ゲームレビュー0004 『ファイナルファンタジーXIV 黄金のレガシー』

もうしばらくゲームのレビューは書くことないかな…と思っていたんですが先日14の拡張が来てクリアしまして、いろいろ思うところあってnoteの感想を読み漁ってたら自分も書こうかなと思ったので書くことにしました。

ただnoteと違って個人ブログなのでおそらく現役プレイヤーで読む人はいないと思われます。よってこれもまた自分のための備忘録&ストレス解消みたいなものです。

なおスタッフについては詳細がわからない(スタッフロールに出てたとは思いますが40分超えの超長スタッフロールなので流したままスマホゲーやってたし知らねえ)ので超端折っております。

ファイナルファンタジーXIV 黄金のレガシー

FINAL FANTASY XIV: DAWNTRAIL
プロデューサー

吉田直樹

ディレクター

吉田直樹

脚本

不明

音楽

祖堅正慶

発売日

2024年7月2日 各国

製作国

日本

視聴環境

PS5(TV)

ファイナルファンタジーXIV 黄金のレガシー

王座陥落の呼び水となってしまうのか。

5.5
遠い王国の後継者争いに力を貸すヒカセンご一行様
  • 新しい大陸で後継者争いの1陣営に加わるヒカセン
  • しかし別陣営には暁の仲間が…!
  • とか言っといて全然戦わない
  • シナリオがダメダメのダメ

概要

映画とは違うので前段の説明が結構必要になるかと思いますがそれは後述するとして、とりあえず楽しみにしていた割に最後の方はもう義務感で終わらせに行った(なんとか7月の3連休中に終わらせようと無理くり進めた)感じで、まー予想してはいましたが直近の拡張とは雲泥の差でしたね。

──なんだかんだで世界を救った後──

オールドシャーレアンにやってきたまだ見ぬ大陸「トライヨラ」の王女・ウクラマトに「王位継承のために行われる“継承の儀”に協力してほしい」と頼まれたヒカセンはそれを受諾、亡き祖父がトライヨラに関わっていたと思われることから参加を希望したクルルと、帝国復旧のヒントをもらおうと多部族国家を見に行きたいアルフィノ・アリゼー兄妹、そしてウクラマトの幼馴染であるグリーナーのエレンヴィルたちと長い船旅の後、ついにたどり着いた“新大陸”で新たな冒険が始まるよ…!

大前提のお話

まず自分のプレイスタイルですが、もう超ライトもライト、極も零式も最初から行くつもりはなく、メインジョブを聞かれれば胸を張って「クラフターです」と言っちゃうぐらいのライト勢です。シナリオ進行はナイトでやりました。(一応戦闘職メインがナイト)

正直戦闘は圧倒的にFF11の方が面白いと思っているんですが、じゃあなんで14やってるのと言われればそれは「シナリオが見たいから」です。それだけ過去の拡張が良かったわけですが…。

14の拡張を面白かった順に並べれば、

漆黒>>>暁月>>蒼天>紅蓮>>>黄金>新生

という感じ。

ちなみに全FFも含めるとやったことがないのは2と15で、それ以外はすべて通ってきています。リアルタイムでパルスのファルシのルシがコクーンでパージもしました。

シナリオについて

ちょうど仕事が暇だったのでかなりのnoteを読み漁った結果、同じように感じている人が相当数いるんだなと思いつつ同じようなことを書いても長くなるだけであまり意味がないかなと思うので、(当然同じようなことも含まれますが)どうしても言いたいことについて箇条書きでザザッと触れたあとは少し俯瞰したもっと広い意味でのこの拡張について書きたいと思います。

一応ネタバレは若干配慮しますがどうしても終盤についても触れざるを得ないので、気になる方は読まないほうがいいでしょう。

まず肝心のシナリオについて。

ツッコミどころが多すぎるのでざっくり書きますが、前半戦となる「継承の儀」についてはいろいろと不満がありつつも「まあ暁月で一旦終わった物語の仕切り直しだし」で大目に見て“あげよう”かなと思う程度ではありました。(思いっきり恩着せがましいのはここが許容範囲の限度に近いから)

もう散々いろんな人が言っているように、料理対決でその組み合わせはねーだろとかあいつの翻意が簡単すぎるだろとか発売前から煽るぐらいの“災厄”の扱いが軽すぎるだろとかもう文句を挙げたらキリがないんですが、それも丸っと目を瞑って「…今後につながるフリなんだよね?(だから許すか)」と思いつつプレイしました。もちろん大前提として「立ち位置的には新生と一緒だから大して面白くなくてもしょうがない」と思って、のことです。

前半戦の感想は一言で言うと「ストレートすぎる」で、言いたいメッセージをやたらストレートにぶつけてきて「行間で想像する余白」みたいなものが圧倒的に足りておらず、申し訳ないけどやっぱりメインのシナリオとしてはテクニックに欠けるかな、といったところ。

で、僕はこの継承の儀で今回は終了なのかなと思ったらこれはまだ前半戦で、このあとおそらく本腰を入れたのであろう本編が始まるわけです。

その本編である後半戦については、SF&ディストピアを感じさせる設定はかなり好みでしたが、これまたシナリオが不味い。ズイマー。

前半をフリとしての後半ではありますが、これまた散々言われているようにキャラクターの掘り下げ不足も甚だしいので感情移入が難しく、おまけにラスボスはポッと出もポッと出なので輪をかけて感情移入できない。

あのラスボスで行くならやっぱり精々今回の拡張は継承の儀まで(=継承の儀をもっと深く描いてキャラクターも掘り下げる)にして、その後のパッチで徐々に進めて7.3で完結…ぐらいの進行で良かったと思います。あの人(ラスボス)最初から出てくるわけでもないし。(もっと言えば「継承の儀」もやめてほしいけど)

その「大きく分けて2部作」になっている=必然的に内容が薄くなる、のがまず失敗の大きな要因の1つかなと。もう「失敗」って言い切っちゃってますけども。

…とこのペースで書いてたらやっぱりめちゃくちゃ長くなるので、ここからはかいつまんで箇条書きタイムです。

▶「母親不在」問題

今回出てきた新キャラたち、家族にフォーカスした内容であるにも関わらず、軒並み母親の存在が不自然なほど触れられていません。(バクージャジャ除く)

この「不自然なほど」というのがポイントで、今の御時世女性の役割を軽視した創作物は間違いなく悪手なだけに、「これは今後のパッチで語られるためにあえて触れてないのでは…?」と穿った見方をせざるを得ず、仮にこの想像が合っているとすれば圧倒的に隠し方が下手です。いや下手なところ他にも山程あるんだけど。

特にグルージャについては100%誰もが「ゾラージャセックスしたの!?」「相手は!?」と思うはずで、「ゾラージャが子どもを作るはずがない」意外性と同時に母親も描写されない違和感が凄まじく、せめて前半戦で子どもを持ちそうな気配(セックス大好きだぜェ〜! とかそういう意味ではなくて)を見せるとか、何かしらないとさすがに唐突すぎます。この内容では「物語を進行させるために便利なキャラとして生み出された」と見なされても仕方がない。そもそもグルージャも自身が受けた扱いの割に精神的な父依存度が高すぎるのも違和感がありました。

▶「種まき」問題

で、その流れで行くと今作は「一つの大きな物語が終わったあとの種まきである」と散々吉田も言っていた通り次への布石という位置付けなのは間違いないところですが、あまりにもシナリオが掘り下げ不足で不満が残る内容なだけに、上記母親の存在含め「この先で語るために片手落ちばっかりなのか?」とこれまた穿った見方をしてしまうんですよね。

おそらく新生〜暁月は「後付であの設定を引っ張ってきた」の連続で“それでも良いものが出来た”自負があり、今回は最初から伏線を散りばめようぜでこうなったのかな…と。想像でしか無いんですが。というかそう想像しないと納得できないぐらいに全体的に掘り下げが足りなすぎる。いくらなんでも「フリとして作りました」というエクスキューズがなければこんなシナリオ通るわけがない、と思うんですが…。

▶「列車の歌」問題

えっ、なんでここで主題歌的なものが!? と驚くと同時にあまりにもこっちの感情と合ってなさすぎて笑いました。そんな盛り上がらないといけないところだったの!? って。

ここは本当にびっくりしましたね。多分(今回の拡張に限らず)FF14をプレイしていて一番「見せる側」と「見る側(おれ)」のギャップを感じたシーン。

▶「では気にしません」問題

顕著だったのが「では気にしません」のウケブですが、まーとにかく同じネタをこすりすぎ。こんなのせいぜいやっても3回ぐらいですよ。何回同じことやって何回同じ返しするんだろ、って恥ずかしくなりました。

他のギャグシーンも妙にギャグを誇張しているというか、「笑いどころですよ」とたっぷり間を取って見せてくれるのでもう直視できませんでしたね。恥ずかしすぎて。そもそもユーザーの年齢層が高いゲームなんだからもうちょっと演出考えてほしい。

笑いのシーンは本当にセンスが必要だと思うのでそれだけ難しいのもわかるんですが、例えば最近の流行りだと割とスルーする(無かったように次のシーンに行く)とかだと受け入れやすいし良いのかなと思いますがどうなんでしょうか。

天丼回数については「さすがにちょっとくどすぎない?」ってスタッフの誰かが言っててもおかしくないと思うんですが…。誰もそう感じる人がいなかったのかなぁ。

▶「ヒカセンの選択肢選べない」問題

今回、自分(ヒカセン)は蚊帳の外で絶賛ファイナルウクラマトファンタジーだったことは論を待たないところ(本当にファイナルにしてほしい)ですが、それでも一応操作キャラなのでお前の意見を聞くぜ的な場面で出てくる選択肢が結構どれもこれも「えっ、どれでもない…」と選べない(どれを選んでも違和感)ことが多く、過去一で自分と自キャラの乖離を感じました。これはつまり過去のヒカセンとの連続性がうまく行っていないということなので、いくらシナリオ担当が変わったとしても開発全体としてもうちょっとちゃんと見ないのか、と全体への不信感につながりました。が、あんまりこのことには言及している人がいないので自分だけかもしれません。

▶「暁を二分する戦い」問題

これはどうしても言っておきたいんですが、同じように思った人も山程いたようでそりゃそうだよねという話。

発売前から「暁を二分して(陣営が分かれて)の戦いになる」と散々煽っていたので、いよいよ連中と戦えるのか、なんならきっちり(主に同じタンクであるサンクレッドに)格付けしてやんぞと鼻息荒く楽しみにしていたんですが、蓋を開ければIDでちょっと壁崩して遠回りさせられた一回のみであとはほぼ共闘という…これには本当にがっかり。だったら最初から一緒でええやんけ。

▶「暁コンテンツサポーター」問題

個人的にコンテンツサポーターは非常にありがたく、そのおかげでメインも進めやすくなったのでその辺のシステムについてはあまり文句が言えませんが、ただやっぱりどうしてもこのシステムのおかげで人数合わせ的な視点は終始つきまとってしまい、「コンサポのために暁がついてきている」ようにしか見えない状態は健全じゃないと思うし、同時に例えば「このメンツだとヒーラーいないから(何でもできる便利屋の)グラハがこっち来るんじゃね」みたいなちょっとメタ目線でついてくる人が読めてしまうような問題はあるなと思います。

これはやっぱり他の人が言うように、現地の頼れるNPCみたいな新キャラでいいと思うんですよ。わざわざ暁にしなくても。どうしても暁のメンバーが出てくると継続性(≒マンネリ)が感じられてしまうので、新たな仕切り直しであればなおさら別の方法にしてほしかった。

▶「アゼムのクリスタル便利グッズ化」問題

で、コンサポが使えない討滅戦が来るぞとなると「どうせまたアゼムのクリスタルで野良メンバー呼ぶんでしょ?」と思ったら案の定そのパターンなわけです。

これ、確かにシナリオ描写上は超便利なアイテムだと思いますよ。これ以上ない「野良呼びを演出に溶け込ませる」ものだとは思います。

ただこんな頻繁に使っちゃったら漆黒・暁月の物語の価値がどんどん下がって行きませんかね? そんな気軽に使って良いアイテムだったっけ?

これはあの場面で使ったからこそ「うおおおお!」と興奮したアイテムなので、それをもう散々使って最終的には「あれ? もう呼べない?」ってコンコン叩いちゃうぐらい安易に使いまくられるようなアイテムじゃないと思うんですよね。(念の為書いておきますがまだそんな雑な扱いはされていません。最終的に、という話)

これはnoteを読み漁る限りあんまり言及している人を見なかったんですが、僕はここにものすごく引っかかりました。簡単に使いすぎだろ、って。

ONE PIECEの空島でしょっちゅう笛吹く感じ。ガン・フォールも疲れて死ぬわ。

「本来は貴重な思いのこもったアイテムだったのに、システム的に便利に使われて陳腐化する」ってシナリオを大事にする者が一番やっちゃいけないことだと思うんですけどね。

ここは以前の形に戻って普通に対峙→暗転→コンテンツ開放でいいんじゃないかな…。その後アゼムのクリスタルで呼んだかもしれないけど、それは各々が脳内補完しました、でいいでしょう。わざわざ使用カットが挟まると本当に価値が減って行くだけで良くない。おっぱいだって初めて見た方が興奮するでしょう。(最低の例)

▶「ウクラマトファンタジー」問題

そしてやっぱりこれ。

僕はFF14の良さは「自分が主人公である」ことを実感できるシナリオだと思っているので、今回の完全にウクラマト主人公・自分は後ろで見守る系はあまり好きになれなかったんですが、それでもまあ面白ければ全然許したと思います。(ちなみに僕は自キャラ=自分の投影ではなく、自分の推しが自キャラの感覚)

ウクラマト自体についても、継承の儀の途中ぐらいまでは別に嫌いじゃなかったんですよ。まあこういうキャラもいるよねぐらいで。ただケモナーではないので最初に知った時点で普通のキャラにしてほしいなとは思ってましたが。

彼女に関してはキャラクターどうこうよりとにかくゴリ押しされすぎて途中から嫌になりました。別に気になってない状態でプレイしていて、途中で「いくらなんでもウクラマトと行動させられすぎじゃねえか…?」と気付いた時点でもうムリになってしまい、それ以降はシナリオ自体への興味も薄れていく感じで。

「ここは二手に分かれて…」的な話が出てくるともう自分は100%ウクラマトと組まされるのがわかっているので、「うわまたきた」とその都度どんどん嫌になっていってしまうというつらさ。作り手がゴリ押しの問題や危うさをわかってない。唯一離れられたのが荒野を除けばゲーミングエナドリっていう。あそこはちょっと面白かったけど。

余談ですが、僕は大谷翔平を応援してはいるものの、あまりにも「誰も嫌がらない差し障りのないコンテンツ」として消費されすぎて見るのが嫌になってしまい、朝のニュースで出てくるとチャンネルを変えるぐらいになってしまいました。

彼が嫌いなわけではないんですよ。見たいときは自分で見に行くこともあります。でも朝6時半と7時とで2回も同じ映像を同じ浮かされっぷりで流されるのは話が別で、そういう構成に嫌気が差してくるんですがそれとまったく一緒だなと思いました。

つまりこれもメタ的な目線になりますが、ウクラマト自体は別にいいんですよ。言いたいことはあれどそういう人(キャラ)だしそれはそれ、です。ただその彼女をゴリ押してくる運営(シナリオと演出)に嫌気が差してくるんですよね。

映画でもそうですが監督のドヤ顔が透けて見える感じ。「いいだろ? いいやつだろ?」って。もうラストバトルの乱入なんて「え!? ここでも!?」と心底驚いたし驚きすぎて逆に笑いました。ここまでするか、って。シナリオライターはウクラマトに家族を人質にでも取られているんでしょうか。もはやここまで来るとウクハラですよウクハラ。なんか格ゲーうまそうだな。

そういうところにめちゃくちゃ冷めてしまい、おそらくは物語の良し悪し以上に評価が下がってしまったと思います。

もちろんシナリオ自体問題だらけなんですが、それと同時に見せ方にも問題があるので掛け算で評価が下がる。負のウォーズマン理論ですよ。

▶「FF9」問題

最初に書いた通りFFシリーズは2と15以外、11(の星唄まで)含めて全部クリアしていますが、その自分が一番好きなナンバリングタイトルが9です。もうダントツで一番好きです。

なので今回の9のオマージュには大変ご立腹…してないんですよね、これが。

かなりお怒りの方々の意見もよくわかります。「守るべきもの」の使い所そこじゃねえだろ、も死ぬほど同意します。が、僕としては今作の9要素は借り物レベルなのでそんなに気にならないというか、9と見なせないんですよね。

っていうか僕にとって9とはイコールでビビなんですよ。もう最愛の愛犬の名前になっているぐらいなので。

ビビはすでに事件屋で使われているからか今回の9要素にはほぼ登場しないので、ビビが登場しない=9とは見なせないというだけの話で、仮にこの内容を持って開発が「9のファンが喜んでる」と思ってるとすれば頭悪すぎるでしょとしか思いません。

数少ないビビ要素の「雲の上に記憶が〜〜」の部分はイラッとしましたが、まあその程度であとは「9の曲が聞けてラッキー」ぐらいにしか思っていませんでした。違いすぎて。

逆にビビらしき要素がもっと入り込んできてたら相当激怒してたかもしれません。グルージャがもっとビビっぽかったりとかしたら。でもグルージャってどっちかって言うと見た目的にはパック(ネズミ)の方じゃん。

ただ「やるならもっとちゃんとやれ」というのはまったくその通りで、むしろ9要素が入ってくるタイミングの時点ですでにウクラマトに嫌気が差し、義務的なメイン進行となっていたために「こんなの9じゃないでしょ」と直視していなかった疑いも残ります。嫌なものからは目を背けるのが一番。

軽く(軽く?)こんな感じですが、他にも思い出したら追記します。

本題

さて、ここからが本題です。ここまで想像以上に長引きましたが仕事も暇なので仕方ないですね。

「16」のときにも書きましたが、この14及び16を作っているスクエニの第三開発事業本部(今はクリエイティブスタジオ3と言うらしい)は、そのトップである吉田直樹氏のキャラクターも相まっていわゆる“信者”と“アンチ”に二分されたちょっと独特の開発チームなんですね。

吉田がかつてのFF14を全部作り直して成功に導いたエピソードはなかなか他に例がないような開発エピソードなので、それ故にメディアの露出も多いし超薄っぺらい「情熱大陸」が作られたりもしました。あんな薄っぺらい内容でTBS大丈夫か!?(余談)

彼は定期的に開発状況を放送しながらユーザーとやり取りしたりする、ユーザーとのコミュニケーションを大切にしている(と見せるのが上手い)開発者なんですが、ただその長年続けた姿勢が今作の出来によって逆に仇となって非常にまずい事態に追い込まれるのでは…と他人事ながら心配しています。

今作、ネットの評価を見るにまさに賛否両論で、大半が評価していた前作前々作とは違って少々厳しい評価がなされています。ただそのこと自体はおそらく織り込み済みでしょう。仕切り直しだし。

が、ここに罠があります。具体的には大きく2つ、「グラフィックアップデート」と「メインライターの変更」。

まず最初の「グラフィックアップデート」はその名の通り「グラフィックを綺麗にする」という、良いことしか無い変更なのでユーザーもみんなニッコリ…かと思いきやかなりの不満が噴出している状況で、おまけにその不満をどうやら封殺にかかっているようで非常にまずい状況です。

僕個人としてはお気に入りのマイキャラ(アウラ♀)がより綺麗になってニッコリ派なんですが、当然不満の声の方が大きく聞こえてくるのは世の常なので…まあ怨嗟の声がすごいんですよ。

中には引退に言及している人も少なからずいるようですが、それもまた世の常だから…と同じユーザーとしてはスルーできても、同じように開発がスルーしちゃってるのは流石によろしくないのではないかなと。

もちろん個別の不満にいちいち応える必要も無いですが、噂によるとフォーラム(公式の掲示板のようなもの)に書き込まれた不満は削除、応援は(スレッドに関係なくても)残すというような、もう超安易な情報操作が行われているとかで…さすがにそれはまずいわけです。

これはもうそのまま「不満は聞く耳を持たず、耳障りの良い意見は聞きます」という幼稚な態度でしか無いので、政治家じゃないんだからと皮肉の一つも言いたくなる始末。

僕はあまりフォーラムは見ていないのでこれも噂レベルでしか無いんですが、「どうせ不満って罵詈雑言なんでしょ」と思いきやどうもかなり建設的にしっかり、同業と思しきプレイヤーからの「こうした方が良いと思います」というような意見も削除しているらしく、明らかに「不満はない(少ない)」かのように取り繕おうとしているようで、これはさすがに悪手も悪手ではないかなと思います。

そして同時にこの不満が噴出しているグラフィックアップデートについて、「ユーザーとのコミュニケーションを大切にしている」のが一番のウリであるはずの吉田がだんまりを決め込んでいるというのも、これまでの情報開示の姿勢が「都合の悪いときはだんまりなのかよ」とブーメランとなって刺さってきている様相を呈していて、これは日を追うごとに不信感を増幅させている非常にまずい状況になっているように見えます。

正直、その内実を慮れば、開発側が想定していた以上にユーザー側の不満が多かったために「これに対応するには範囲が広すぎる(どこまでやるべきなのか線引きできない)」状態になってしまい、落とし所を定めるまでに時間がかかっているのではないか…と予想していますが、当然ながらそんな配慮をしてくれるユーザーばかりではないわけで、刻々と不信感が高まりユーザーが離れていく…という負のスパイラルを招いているのではないか、というのが一点。

次に「メインライターの変更」について。

このこと自体は事前に告知もされていたので、出来が悪い(と感じた)から元に戻せというのは意見としては下の下でそんなことを言うつもりはもちろんありません。企業として後進を育てる必要があるのももちろん理解できます。

ただ「後進を育てるために出来の悪いシナリオでも我慢してね」もまた通る話ではないのは間違いなく、やはり変えるのであればそれなりのレベルまで引き上げて、磨いてから発売するべきなのも当然でしょう。ユーザーは拡張ソフト代に加えて月額料金まで払ってるわけですからね。

本人たちが言っているように、FF14は吉田を含めたシナリオチームが「シナリオ合宿」をしている、というのは有名な話で、それこそさっき出てきた薄っぺらい情熱大陸でもそのシーンがあったように記憶していますが、さすがに今までの物語を紡いできた歴戦のライターたちが雁首揃えてこのレベルでOK出したのかよ、というのは指摘せざるを得ません。

最初に上がってきた話がこれなら全然納得できるし良い線行っていると言ってもいいでしょうが、そこを詰める作業が圧倒的に足りていなくて、そこが出来ないなら「メインライターの変更」なんてしちゃダメでしょ、という話です。

「シナリオ合宿」のときに誰一人「荒野の部分いる?」とか「ゾラージャセックスしたの? 誰と?」とか「扉見つけたのにすぐ帰るの?」とか言わなかったんでしょうか。自分が参加してたらその他にも山程言いたいことがありますが、誰一人そこに引っかからずに「いやーこれ良いのが出来たね」とか言ってたんでしょうか。今までの積み上げはなんだったんだ…。

確かに吉田はプロデューサー&ディレクター兼任で忙しいのもわかるしおまけに取締役でもあるしメディア対応の顔でもあるしで大変なのは察しますが、ここのクオリティを担保できないのであればもうそれはPD兼任も無理ってことなんだから降りるべきですよ。

個人的に吉田は信頼できる開発者だと思っていましたが、今回の雑な仕上がり(「守るべきもの」の使い所一つ取っても雑としか言いようがない)を見てさすがにもうPDその他兼任は難しいのではないかなと感じました。それこそシナリオ以上にディレクターを後進に譲るべきでは。明らかに負けが込んできてるのにエースの座を譲らない往年の名投手みたいになってるじゃん…。

さて、最初に「信者とアンチがいる」と書きましたが、実際どちらも割合としては多数派ではなく、中間にはいわゆる無党派層的な人たちが少なく見積もっても半分以上はいるんじゃないかな…と適当に思ってます。僕もそこに位置します。

で、この2つの問題がどうして大きいのかと言うと、その中間の人たちが離れてしまう危険に直結するんですよね。

僕がなぜ戦闘はほぼシナリオを進めるために必要があるものぐらいしかやる気がないのにこのゲームをやっているのかと言うと、それはもうシナリオが見たいからでしかないんですよ。

きっとそういう人って多いと思うんですよね。11みたいに(功罪両面ありますが)強い武器を手に入れるには相当な労力がいる、とかもなく復帰したらすぐ最前線に戻れる作りでもあるので、「しばらく休んだけどシナリオのために復帰する」人なんていっぱいいます。

が、今回のレベルでは正直「まあもういいかな…」となりかねない。先も別に気にならないし。次への興味を抱かせるという意味で終わる場所まで下手でした。実際僕も正直次の拡張がどういうものになるのかがわかるまで2年は休んでもいいかなと思ってます。(とは言えプテラノドンチャレンジの苦行部分(ギャザラー)を終えたばかりなのでプテラノドンを取るまでは辞めませんが)

そして同時に「グラフィックアップデート問題」への対応のまずさが運営への不信に繋がっているので、「シナリオが悪くなった」上に「ユーザーとのコミュニケーションも真摯さが無くなった」と感じた中間の人たちはかなりの数が離れていきかねないと思うんですよ。

信者はほっといてもずっとついてくるし、アンチはほっといても文句しか言わないのでどっちも特に気にしなくていいと思うんですが(ただし今回で信者が減った可能性はあります)、中間層が減ってしまうのは基本プレイ無料のソシャゲを例に引くまでもなくかなりまずい状態で、ここに来てついに14がMMORPG覇権の座から降りることになるんじゃないか…と若干それもやむを得ないなと思いつつ見ている状況です。

おそらくは相当ハードな仕事を経てリリースしたと思われるし、その直後で疲れも溜まった状態でなかなか機敏に対応しきれないだろうと人情的に理解もしますが、しかしこのままの状況で放置しておくとそれこそこの先10年保たずにサ終が見えるぐらいには暗雲が立ち込め始めているように見えるので、ここはもう一踏ん張りしてユーザーを安心させる何らかの声明を出すべきではないかなと思いますが、それはイコール拡張の失敗を認めることにもつながるのでかなりやりにくいだろうし、そこも含めて分水嶺に位置しているのでは…と思います。果たしてどうなることやら…。

無料に負けてますよ

実は少し前にフリートライアルで若い子にプレイしてもらったんですが、まーこっちがイラつくぐらい不満ばかり口にしていて全然ハマる気配もなく終えました。

MMOとはこういうものだしなぁ…と思いつつ、一方で今の若い人たちにはかなり難しいゲームなのかもしれないと改めて感じたわけですが、慣れている人たちも見捨てるような運営になってしまうと自ずともう衰退するしかなくなってしまいます。

もはやスクエニに期待しなくなって久しいですが、14もダメとなるといよいよもうまったく見るべきところのないメーカーと化してしまうので、厳しいことも書きましたがここは本当にもう一度ネジを締め直して頑張ってほしいところです。

ちなみに今作のタイトルは「黄金のレガシー(遺産)」ですが、同じく「遺産」をテーマにした崩壊スターレイルの最新シナリオは出来が大変素晴らしく、正直今回の拡張のレベルでは「基本プレイ無料」の崩壊スターレイルに完敗と言っていいでしょう。

そのことに対する危機感や有料であることの意味と価値について、もう一度開発スタッフは捉え直した方がいいのではないでしょうか。

このシーンがイイ!

ベタだけど良かったのはオーティスのエピソードですね。守ってる人、すぐ別の身体に移れるのがアレだけど…。

ココが○

トライヨラの曲がノリノリで好きです。

その他音楽については正直そこまでピンと来なかったんですが、今回に限ってはシナリオとその演出の拙さに引っ張られている面も否定できないので、評価としてはなんとも言えません。

結局自分のプレイスタイル的にIDボス曲のウエイトが大きいと思っているので、なんかいまいちパッとしないなとは思いました。要所要所でいい曲はあったと思います。

ココが×

結局はシナリオに帰結してしまうお話。奇しくも「16」もシナリオがアレで評価できなかっただけに、第三開発のシナリオ班はチェック体制含めて大丈夫なのか? と心配です。

まーでももう正直今後よほどV字回復的に世間の評価が上がらない限りはスクエニの新作を買う気にもなれないし、次の判断基準は次の14拡張(かFF17)な気がするのでしばらくはあまり信用できない状態でいることになりそう。

昔のスクエニは大好きだっただけに、今のこの体たらくは本当に悲しいものがありますね…。

MVA

そんなわけでシナリオがシナリオだったのでキャラ的にこの人、というのはあまり出てこず、演技的な意味でこちらの方に。

武内駿輔(バクージャジャ役)

序盤のわかりやすいヒール。双頭。

グルージャジャも双頭どっちも同じ声優さんらしいので、バクージャジャも同じなんでしょうか。すごい。

っていうかあのウホァェッウホァェッウホァェッみたいな下卑た笑い声がすごすぎる。どうやって出すんだよ。

おまけにこの方、スタレのDr.レイシオと聞いてさらに驚きました。悪くない。プラス5点。

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