映画レビュー1552 『Flow』
基本的にアマプラを使うのはやめたいので、これから来年にかけてしばらくはアマプラで観ようと思っていた映画を消化していこうと思っております。まずはこちらから。
そして今年はこれにて終了です。また来年もよろしくお願いします。
いまだにこれを見る人がいるのか怪しいところではありますが、みなさん良いお年を。
Flow
ギンツ・ジルバロディス
ギンツ・ジルバロディス
マティス・カジャ
ギンツ・ジルバロディス
リハルド・ザイプペ
2024年8月29日 ラトビア
84分
ラトビア・フランス・ベルギー
Amazonプライム・ビデオ(Fire TV Stick・TV)

胸がいっぱい。
- 主人公の猫が流されるまま世界を旅する過程を見守るアニメ映画
- セリフは一切なく、動物たちの鳴き声のみ
- 擬人化もされておらず、リアルな動物たちの表情や習性を通して世界を見ていく
- オンリーワンの魅力を持った愛おしい映画
あらすじ
もうものすごく良かったです。びっくりしました。言語化できない魅力が詰まった傑作だと思います。
明示的には語られませんが、おそらく人類が滅んだあとの地球の話。
廃屋で暮らす1匹の黒猫が、近くの森で犬の群れに追われなんとか逃げ切ったところ犬たちに続いて鹿の群れが走ってくるところに直面。住処に戻るもどんどん水位が上昇していき、やがて住まいも水に飲まれていきます。
途中で犬たちが流れてきた船に乗って家の前にやってきて、その中の1匹であるラブラドールレトリバーが「一緒に行こう」的な感じで猫に吠えますが猫は警戒してついていかず、近くにあった巨大な猫のモニュメントに登ってやり過ごそうとしますが次第にそのモニュメントも水に飲まれていきます。
もうダメかも…となったところで別の船が流れてきて運良くそれに乗った猫。先に乗っていたカピバラは猫を追い払うこともなくのんびりしております。
こうして共同生活的な流れ旅が始まった猫とカピバラ。その後も様々な出来事と出会いがありますが…あとはご覧ください。
説明が難しい傑作
ラトビアの映画は初めて観ると思いますが…まあこれほどまで良い作品だとは思いませんでした。
文章で説明するのが非常に難しい映画なんですが…すごく独特な内容であることは間違いありません。
(良し悪しではなく描写として)ディズニーアニメ辺りとは正反対の、擬人化されておらずセリフもない純度100%(でもないんだけど印象的に)の動物たちの旅をひたすら見守る映画です。
監督を始めとした製作に携わった人たちは本当に動物が好きなんでしょうね。再現度がとんでもないです。
特に猫と犬があまりにも猫と犬。アニメーションでここまで動物を再現しているものは他に観た記憶がありません。鳴き声も実際の動物の鳴き声が使用されているそうです。
主人公の猫なんて本当に「猫そのもの」としか思えなくて、動作や表情はもちろん臆病だったり好奇心でチャレンジしたりの性格まで、本当にザ・猫。ものすごく猫が飼いたくなりました。作りものの猫なのに、本当に生きているように感じられてものすごく愛おしい。
一部、物語の進行上必要と思われる部分で作為的な行動がありますが、基本的には「マジでこうなりそうだな」と思えるようなそれぞれの動物たちの性格を反映した自然な行動で話が進んでいきます。
ただそれを眺めていくだけなのでとてもシンプルな内容と言えるんですが、しかしちょっとしたシーンもとても感情に訴えてくるシーンばかりで、全然飽きないし観ていて胸がいっぱいになりました。何なんだろう、この良さ。
なにせセリフもなくナレーションもない映画なので、完全に動物たちの表情や行動、鳴き声の感じでそれぞれのシーンの意味を噛み砕きながら観ていく形になるんですが、この手のポストアポカリプス映画に出てきそうな「人間の愚かさの残滓」的なメッセージ性もまったくなく、「世界がこうだからこうなる」みたいなストレートな内容にしたが故に逆に純粋な動物たちの世界を構築できている辺りにものすごいパワーを感じました。
というかそもそも人間が滅んでいる描写もまったく出てこないんですよね。人間は一切出てこないしなんとなく滅んだんだろうなと思えるだけで。核戦争の爪跡みたいなものもまったくなくて、普通に緑豊かな地球のまま人間だけがいない世界が舞台になっています。
最初、猫が暮らしていた家は明らかに人が住んでいた家だし、そこにおそらく主人公の猫を描いたと思われるスケッチのようなものもちょっとだけ出てきます。その描写から、おそらくこの猫は飼い猫だったのではないか…と想像させますがそれも想像であって事実はわかりません。主人公の猫はスケッチの猫の子孫の可能性もあるし。
仮に飼い猫だったとすると人間が滅んだのは割と最近の出来事ということになりますが、そうであろうがそうでなかろうが内容にはあまり関係がなく、そこがまたすごく「動物だけの世界」を強調しているように感じました。人間の存在は本当に“どうでもいい”ものとしてまったく気にかけていないというか。
その辺の割り切り方にものすごい純粋さとある種の残酷さが込められているように見えて、そこから観ていくことになる“世界”へのなんとも言えない無力感と同時に動物たちへの感情移入が高まるように思えるんですよね。その辺の作り方が本当にすごい映画でした。
ぜひ観てほしい一本
あんまり細かくいろいろ書くこともないので、これは本当にぜひ一度観てほしいですね。特に動物が好きな人であれば絶対にグッと来るものがあると思います。
ものすごく愛おしい映画で、これでもし旅の仲間にラッコがいたらオールタイムベストに入ってくるぐらいの良さがありました。危ない。(?)
正直ここでの壁打ちなんかより観た人とこの映画の話をしながらご飯を食べたりしたいですね。解釈の幅もいろいろありそうなだけに、余計に人と語らいたくなる映画だと思います。
言語依存度がゼロなのでどの国だろうとそのまま流せるのもコンテンツとして強すぎる。
いや〜本当にものすごい映画だと思います。ぜひ観てください。
このシーンがイイ!
すごくいいシーンがいっぱいありましたが、結局猫が毛玉を吐くシーンとか犬がボール遊びをねだるシーンとか、ああいう何気ないシーンをきっちり盛り込んでいるおかげで生を感じられたので、あの辺のシーンが大変愛おしかったですね。
ココが○
全編いいですよ。もう。ずっと観ていたかったぐらい。
詳しくないけどBlenderで作ったとかマジカヨ…。
ココが×
自分がそうではないからわかりませんが、動物が好きではない人はあんまり面白くないかもしれません。
でも人間より動物のほうが良くない?(思想強め)
MVA
なにせこういう映画なので…誰がいいとか悪いとかもないので該当無しということで。
ただカピバラさんの癒やし度は半端なかったですね…うちにもいてほしい。みんな良かったけど。


