映画レビュー0331 『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』

おそらく年末になると思いますが、時間があるときに大幅採点し直しを考えてます、というご案内。ちょっと最近辛めになってきたので、その基準にあわせて変えようかと。

いつものごとく、どうでもいい業務案内でした。

[2017年追記]

なんかちょくちょく採点見直しの話を挙げてますね。ここからさらに今回の移転で見直しているので結構何が何やらわからない感じになっているような気がしないでもないです。

ものすごくうるさくて、ありえないほど近い

Extremely Loud & Incredibly Close
監督
脚本
原作
『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』
ジョナサン・サフラン・フォア
音楽
公開
2011年12月25日 アメリカ
上映時間
129分
製作国
アメリカ

ものすごくうるさくて、ありえないほど近い

「9・11」の犠牲になってしまった、大好きだった父が残した鍵を見つけたオスカーは、「その鍵で開けることのできる何か」を探すため、封筒に書かれた「Black」の文字だけを頼りに、ニューヨーク中に散らばる「ブラックさん」の家を訪ね歩く。

親の愛は偉大です。

8.0

非常に印象的なタイトルでお馴染みのこの映画。やかましい人がギャンギャンわめくんだけどすごくいいやつで、最終的にはそいつにホロリとさせられる…的な話を(いつものごとく)勝手に想像していましたが、またもまったく外れ、まさか9・11が絡んだ話だとは。事前予想ではもっと軽めの、でも泣けるような話なのかと思ってたんですが、それより全然シリアスな、一人の少年が親の死を乗り越えて成長していくような物語になっています。

息子・オスカーに対等に接し、家族を愛する「いいパパ」の鑑だったトーマスは、9・11の犠牲になり、突如この世から去ってしまいます。いつも彼との“遊び”で知的好奇心を育んでいたオスカーは、激しく動揺するも、次第にその死を受け入れはじめ、やがて父の部屋で見つけた鍵と、その封筒に書かれていた「Black」の文字を手がかりに、ニューヨーク中の「ブラックさん」を訪ね、手がかりを探し歩きます。

そこに彼の母とお婆ちゃん、その「賃借人」、そして「ブラックさん」たちとの出会いを重ねながら、果たして彼は目的の「鍵で開く何か」を見つけられるのか、そしてその先には何が…? というお話です。

一応、主演はオスカーの両親役である、トム・ハンクス&サンドラ・ブロックとなってますが、この二人の出番は実は結構短く、ほぼオスカーの行動を追っていくのが主体。そしてその彼が行く先々でいろんな「ブラックさん」たちと出会うとは言え、ほぼその場限りのものなので、基本的には本当に「オスカーの」映画です。ナレーションも彼の心情を語る彼自身のものなので、ほぼ全編、彼の行動とその結果生まれる彼の変化を語っています。

が、そういう映画でありながら、まずこの主人公であるオスカー君が、イマイチかわいくないんですよね。性格的に。子供らしい可愛さを持っていなくて、どっちかというと生意気だし、変に大人びていて理屈っぽい。なので割と序盤はグッと引き寄せられる感じでもなく、「見つかるんかねー」とただストーリーを追っていた感じでした。

ところが。

それも計算のうちなんでしょうか。次第に、そんな大人びたオスカー君を包み込むご両親の愛情が明るみに出てくる後半、もうたまらずブワッと涙を流す30代独身男。

両親の愛情、家族の愛情、人々のつながり、そんな当たり前に思ってなかなか顧みない素晴らしさを気付かせるストーリーは、漫然と生きている日常にちょっとした問いかけをもたらすような、「当たり前と思っていることのありがたさ」を考えさせられる素敵なお話でした。9・11が背景にあるとは言え、「善悪」とか「アメリカの正義」とかに寄りかからない、あくまで「日常」をベースに据えている等身大のストーリーというのもいいですね。

なんというか、タイトルのインパクトとは裏腹に、「悲劇」を糧に、一人の少年が成長していく真っ当なストーリーなので、かなり広い範囲の、いわゆる「大衆」が共感できる内容なのではないかと思います。

オスカーの大人びた感じを見ていると、いかにも「今っぽい」、今の時代だからこその成長映画だと思いますが、そういう時代にアジャストしている感覚からして、今を生きる現代人の人々なら共感できる話なんだと思います。

ややオスカーの性格にクセはあるものの、誰にでもオススメできる映画ではないかと。

このシーンがイイ!

物語のクライマックスである、オスカーが日曜の夜、会社でジェフリー・ライトと語るシーン。たっぷり間をとって、じんわりじんわり染みこんでいく感覚がすごくよかったです。

ココが○

3・11もそうですが、突如として理由もなく大切な人を失う悲しさというのは、経験した人にしかわからないものがあると思います。僕なんかはこういう映画を観て、それを想像する以外にないわけですが、そのやるせない感じと、そこからまた前を向いて行こうとする人間の強さというのは、やっぱり素直にいいものだな、と思うんですよね。

物語の芯にあるのは、人間の強さと愛情。そこに共感できない人はあんまりいないと思うので、そういう意味でも、いろんな人が何かを感じられる映画なんだろうと思います。

ココが×

後半で結構盛り上がってくるんですが、反面、前半はオスカー君の可愛げの無さもあって、あまり素直にストーリーに乗っていけない感じはありました。

そういう意味では、序盤にあんまり気乗りしないような人も、ちょっとがんばって最後まで観て欲しいな、という気はします。

MVA

父親のトム・ハンクスはもういかにも、この役はこの人だなという素晴らしいマッチング。同じく母親のサンドラ・ブロックも、すっかりこの手の役が似合う「いいおばさん」になりましたね~。ただ、この映画はやっぱり…。

トーマス・ホーン(オスカー・シェル役)

でしょう。

何度か書いているように、役としては可愛げのない部分が強かったんですが、でも演技という意味では抜群。彼自身、元々演技に興味がなかった上に初主演という大役だったようですが、信じられないほど素晴らしい演技でした。感情豊かで。

それと「賃借人」のマックス・フォン・シドー。この人の名演も外せません。いい爺さんは末永く元気でいて欲しいと心底思いますね。

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