映画レビュー1521 『ドクター・スリープ』

一応「シャイニング」観た勢としては、やっぱり外せないこちらの映画。配信終了が来るとのことで観ることにしました。

ドクター・スリープ

Doctor Sleep
監督

マイク・フラナガン

脚本

マイク・フラナガン

原作

『ドクター・スリープ』
スティーヴン・キング

出演

ユアン・マクレガー
レベッカ・ファーガソン
カイリー・カラン
クリフ・カーティス
カール・ランブリー
ザーン・マクラーノン
エミリー・アリン・リンド
ブルース・グリーンウッド
カレル・ストルイケン

音楽

ザ・ニュートン・ブラザーズ

公開

2019年11月8日 アメリカ

上映時間

152分(劇場公開版)
180分(ディレクターズカット)

製作国

アメリカ

視聴環境

Amazonプライム・ビデオ(Fire TV Stick・TV)

ドクター・スリープ

映画の「シャイニング」とは別物、原作重視っぽい作りで好き嫌いは分かれそう。

7.0
「シャイニング」から40年後、大人になったダニーと強力な能力を持った少女が謎の集団と戦う
  • 能力(シャイニング)を持つ子どもたちを喰らって生きるヴァンパイア集団が一人の少女に狙いを定める
  • 少女からテレパシーで連絡を受けたダニーは彼女を救うべく行動するが…
  • ホラーではあるもののどちらかと言うと能力者同士のバトル映画っぽい雰囲気
  • 終盤ようやく登場するオーバールックホテルでアガる

あらすじ

「思ってたのと違う」みたいな評判は聞いていたので、ある程度覚悟はしていましたが「ああ、思ってたのと違う」って感じでもう一つかなと言ったところ。別に嫌いじゃないんですけどね。

(シャイニングで語られた)オーバールックホテルでの一連の出来事をトラウマとして抱えながら生き、おっさんとなったダニー(ユアン・マクレガー)はアル中となり、一夜限りでシングルマザーを抱きつつ寝ている彼女の財布から金を盗んだりとどん底状態に。
このままではまずい…ということで別の街に移住し、仕事と支援団体を紹介してもらって新しい生活を始めます。
一方、長年“シャイニング”を持つ子どもたちを喰らって生き続けているヴァンパイア集団「トゥルー・ノット」は新たなメンバーを迎えるも次第にその“餌”が足りずに飢餓状態に陥っておりまして、久しぶりにありついた美味い飯的な少年を喰らっていたところ遠くにいた強力なシャイニングを持つ少女アブラ(カイリー・カラン)が能力によってその現場を目撃してしまいます。
トゥルー・ノットのリーダーであるローズ・ザ・ハット(レベッカ・ファーガソン)はアブラが現場を目撃したことでその強大な能力を察知、これは“ご馳走”になると確信して彼女をターゲットに行動を開始します。
一方アブラはその事件をテレパシーでダニーに報告、それを聞いたダニーはアブラと会って事件の真相を確認しようとしますが…あとはご覧ください。

パルスのファルシのルシがパージでコクーン

「シャイニング」を観た当時はなんだかんだと(特に結末に)文句をつけた記憶がありますが、しかし「ROOM237」なんかも経由しつつ後々振り返るとやっぱり印象的なシーンも多いし、思い出すとなんか…こう…落ち着かないというか、やっぱり「ただならぬ」映画だったなと思うわけですよ。今あんな強烈な映画無くない? みたいな。
だからもう一回観直したいなと思うんですが、その一方であの映画を原作者のスティーブン・キングが酷評していたのは有名な話なだけに、その続編となる今作は「今度こそ」原作者の意向に沿って原作重視の内容に…となったのかはわかりませんが、そんなような気がする内容でした。うっすい推測でしかないんですが。
そもそも前作は「シャイニング」というタイトルでありつつ(特殊能力的な)シャイニングについてはほぼ触れられていない物語だったので、今作を「(映画の)シャイニングの続編」として観ると結構意味がわからないというか、「なんか特殊能力ありきな話だけどそういう話だったっけ?」となりかねないぐらいには前作(映画)とはだいぶ設定からして違う感覚がある映画なんですよね。
なので「シャイニングと言いつつシャイニング要素がほぼない別物のホラーになっていたシャイニングを好きな人が観るとシャイニングっぽくないシャイニングの続編だなシャイニングはいっぱい出てくるんだけど」というパルスのファルシのルシがパージでコクーン的な難解さを伴った続編になっております。そうなのか?
まあ今思えば前作でシャイニング要素をカットして別物のホラーとして仕立て上げたキューブリックの才能はさすがなんだろうと思いますが、一方でご存知の通りキューブリックはとっくに他界してしまっているだけに、同様の才覚によってまたも別物に仕上げるような芸当ができる人物もそうそうおらず、そもそも前作(映画)を気に入っていない原作者の意向を思えば「今回こそは原作よりの内容に」となってもおかしくないわけで、キングの意向(もしくは忖度)によって「本来あるべきスタイル」に戻った続編(ただし映画の続編ではない)、みたいな映画なんだろうと思います。ややこしいなほんと。

こんがらがってきたので一旦仕切り直しましょう。
つまり早い話が「映画版シャイニング」の続編は存在せず、「小説版シャイニング→小説版ドクター・スリープ」「小説版シャイニング→映画版ドクター・スリープ」の流れはある、ということなんでしょうね。きっと。
いや原作読んでないのでものすごくいい加減な憶測には変わりがないんですが。
ただやっぱり「シャイニングの続編」の「映画」と言われれば、やっぱり普通は「(映画版)シャイニングの続編」を想像してしまうので、それを期待する人にとっては少し「思ってたのと違う」となってしまうのもまた仕方がないのかなと。
ダニーの過去描写でちょこちょこと前作を思い出させるシーンが出てきはするんですが(例の激キモゾンビBBAとか)、中心で展開する話はまったく別物(そもそもヴァンパイア集団ってなんだよ)なので、やっぱり「映画シャイニング」の続編として観るには結構無理があります。別物として観た方がいいぐらい。
ですが終盤になってようやく前作の舞台であるオーバールックホテルが出てくるだけに、これはこれでやっぱり前作を観ておいた方が面白いのも確か。
なぜオーバールックホテルなのかは結構こじつけと言うか、あからさまにファンサ的な気がしないでもないんですが、まあ「あの場所での出来事がその後の人生に暗い影を落とし続けた」ダニーの人生を考えれば、今一度あの場所に戻ってトラウマを払拭したい…と考えるのも無理はないのかもしれません。
しかし散々書いた通り、前作(映画)とのつながりが薄い続編なので、「前作鑑賞ありきの見せ場」と「前作とつながりが薄い物語」とのダブルバインドで結果「思ってたのと違う」なのかな、という。
繰り返しになりますが、物語自体は(主人公がダニーということ以外)ほぼ前作とつながりがないので、まったく別物として観ていいし前作履修の必要がないレベルで「別の映画」なんですが、しかし一番盛り上がるところは間違いなく前作を観ているからこそなだけに、そこの矛盾がつくづくもったいないというか下手クソというか。どうせならどっちかに寄せてほしかったですね。もっと。

最初から難工事が約束されていた映画

なんだかんだ書きましたが、結局やっぱり前作があの「スタンリー・キューブリック」によるものとなると、もう今の時代では真っ向勝負も気後れしちゃう面はあるだろうし、キングのご意向もあるだろうし、かと言ってまったく前作(映画)を無視してもお客さんは「なんだよこれ」って怒っちゃうし…といろいろ難しい面があったのも間違いないでしょう。
でもそこを押して「これを作りたいんだよ!」が無いと映画としてはもう一つ、って感じになっちゃうのかなぁ、とか。
やっぱり映画ファンの勝手な意見としては、キングがうるさかろうがキューブリック版シャイニングに寄せてほしかったなと思いますが、そういう作りにするのも難しい原作だったかもしれないですね。なんとなく。それをやるとするとヴァンパイア集団とかごっそり削らないとダメだろうし。
結局最初から難工事にしかなりようがない、監督としては貧乏くじを引かされたような映画なのかもしれません。その割には頑張ってるとも言えます。ラストの展開も嫌いじゃないし。
まあでもやっぱりキューブリックと比べられるのはしんどいでしょうね、どう考えてもね…。

このシーンがイイ!

これはやっぱり…バーのシーンでしょう。きたきたきたきた! って感じ。

ココが○

「オーバールックホテルが蘇る」だけで前作ファンはたまらないでしょう。くぅーってなるもんね、やっぱり。くぅーって。何が出てきてもね。

ココが×

どこが悪いとも言えないんですけどね。やっぱり前作が偉大すぎたのか…。
「ドクター・スリープ」って名前の由来がほんのちょっとしか出てこないのはどうなのと思ったけど。この辺考えるとやっぱりだいぶ原作とも違うのかな…。

MVA

誰でもいいっちゃいいんですが…この人になるかなぁ。

レベッカ・ファーガソン(ローズ・ザ・ハット役)

ヴァンパイア集団のボス。
最初レベッカ・ファーガソン出てるのを知らなかったので、「ウヒョーレベッカ・ファーガソンじゃん!」とテンション上がりましたが役としては正直いまいち。
ただ当然素晴らしい演技なのと悪役珍しいなって気がしたので。なかなかのSっぷり、良かったです。

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