映画レビュー1508 『地球の限界: “私たちの地球”の科学』

またネトフリのドキュメンタリーを観ていこうと思います。
今年はドキュメンタリー多めの年になる感じですね。

地球の限界: “私たちの地球”の科学

Breaking Boundaries: The Science of Our Planet
監督

ジョナサン・クレイ

出演

デイビッド・アッテンボロー
ヨハン・ロックストローム

音楽

ハンナ・カートライト
ロス・トーンズ

公開

2021年6月4日 各国

上映時間

74分

製作国

アメリカ

視聴環境

Netflix(Fire TV Stick・TV)

地球の限界: "私たちの地球"の科学

絶望の未来が見える。

8.5
気候変動を始めとした「地球の限界」を測る9つの要素の現在地
  • 科学者グループが提唱した9つの要素が現状いかに厳しい状況にあるかを解説
  • データやグラフィックを駆使し、わかりやすく危機感を伝える
  • 地球の現在地を知る上で貴重な一本
  • 人間絶滅の未来が見える

あらすじ

これは本当に現代人必見の一本ではないかなと思います。非常に暗い気持ちにもなりますが、観てよかったですね。

環境学者、ヨハン・ロックストロームが中心となった科学者グループが提唱した「プラネタリー・バウンダリー」という概念の解説がメインのドキュメンタリー。

  • 気候変動
  • 生物多様性の損失
  • 生物地球化学的循環
  • 海洋酸性化
  • 土地利用の変化
  • 淡水
  • オゾンホール
  • 大気エアロゾル粒子
  • 化学物質による汚染

の9つの項目を、「地球が耐えられる閾値」を超えているかもしくは迫っているのか、問題ないのかなど地球環境の現在地を観ていきます。

「不都合な真実」から15年

メインの語り部として登場するデイビッド・アッテンボローさん、ご存知感出してくるんですがこっちはアッテンボローと言えばリチャード・アッテンボローしか知らねーよと思っていたところ弟さんだそうです。へー。

2021年現在における地球環境の現在地を9つの項目から教えてくれるドキュメンタリー。
ちなみに気候変動を含めた3つの項目ですでに閾値を超えていると見られ、「今からなら間に合う」と言いつつもうこの映画から4年も経ってなおかつ「4年前より暑い」夏の真っ只中(に観た)ということで非常に絶望的な気持ちになりました。
各項目はおなじみのものもあればあまりなじみのないものもあり、それだけでも勉強になるんですが…やはり現状がなかなか厳しい上に、改善どころか悪化の予兆しか見て取れない現下の状況(それはかなりの部分で政治環境に引っ張られるんですが)を考えると本当にしんどい話でした。
特に最も世界で影響力があると思われる今のアメリカ大統領は完全にこの考えと対極に位置する方なので、どう考えても良くなりようがないという…。
そもそも身近なことだけ拾ったとしても、やはりここ最近の夏の異常な暑さは誰しも感じることでしょう。この前なんて北海道の帯広で40℃なんて行ってましたからね…。
今から10年20年経ってどうなるのか想像するのも怖い。今の若い世代があらゆる意味で気の毒に感じます。

やはり気候変動の話と聞けば思い出すのは、おそらく自分も初めてこの話にきちんと向き合うこととなったアル・ゴアのドキュメンタリー、「不都合な真実」です。
あれ、もう19年も前の映画なんですよね。この映画の制作からは15年前。
この15年の間に改善が見られていればまだ落ち着いて見られるんですが、ご存知の通り改善どころか悪化の一途です。
その間この「プラネタリー・バウンダリー」を元にSDGsのムーブメントが起こったりもしたものの、全体的には間違いなく悪化していると思われるだけに…現下の政治状況も踏まえて無責任ながら「もう無理じゃね?」と思わざるを得ません。
きっといよいよ地球がダメそうだ、となるのは僕が死んだ後だとは思いますが、当然自分たちよりも後の世代のことを考えると本当に申し訳ないやら気の毒やらで言葉がありません。
問題なのはアメリカに限らず、日本の政治状況にしてもついこの前の参議院選挙の結果からして「今が良ければいい」「自分たちだけ良ければいい」の感情が支配しているように見えるだけに、そして各国同じような感情が支配しているように見えるだけに、この先環境を改善していくことはもはや無理ゲーにしか思えません。
一番厳しいのは、やはりこの問題が経済と消費に密接に結びついているところ。
つまり改善するには経済活動と消費活動双方を「今当然と思っているものを放棄して」変えていかなければいけないので、誰もが相当な痛みを受け入れなければいけません。
個人であればまだなんとかなるかもしれませんが、やはり世界規模でこの経済活動を放棄して環境のために舵を切るというのはちょっと想像しづらいだけに、できたとしてもかなりギリギリになってから、でしょう。
しかし「かなりギリギリ」になった時点でおそらくほぼすべてが閾値を超えている=不可逆的に悪化しているということになるので、結果「人類は滅亡しました。またのご利用をお待ちしております」とVR三体のようなシステムメッセージが出て人類終了のお知らせ、ですよ。きっと。
「かなりギリギリ」では間に合わない…というのを知ることが出来たのもこの映画のおかげというのもなんとも皮肉ではあります。

教科書に載りそうな未来

僕は悲観的なタイプなので、正直「人類が滅亡するのは核戦争とかではなく環境破壊だったのか〜」ともう結論が見えたぐらいの感覚でした。地球もやがて火星のような星になってしまうんでしょうか。
遠い未来、どんな生物が地球の“覇権”を握るのか(もしくは生物自体が滅ぶのか)はわかりませんが、きっとその生物の教科書(あるのかわからないけど)には「地球環境を破壊し続けた結果、人類は滅亡しました」と人類の説明書きが入るところまで想像できましたね。人間が学ぶ恐竜絶滅のような形で。
人間が滅んだときの環境がまだ復旧可能な状態であれば、おそらく害虫(と言う名の人類)がいなくなったことで地球環境は目覚ましく回復し、違う生物が中心となって地球はまた繁栄するのでは…と思いますが、残念ながら人類が滅ぶときは閾値が超えているときであろうことを考えると火星化まっしぐらしかないのかもしれません。
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でもそれはそれで長い時間をかけてまた別の星を滅ぼすまで資源を食いつぶしそうで、「人間は愚か…」の思いが強くなるのみという。
悲しいですね。

このシーンがイイ!

あんまり「ここがいいぜ!」って映画でもないのでアレですが…繰り返し出てくる人類がレッドゾーンへ向けて歩いていくCGはわかりやすくていい表現だなと思いました。視覚化大事。

ココが○

これほど「全人類に関係がある」話は無いので、もうそのテーマだけで十分価値があるでしょう。あとは観るか観ないか、はたまた見て見ぬふりをするのか、でしかないという…。
上映時間が短めなのも観やすくて◎。

ココが×

特にこれといってはありません。「光が線を伝ってくる同じグラフィックしょっちゅう出てくるな」とは思いましたがそこは別に力入れなくてもいいところだし…。

MVA

今回もドキュメンタリーなので該当者無しで。
しかしメインのお一人であるヨハン・ロックストロームさんには今後も頑張ってほしいと応援の気持ち。

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