映画レビュー1503 『グレイハウンド』

最近ちょっと更新滞ってまして申し訳ありません。
暇が無いわけではないんですがまージャケット描くのが億劫でまったく進んでおりません。
これは年末大量更新で苦しむ予感…!

さて今日の映画。
観たかった「サイロ」と「セヴェランス」のシーズン2を観終わり、目的も達したのでAppleTV+は一旦終了ですがその前にまだ観ていなかったこちらの映画を観ることにしました。
ちなみに「サイロ」は圧倒的にシーズン1の方が面白かったです。(最後気になるところで終わるだけって感じでずるい)
「セヴェランス」の方はシーズン1に負けず劣らずの面白さでした。あれはすごいドラマだね…。

グレイハウンド

Greyhound
監督

アーロン・シュナイダー

脚本
原作

『駆逐艦キーリング』
C・S・フォレスター

出演
音楽
公開

2020年7月10日 各国

上映時間

91分

製作国

アメリカ

視聴環境

Apple TV+(Fire TV Stick・TV)

グレイハウンド

やや淡白ながら真摯に描く“戦闘”映画。

8.5
上空援護がない孤立無援のエリアで非戦闘船の護衛を指揮する戦艦艦長
  • 第二次世界大戦中、上空からの援護がないエリアでひたすら味方の船を守る指揮官
  • 上映時間も短めでドラマもほとんどなく、ひたすら指示と戦闘を繰り返すシンプルな映画
  • それ故にややフリが弱い感はあるものの、真摯な作りで戦闘に没頭できる
  • かなり割り切った珍しいタイプの映画

あらすじ

物足りなさがありつつも、脚本・主演のトム・ハンクスのイメージも相まってかなり実直な作りの印象で良かったです。

第二次世界大戦中、商船や輸送船の団体が戦闘区域を移動することとなり、その護衛にはアメリカ海軍のアーネスト・クラウス中佐(トム・ハンクス)率いる駆逐艦隊が任に当たります。総勢37隻の護送船団、しかしクラウスは今回が初の実戦指揮の舞台。
やがて上空援護が望めない空白地帯に入ったところでUボートの存在が確認され、いよいよ戦闘開始となりますが、果たしてクラウスは無事彼らを目的地まで送り届けることができるんでしょうか。

近年稀に見るシンプルさ

あらすじもシンプルですが内容も至ってシンプル、近年稀に見るレベルのシンプル映画です。
最初にちょろっと主人公(クラウス)のバックストーリーが語られ、あとは現場で問題の海域に突入・通過するまでの一部始終をただ観るだけ。メインはその海域での戦闘です。
戦闘はさながら潜水艦映画を思い出させるような、軍隊特有の簡潔な命令を伝達して実行に至るテンポの良さを緊迫感につなげて戦闘の迫力を感じさせる形。無駄がなく、コンパクトでわかりやすい。
実際のところはわかりませんが、オープニングのクラウスの話を除けば(つまり“現在”のシーンに限れば)9割は戦闘シーンだった気がします。次から次へと危機が迫り、それに対処していく様をずっと観ていくような映画です。
限られた情報や戦力の中で、いかに被害を最小限に抑えて敵を制圧していくのか、短い時間で決断を次々と迫られる艦長の能力や人間性をひたすら眺めていきます。
もう本当にそれだけの映画。なので本当に珍しいタイプです。ここまで割り切って作っているのは。
でもそこがすごく良かったんですよね。実直で無骨な映画、って感じが。
ましてや主演は脚本兼務のトム・ハンクス。もはやコメディアン出身とは思えないほど真面目な人徳者を演じさせたら右に出るものはいない人だと思います。今作も「うわあトム・ハンクスっぽいなぁ」と思いつつ、あまりにも見事な現場対応っぷりとその控え目ながら優秀な指揮官の姿がぴったりすぎて、面白い以前に気持ちがいいぐらいでしたね。これだよこれと。

なんならドキュメンタリーっぽさすらある

あまりにもシンプル&上映時間も90分程度ということで、もう本当に他に特に語ることもありません。
短く無駄がない(なさすぎる)構成故に、フリも少ないので「うおおおおおおっ」となることもないだけにピークがわからずちょっと淡白な印象も間違いなくありますが、そこが逆により真面目さを際立たせていて「余計なことをしてこないからいい」と思える内容になっていたと思います。
余計な功名心がない映画というか。
ドキュメンタリーのような味付けの薄さと、だからこそ際立つ緊張感で一気に見せきる映画ですね。
地味と言えば地味ですが、僕は結構好きですね、この映画。結構玄人好みな感じもあって。
惜しむらくはAppleTV+であるという点ですが、AppleTV+もそこそこ良作が貯まってきているのでお試し入会の際にはぜひこちらの映画もどうぞ、ということで。

このシーンがイイ!

「耳が良い」的なシーン、良かったですね。有能な軍人を(映画で)見るのは楽しい。

ココが○

戦闘シーンの臨場感はなかなか他にないレベルだと思います。映像的にはそこまですごいという感じでもなかったので、これはやっぱり編集やら演技やらの賜物ではないかなと。

ココが×

上に書いた通り、盛り上げのための伏線も特になく「事実のみを伝える」ような作りの映画になっているので、どうしてもカタルシスみたいなものはあんまり得られないかなと。そこがよさでもあるんですが。

MVA

非常にトム・ハンクスらしい役と演技で文句なしでしたが、かと言ってトム・ハンクスにしちゃっても面白くないので今回はこちらの方に。

スティーヴン・グレアム(チャーリー・コール役)

クラウスの部下で副艦長。おそらく友人だと思われます。
この人の「有能な部下」感、すごい良かったんですよね。こういうタイプの脇役がいる安定感最高だなと。

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