなのかなんなのかはわかりませんがモザイクもかからずにはっきりと一茂が映ったりするのでその辺りは要注意です。

僕も人様の一茂に興味はないのでうんざりしましたが、それによってシッギ氏のミッチェル氏に対するうんざり気分を味わえたような気がして、それを狙ってやったんだったらすげーなと思いますがそこまで深く考えてはいないでしょう。

一回だけはっきりとモザイクがかかるシーンがあるんですが、それは多分「いくらなんでも見せるに耐えない」シーンだったんだと思われます。すごくアップだったし。

かなり異色のドキュメンタリーではありますが、その異色さを真面目に見せることでおかしさにつながることまで織り込み済みで「真面目なフリして笑わせに来る」感じのドキュメンタリーに思えたので、なかなか高度なコメディです。

興味のない人間の一茂を見させられることに嫌悪感を抱かないのであれば、ぜひ観てみるといいのではないでしょうか。くだらなさと妙な感動が味わえます。

このシーンがイイ!

館長が博物館前に設置してある一茂の石像的なものを前に両手を広げて「やったぜ」みたいなシーンがあるんですが、そこはもう本当に爆笑ものです。何見せられてるんだろうと思うこと請け合い。

ココが○

テーマが素晴らしいのは間違いないですが、パゥットル・アラソン氏の古い映像が残ってたりするのもポイントが高いですね。昔から一茂自慢だったんだな、って。

それとオープニングですでに爆笑したんですが、原題の「The Final Member」が秀逸すぎる。

ココが×

上に書いた通り、はっきりと映っちゃうのでそこは気をつけて観ましょう。人間以外のも映るし。

標本作成のために捌いたりするシーンもあって若干グロいのも注意です。

MVA

ドキュメンタリーなので該当なし…としたいところですが、この映画はこの人の存在抜きにしては語れないので選出します。

トム・ミッチェル(本人)

アメリカ人の提供者。

本当に近くにいて欲しくないタイプなんですが、しかしドキュメンタリーの素材としてこんなに美味しい人はいないのも確か。彼が提供者に名乗りを上げた時点でドキュメンタリーとしての成功は約束されたも同然です。

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