映画レビュー0279 『おとなのけんか』

特にご指摘があったわけでもなく、ただの自己弁護として書いておこうと思うんですが、僕は別に「外国マンセー」で日本に劣等感を抱いている人間ではないです。割とフラットに見て、いろいろ書いているつもりです。

例えばゲームなんかは、最近の洋ゲーはスゴイらしい(あんまりやらない)とは聞きますが、それでもやっぱり日本のものが一番だと思うんですよ。家電なんかもそうだと思います。

ただ、“映画”というジャンルに関しては、どうフラットに見てもレベルが低いと思うんですよね。平均的なレベルとして。きっと日本国内の映画好きが少ない=ライトな映画ファン相手の方が儲かる、だからこそ映画好きから見て質の低い映画で観客のレベルに合わせている…という見方もできると思うんですが、何れにしてもいいものが出てきそうな土壌はないと感じています。上に書いたようなもの以外の産業的な構造問題もあると思いますが…。

まあ、もちろん邦画で良い物があったらべた褒めするつもりはあるんですけどねー。

ちなみに同じくマスメディアのレベルも日本は相当に低いと思ってますが、「マスメディアは民衆の鏡」という見方もあるので、結局は一般人の情報の受け取り方、考え方が決定的に幼いから、マスメディアも映画もレベルが低い、と言えないこともないな、という気もします。

メディアに関しては(マスメディアは堕ちていくだけでしょうが)徐々に変わりつつあるような気もするので、映画もいい方向に行ってくれればいいんですが、ただ今のレベルで邦画は割と調子がいいとか聞くので、変わらないだろうなとも思います。非常に残念ですが…。

前置きが長くなりました。本日はこちら。

おとなのけんか

Carnage
監督
脚本
ヤスミナ・レザ
ロマン・ポランスキー
音楽
公開
2011年9月16日 イタリア
上映時間
80分
製作国
フランス・ドイツ・ポーランド・スペイン

おとなのけんか

二人の子供が喧嘩。その示談のために双方の両親が話し合いの場を持とうと片方の家に集まり、話していくうちに段々と“おとなのけんか”が…。

深さはないけど面白い。

7.5

上映時間80分、舞台はほぼマンションの一室、登場人物も4人だけ、とちょっと舞台劇っぽいライトな映画です。舞台観たこと無いけど。

子供の喧嘩の示談で集まった大人4人が、最初は控え目に話をしながら、徐々に一人ひとり、言いたいことをポロポロと口に出していくうちに穏やかでない雰囲気となっていき、やがて酒が入り本性が…というお話。

ジャンルはコメディとしましたが、「うっそぴょーん! 鼻水ビローン」みたいなドコメディではなく、4人のセリフ、感情は至極真っ当。言い争ってる内容もセリフもものすごく「ありそう」で、かなりリアル。

「ああ、わかるわかる」の繰り返し。「あー! こいつこういうこと言いそう」とか。「バカだねー! それ言わなければ帰れるのに」とか。帰れそうで帰れない夫婦と、帰って欲しいのに余計なこと言うなよ的な夫婦と、ウダウダグチグチおとなのけんか。

短めな上映時間も相まって、深さはありませんでしたが、始終ニヤニヤしながら観ていられる、飽きない映画でしたねぇ。

完全に加害者夫婦 vs 被害者夫婦というわけでもなく、男 vs 女になったり、1対3になったり、サッカーのようにめまぐるしく攻守が入れ替わるのも面白かった。

またこの「おとなのけんか」っていうのが近年稀に見るナイス邦題。ひらがな書きっていうのがものすごくセンスありますよね。大人だけど子供じゃん、みたいな幼さを感じさせるうまさ。これはスバラシイ。まさにこのタイトルそのままだし、期待に応えてくれる内容でした。

終わり方も賛否両論ありそうでしたが、僕はこれもまた舞台っぽくていいな、と思いましたね~。最後までシニカルなコメディといった感じで、世界を壊さない初志貫徹な作り。

きっと観た人は、「なんでこんな普通のどうでもいい話を映画にしてんだよ」的な否定派と、「リアルで笑っちゃうけど自分も当てはまりそうな怖さもあった!」みたいな肯定派と真っ二つに分かれそうな気がします。僕はもちろん後者でした。

この映画みたいに夫婦同士で喧嘩したりしたら、逆に仲直りとしてこの映画を観るとよさそうですね。自分たちのバカさとか幼さが染みてきて、「おとなになろう」って思えそうです。

まあ、嫁いませんがね。

このシーンがイイ!

なんせワンシチュエーションのリアルタイムドラマ的なものなので、特段このシーンがいいぜ、っていうのも無いんですが、一番印象的だったのはやっぱりケイト・ウィンスレットが吐いちゃったところですかね。笑った笑った。ゲボーって。

ココが○

深刻過ぎない喧嘩っぷりがじわじわ効いてくる面白さ。本当にこういう喧嘩してる人たち、いそう。その辺のリアリティがすべてでしょうか。すごく普通っぽいからあんまり思わないかもしれませんが、脚本がすごくよくできてますよねー。

ココが×

もう本当に普通の喧嘩を観てるだけなので、突き抜けたものが出ないのは仕方ないのかな、と。

それとこれはある意味本当に人を選ぶ映画だと思います。こういうの面白いと思えない人、結構いる気がする。残念ながらあまり頭のよろしくない人には向いてないと思う。多分面白さがわからないから。

MVA

ちょっとした登場を除けば完全な4人芝居なので、当然この4人の演技力がすべてでしたが、まあさすがそういう映画だけに4人が4人、甲乙つけがたい素晴らしさでしたね~。

ただ「息子は顔が変形したのよ!」って言ってるジョディ・フォスターの鼻が変形している気がしたのはなんかのブラックジョークでしょうか。とチクリ言いつつ、この方をチョイス。

ケイト・ウィンスレット(ナンシー・カウワン役)

単純に一番ご贔屓、というのもありますが、やっぱりすごいなと思ったのは、ゲボ吐いちゃったり酔っ払ったり、一番「崩れる」役柄なんですよね。普段の姿から。

特に酔っ払ったところなんてやっぱりうまいなーと感心。美人過ぎない、ちょっとだけ垢抜けてない感じがまたいい。

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