映画レビュー1524 『ラビッド・ドッグズ』

今回はなかなか味がありそうな古い映画をチョイス。
ちなみにこの映画はちょっと特殊なケースなんですが、軽く調べたところ制作自体は1974年に行われていたもののプロデューサーの破産によってお蔵入りとなったらしく、1998年になって初めてアメリカで劇場公開されたそうです。
当ブログでは「劇場で初めて通常公開された日」を公開日にしているので便宜上1998年の映画としていますが、そんなわけで実際は1974年の映画となります。

ラビッド・ドッグズ

Cani arrabbiati
監督

マリオ・バーヴァ

脚本

アレッサンドロ・パレンゾ

出演

リカルド・クッチョーラ
リア・ランデール
ドン・バッキー
モーリス・ポリ
ジョージ・イーストマン
ルイジ・アントニオ・グエッラ

公開

1998年2月25日 アメリカ

上映時間

96分

製作国

イタリア

視聴環境

Amazonプライム・ビデオ(Fire TV Stick・TV)

ラビッド・ドッグズ

濃厚すぎて不快感高め。

7.0
強盗後に人質を取って逃走する犯人グループ、その逃避行
  • ほぼ逃げる車中が中心の密室劇的なスリラー
  • 監督はホラーの名匠、しかしホラー要素は無し
  • とにかく犯人グループの変態が強烈過ぎて不快感が強い
  • 好き嫌いは別として忘れがたい映画な予感

あらすじ

結局個人的にはアクが強すぎてあんまり好きになれない映画だったんですが、ただ「好きでもすぐ忘れそう」な映画とは対極にあるような、忘れなさそうな映画でもありました。

イマイチよくわかりませんが謎の建物に乗り込み、輸送中の現金を奪う犯人グループ。
そのまま別の車を奪って逃走するも運転手が警察によって射殺されてしまい、もたもたしてるうちに駐車場に追い詰められます。
万事休すかと思いきや、そこで無関係のガール2人を人質に取る犯人グループ。
そのうち1人は“ナイフ”(ドン・バッキー)が脅してるうちに誤って刺し殺してしまい、警察が怯んだところで残ったもう1人のガール・マリア(リア・ランデール)を車に乗せ逃走続行。
しかし“車バレ”しているので乗り換えるぞ、ということで眠る赤ちゃんを移送中だったリカルド(リカルド・クッチョーラ)の車を奪った上で人質に加え、彼に運転させつつ警察の包囲網をかいくぐる面々。
果たして刹那的に見える悪あがきの行く末は…。

変態にうんざり

ほぼ車内でのあれこれに終始するワンシチュエーションスリラー。古い映画ですが今観ても結構珍し目の作りです。古い映画における個人的ツボである血糊の鮮やかさがたまりません。
監督は「ホラーの大家」マリオ・バーヴァ。僕はホラーは強くないので恥ずかしながら名前も知りませんでしたが、その道では「イタリアホラーの黄金時代を築いた1人」として有名だそうです。ただ今作はホラー要素はありません。
犯人グループは3人(開幕で死亡する1人を加えれば4人)いて、リーダー格の“博士”、その下に“32”と“ナイフ”のヤング2人がいます。
“ナイフ”はその名の通りナイフ使いで、誤って人質を刺し殺したりしてますが腕には結構な自信がある様子。
そしてもう1人の“32”とはなんぞや、って話なんですが…これはなんと…! っと実際観てもらったほうが絶対面白いので伏せておきましょう。僕は爆笑しました。「しょうもねえ名前で呼ばれてるんじゃねえwww」と。
ちなみに僕だったらおそらく“13”辺りになります。悲しみ。
そんな3人がマリアとリカルドの2人を人質に取り、合計5人で逃げ続ける映画だよ、と。
これ結構オチの付け方難しそうだよな〜と思いつつ観ていたんですが、そのオチについては(当然ネタバレになるので詳しくは書きませんが)なかなか面白いもので、唯一無二とまでは言いませんが結構良い展開で終わらせてくれたと思います。
なのでそこだけ観れば評価したい映画ではあるんですが、いかんせん途中が(古い映画だから仕方がない気もしつつ)若干中だるみ気味でちょっと眠くなったりもするぐらいだったのと、何と言ってもヤング2人、特に“32”がキモすぎる。これでもかと変態性を押し出してくるので最初は「なんだこいつwww」と笑っていたもののそのうちしつこすぎて「自分もうええわ」と冷めていく感覚があり、何と言うか「さじ加減、大事だよね」みたいな映画でした。
ナイフはナイフで小物感丸出しなくせにイキっていたりとかなり痛いキャラで彼も結構観ていてしんどい。
唯一“博士”だけは大人だしポジション的にも犯人グループへの極僅かな共感(それは「やっぱりこいつも悪いやつだ」と感情の揺り戻しを誘うような役割でもある)をもたらすような人格者っぽさを醸し出してはいたものの、とは言えやっぱり全体的に犯人グループへの嫌悪感が強い物語で、観ていて段々イライラしてくるんですよね。いつまでやってんだよ、って。
上映時間は短めの映画であるにも関わらずそう感じてしまうというのは、やはり「逃走車内」のシーンが延々と続くだけにちょっと飽きが来てしまったのかもしれません。
特に“32”とマリアの絡みはしつこいし鬱陶しいし変態だしでうんざり極まりなく、「犯人グループに不快感を抱かせる」意味ではかなりの成功だとは思いますが、それも行き過ぎると作品自体嫌いになるんだな、と学ぶぐらいにはうんざりしました。とにかくくどい。
で、キャラも濃いから映画自体に乗ってないと結構しんどいんですよね。こっちのエネルギーが奪われていく感じで。
なので結局このアクの強さが好きか嫌いかで評価が分かれる感はありました。
僕はあんまり乗れなかったのでイマイチかな、と。
さっき書いた通り最後は悪くないんですがそこに至るまでに気持ちが切れてしまったのがもったいなかったように思います。

“32”耐性の問題

ただ世間的な評判はこの時代の映画の割に高いし、短めなのでさっくり観るのも悪くはない選択でしょう。
やはりイタリア映画ということもあって「(ハリウッドとかの)おなじみの洋画」とはちょっと違った作りでもあるし、オチも悪くないしで全然つまらない映画ではないです。
結局犯人グループ(9割は“32”)の不快さが受け入れられるか否かが問題なのかもしれません。
強烈ではあったので笑っちゃったりもしたんですけどね。やっぱりちょっとくどいよね、っていう。

このシーンがイイ!

おしゃべり迷惑BBAのシークエンスはすごい良かったですね。まじでこいつ迷惑だな、って感じがすごい。ここまで迷惑さをリアルに描けるのはすごいと思います。空気の読めなさが凄まじい。

ココが○

まーやっぱりキャラが立ってますよ。迷惑BBAと言い“32”と言い。なかなかここまで強烈なキャラが出てくる映画もなかなか無いです。

ココが×

やはり犯人グループ(結局“32”だけど)への不快感がすべて。特に女性は鑑賞するのはかなり要注意だと思います。ここまで不快な男はそうそういません。

MVA

ということで当然。

ジョージ・イーストマン(“32”役)

犯人グループの1人、変態。「谷間を見ると理性を失う」というすごい設定。
もう本当にくどいし気持ち悪いし自信過剰だしでうんざりキャラなんですが、それだけ演技が強烈だった証拠です。名演でしたよ。もう。
ちなみに脚本家でもあるそうで、その事実がまた強烈です。すごい役者さんだな…。

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