映画レビュー0157 『アルカトラズからの脱出』
アルカトラズ刑務所を舞台にした映画はかなりあると思いますが、これはその中でもかなり初期に入る作品ではないでしょうか。
と大して詳しくないのに言ってるっていう。
アルカトラズからの脱出
ショーシャンクファン必見(かも)?
「アルカトラズ」「脱獄」というテーマだけではなく、あちこちで「ショーシャンクの空に」を彷彿とさせるものがあります。もちろん、こっちの方が全然古い映画なので、ショーシャンクがこの映画をリスペクトして、みたいなところもあるんでしょう。
ネズミをかわいがる囚人仲間、ガチホモパワー囚人、嫌な所長、鍵を握る黒人囚人に小物の聖書などなど…。知ってる人が観ると「おっ」となるシーンが結構出てきます。もっとも、これこそが「アルカトラズ刑務所」なのかもしれません。
人間ドラマに重きを置いた「ショーシャンクの空に」と比べると、こちらは主人公・モリスの機転のきいた頭の良さを軸に、彼がどうやって脱獄を成し遂げようとするのか、その行動自体が中心になっています。
さすがに後発ものが多いだけに、今観て感じる目新しさというのはありませんが、わかりやすく、丁寧に進行する映画だけに、良い意味でベーシックな「脱獄とはこういうものだ!」みたいな、お手本のような映画なので、いつか自分が脱獄したい! と思ったときも参考に出来そうです。いやその前に捕まるようなことするなよ、っと。
僕は割とこういう監獄モノは好きなので飽きずに普通に楽しめましたが、こういうのに特に興味のない人が観て「面白いね」と思えるかというと、その辺はちょっと微妙かなぁ、と思うのも事実。ショーシャンクみたいに泣けたりするわけじゃないしね。
そういう面でのパワー不足というのは否めませんが、裏を返せば「ショーシャンクの空に」が好きだとか、これから観るぞ、って人はこのアルカトラズとはなんぞや、という理解を深めるためにも一回観ておくと世界が広がる…かもしれません。
このシーンがイイ!
モリスが黒人囚人・イングリッシュとお別れするシーン。いいですねぇ。味があって。
ココが○
脱獄するプロセスの部分…道具集めだとか作戦会議だとか、そういうものが中心に描かれているので、少しサスペンスタッチというか、そういう面での面白さはあると思います。
ココが×
やはり地味っちゃー地味なので、目をキラキラ輝かせて観るような類の映画ではありません。この辺りは古さもあって仕方がないかな、と。
MVA
今回はもう、自分の好み丸出しでこの人かな、と。
ポール・ベンジャミン(イングリッシュ役)
優しくて強い、黒人さん。
「ショーシャンクの空に」のレッド(モーガン・フリーマン)は原作では黒人でもなんでもないんですが、映画でモーガン・フリーマンをあてたのは、きっとこのイングリッシュの存在があって、じゃないかなーと思いました。それだけイメージ的にも似たものがあるし、味がある。
ある意味でお約束なのかもしれませんが、こういう脇役がいると映画の奥行きが増しますねぇ。