映画レビュー1455 『ナイブズ・アウト/グラス・オニオン』

諸事情により数年ぶりにネトフリ復帰しまして、まず最初に観たかったこちらの映画を。

ナイブズ・アウト/グラス・オニオン

Glass Onion: A Knives Out Mystery
監督
脚本

ライアン・ジョンソン

出演
音楽
公開

2022年11月23日 アメリカ

上映時間

139分

製作国

アメリカ

視聴環境

Netflix(Fire TV Stick・TV)

ナイブズ・アウト: グラス・オニオン

続行でお願いします。

8.5
億万長者のプライベートアイランドでマーダーミステリーのハズがマージー殺人
  • 億万長者の私的な遊びに呼ばれ(?)て行ったら殺人事件に遭遇する探偵
  • 軽快でゆるいながらちゃんとミステリーしていて安定した面白さ
  • ただし終盤の展開は若干雑
  • 豪華なカメオ出演も楽しい

あらすじ

そもそも劇場に行きたかったんですがコロナ禍で腰が重く、配信だとネトフリしかないから観る機会が…と思ってたんですがまさかの復帰で観られました。期待通りに面白かったです。

巨大ハイテク企業アルファ社の創業者で億万長者のマイルズ・ブロン(エドワード・ノートン)は、旧知の間柄である友人5人にプライベートアイランドでの休暇の招待を送り、それぞれ集合。
どうやら彼らは定期的に集まっているようなんですが、今回はその中に“初参加”の世界一の名探偵、ブノワ・ブラン(ダニエル・クレイグ)の姿が。
なんでも彼も「招待状が来た」とのことで島にやってきますが、マイルズは「招待してないんだけど」と困惑。
それでもまあせっかくだし…とマイルズ肝いりのメインイベント、マーダーミステリーにご招待されますが早々に解決してしまいドッチラケでございます。
しかしそんな中、本当の殺人が発生してしまいまして…。

古畑任三郎感

ダニエル・クレイグが怪しい探偵を演じるシリーズの2作目。
監督(兼脚本)のライアン・ジョンソンは「ナイブズ・アウト」のタイトルをどうしても入れたくなかったそうですが、ねじ込まれてご立腹のようです。
確かに「ナイブズ・アウト」じゃないし入れたくない気持ちもわかります。ナイブズ・アウトの意味、よくわかってないけど。でもほら、前作は大量のナイフがオブジェになってたのが印象的だったし? みたいな? でも今作はナイフ出てこないし? っていう?
そもそもこのシリーズの発端が「アガサ・クリスティーみたいなやつ、やりたいよね」らしいので、となるとそれぞれ別タイトルで独立した話に見せたい、という作家性みたいなものもわかります。
一方でただの「グラス・オニオン」だけだとなんだかわからなくて弱いし前作好評だったんだからその恩恵を、と考える配給会社側(多分)の思惑もよくわかります。この辺は難しいところですね。

その辺の事情はさておいてクセのあるダニエル・クレイグが観られるミステリーシリーズですが、今回は前作にも増して(良い意味で)鼻につく探偵を嬉々として演じているダニエル・クレイグがもう楽しい、それだけで観る価値があると思わせる一本。好きだわー、このシリーズ。
今回観ていてふと思ったんですが、ちょっと古畑任三郎っぽいんですよね。ブラン。
怪しい喋り方にしてもそうだし被疑者からすれば鬱陶しいことこの上ないキャラクターにしてもそうだし、かっこいいはずなんだけどそれ以上にクセが強いからそう見えない辺りもすごく古畑っぽい。
なので古畑任三郎が好きだった人はきっと好きなシリーズじゃないかなと思いますがどうでしょうか。
今作はいわゆるG●●gleの創業者的な人物を中心に、ちょっと鼻につく(鼻につくやつばっかり出てくるな)面々が殺しを巡ってその関係性に変化が訪れる的なお話。
殺人事件そのものの謎やトリックみたいなものはあくまでサブ的な要素で、メインは登場人物の人間関係から導き出されるドラマだと思われます。なのでその意味ではあまりミステリーっぽくはなくて、コメディの印象の方が強いかもしれません。
とは言えしっかり謎に対する振り返りの時間もあったりして“それっぽい”作りではあるので、僕としてはミステリー的な雰囲気も味わえて大変満足です。
またメタ的な話になりますが、洋画疎い勢ならまだしもそれなりに出演俳優について理解している人であれば、この手の映画はキャスティングの時点で大体犯人(を演じる俳優)が絞れてしまうという悲しい事情があるので、あまり「犯人は誰だ!?」的な方向に引っ張りにくい、という問題もあるでしょう。なので「オリエント急行殺人事件」よろしくひねらざるを得ない、と。(あれはアガサ・クリスティーの原作がそうなんだろうけど裏返しで映画化しやすいひねり方なんですよね)
例えば今作で言えば、ぶっちゃけキャスリン・ハーンが犯人とかあり得ないじゃないですか。地味すぎるでしょその展開。
僕はもうキャスティングを見た時点で「あっイーサン・ホーク出てるのか。じゃあもう犯人絶対イーサン・ホークじゃん」ってわかっちゃいましたからね。即。
そしたら超ちょい役で草、みたいな。(オープニングで謎のコロナ対策ガンみたいなの撃ってた)
逆に言えばこういう「鑑賞前にキャスティングで読めちゃうぜ」って人たち向けの煙幕としての豪華なカメオ出演なのかなとも思ったんですけどね。もう一人いましたけども。名前は出さないのでぜひお楽しみに、ということで。

このまま続けて

非常に楽しめた映画なんですが、内容的にあまりいろいろ言うこともできないので早めの撤収になります。
たださり気なく昨今の社会問題が込められた設定だったり、地味に時代に聡い話なのも面白いところです。
おそらくシリーズはまだまだ続くと思われるので、今後も同じように作ってくれればいいなということで。
ダニエル・クレイグも007卒業後のこれからがより一層活躍できると思うし、ますます楽しみですね。期待しておきましょう。

このシーンがイイ!

どうでも良いシーンですが、オープニングで家にこもってるブランが通話しながらAmong Usやっててもうその時点で笑うんですがインポスターで追放されててさらに笑いました。このシーンはズルすぎる。

ココが○

非常に抜け目のない、笑わせどころもちゃんと上手く盛り込んでしっかり楽しませるレベルの高さ。多分このシリーズは大コケすることないんじゃないかなと思うぐらいに安定した作りですね。

ココが×

結末が結構雑なんですよね。力技で終わらせに行ってる感じで。そこはちょっと残念。

MVA

ダニエル・クレイグ…と言いたいところですがそれもまあつまらないかな、ということでこちらの方に。

ジャネール・モネイ(カサンドラ・“アンディ”・ブランド役)

かつてマイルズとともにアルファ社を創業したビジネスパートナーで今は袂を分かっているんですが、今回なぜか参加。
ってな経緯からもわかる通り、今作のキーマンです。
その存在自体が少しひねっているだけに、演技的にも美味しい役どころで上手く演じていて良かったですね。
前作におけるアナ・デ・アルマスポジション。
っていうかアナ・デ・アルマス、また出てきてもええんやで…?

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