映画レビュー1507 『DON’T DIE:”永遠に生きる”を極めし男』

今回はネトフリから。
ネトフリはもう「何観るかな」ってやったところでネトフリオリジナルだらけ=ネトフリオリジナルは大半がしょっぱい=ドキュメンタリーだけは話が別、と自分の中でほぼ決着が付いているので、今回もドキュメンタリーを観ることにしました。

DON’T DIE:”永遠に生きる”を極めし男

Don’t Die: The Man Who Wants to Live Forever
監督
出演
音楽

レオポルド・ロス
ニック・チューバ
マット・コーエン

公開

2025年1月1日 各国

上映時間

88分

製作国

アメリカ

視聴環境

Netflix(Fire TV Stick・TV)

DON'T DIE:"永遠に生きる"を極めし男

続編待ち感。

7.5
アメリカの大富豪がガチで挑む、不老長寿への
  • 金に物を言わせて前代未聞のアンチエイジングに挑む富豪を追う
  • 毎日大量のサプリとしっかりした睡眠と運動を行い、「若返りのためだけに生きる」人生
  • 家族との絆やビジネス的な側面も取り上げ、ターゲットの人となりをしっかり伝える
  • ただまだそんなに歳でもないだけにやや中途半端な印象も

あらすじ

いろんな意味で非常に興味深いドキュメンタリーでした。こういうのが知れるのがやっぱりドキュメンタリーの旨味だよな〜。

アメリカ人実業家のブライアン・ジョンソンは、自身の“若返り”と“寿命を伸ばす”ため、規則正しい生活に大量のサプリと美味しくなさそうな食事を摂り、筋トレから有酸素運動までのトレーニング、そして医療面からのアプローチ等「できることは全部やる」形でアンチエイジングに突き進んでおります。
そしてそれらは動画として投稿・宣伝され、「新しい宗教」と言われるまでにアメリカでは独特な存在感を示しているようです。
その彼の生活を通して“アンチエイジングガチ勢”っぷりを観ていくドキュメンタリーになります。

タイミングが微妙

もうあらすじ以上でも以下でもないので、これを読んで興味があるようなら観てみては、って話で終わるんですが一応ちょろっと何かしら書きます。
最初に思ったのは「ゴルゴ13が実在したらこんな生活送ってそうだな」という感想。
とにかくストイック。この方完全に「若返り=寿命を伸ばすこと」だけを目的に生活しています。
詳細は忘れましたが、どうも人間の老化スピードは数値化できるらしく、その数値の進行を遅らせることで「若返りに近づいている」ような感覚で日々“実験”に励んでいるようです。例えば通常であれば1のところが0.6になったよ、とかそんな感じで。
毎日飲むサプリは130錠とかそんな感じでした。飲みすぎて逆に身体悪くなりそうじゃない? と思ったけどそんなこともないんでしょう。我々が飲むような安いサプリじゃないだろうし…。
この方がなぜこんな、文字通り金を溝に捨てる勢いで大金を使えているのかの説明はあんまりなかったと思うんですが、どうも起業家でかつて作ったベンチャー企業の売却益がとんでもなかった、みたいな話のようです。まあこういうのはアメリカでは割とよく聞く話ではあります。
で、昔は全然違った風貌で僕のようにぷにぷに君だったようですが、絶望の時期を経て突如“若返り”に目覚め、今は永遠の命を目指して日々活動している、と。
アメリカではかなり賛否両論あるようで、実際かなり嘲笑する形で彼を批判している人たちの映像も結構出てきました。
僕は割とそれが不思議で、もちろん自分では(仮にこれだけ富豪だったとしても)絶対にやらないとは思うんですが、ただ本編で語られるように人類の医療に何らかの貢献は間違いなくしていると思うんですよね。これまた本編で言っている人もいましたがサンプル数が少なくて参考にならない、とかも当然あるんでしょうが。
その内容の是非はともかく、自分のお金を使って壮大な“実験”をしてくれているのは逆に人類としてはありがたいのでは…と思うんですがそうでもないんでしょうか。もっと身近にいたら気に食わない側面も結構あるのかもしれないですけどね。それこそ一端が触れられていましたが、この事業のイメージを利用した商売っ気が強くなってきたりとか。
そうでない限りは派手ではあるものの「個人の趣味」の範疇(かなり特殊ではありますが)だし、別に周りに迷惑をかけているわけでもない、むしろ貴重な人体実験のデータを提供してくれていると考えれば「どうぞどうぞ」でどんどんやってもらってもいいんじゃないの、と思いますがどうなんでしょうか。若者に高層ビルの綱渡りさせてそれを眺めて楽しむ富豪の方がよっぽど迷惑ですよ。(カイジ脳)

ただまあこの辺はアメリカでメディアに触れている一般人の感覚と、この映画を観ただけの僕のような人間とは印象が違うのかもしれません。

ただですね、こと「ドキュメンタリー」として観た場合、ちょっと制作のタイミングが微妙じゃないかなと思ったんですよね。
なんと調べてわかったんですが、こちらのブライアン・ジョンソンさん、僕と誕生日が2か月も違わないんですよね。
片や大富豪で子どももいる、片や…とそういう比較は虚しくなるだけなのでやめますが、しかし自分と同い年はさすがに「不老不死」を語るにはちょっと早すぎませんか、と。
確かに筋骨隆々でいい身体してるしすごいんですが、ただまだ老いを語るには早いと思うんですよ。いや毎日腰が痛いとか眠りが浅いとかそういうのはありますけどね?
ちょっとネタバレかもしれませんが、これで映画の途中で(いろいろ過酷すぎて)死んじゃいました、ならまだわかるんですよ。極端なことをやった結果、逆に寿命を縮める結果となりました…みたいな結論が出るので。
でもこれはそうではなく、明らかに「まだまだ頑張りマース」みたいに途中で終わる感じなので、少々中途半端な感は拭えませんでした。
これが仮に60歳ぐらいであればまたちょっと感じ方は変わるでしょう。「60でこれ!?」みたいな驚きがあるし。(F1ブラピがやってくれちゃったけど)
でも40代後半では「まあこういう人いるよね」ぐらいの範疇に収まっちゃうんですよね。やってることは極端でも。
なのでもう少し…さらに追い続けて20年後ぐらいに映像化すれば、その間の見た目含めた老化具合もわかるしより印象深いドキュメンタリーになったのではないかな、と思いました。
まだまだ始めたばかりに近そうだし、やっていることの凄さもわかるし面白いんですが、ただちょっと早いかな、というのが正直なところ。
なのでこれはぜひまた続編を作っていただいてですね、もうちょっと彼の“実験”の成果がどっちに振れるのかを観てみたいなと思った次第です。
いわば「ブライアン・ジョンソンチュートリアル」みたいな感じですね。この映画は。

彼が金儲けしたところで

そこそこの比重を占める息子との家族愛的なところは特段興味もなく眺めていたので、そこもいらないと言えばいらない気はしましたが…まあ彼の人となり、もっと言えば「人間臭さ」が出てこないとそれはそれでマジサイボーグじゃねーかみたいになりそうなので、そこを入れたのもアリなんでしょう。
まーしかし彼自身「そこが一番大きかった(良かった)」と語っていたのでいいんでしょうが、あらゆる“欲”という感情を捨て去って自分の寿命を長らえることに全振りした人生というのはものすごいなと思います。これができる人、世界でも多分この人しかいない。
食事も全然美味しくなさそうなんですよ。大金持ちなのに。
よく「好きなものを食べられずに身体に気を使うんだったら好きなものを食べて早死した方がいい」みたいな話がありますが、まさにその対極に位置する生活を見せられて、ちょっと理解が追いつかないというかこの生活のどこにそこまでのモチベーションが持てるのかはまったくわかりませんでした。それはネガティブな意味ではなくて、完全に自分の理解の外にいる人だなと感心するぐらいで。
裏ではステーキ食ってんじゃないのとかやらしいことしまくってんじゃないのとかゲスなことも一瞬よぎりましたが、多分そんな俗物に染まっていたら嘘でもこんな生活は送れないと思います。なので本当にこういうストイックな生活を送っているんでしょう。いやすごい。
もっと言えば、途中で「金儲けに利用している」批判が出てきますが、仮にそうだったとしてもこの生活ではその儲かった金の使い道は同じくこの“実験”しかないだろうと思われるだけに、そこも含めて「別にオリーブオイルを高く売ってもいいんじゃない」とまで思いましたね。仮に普通のオリーブオイルだったら買った人は気の毒だなと思いますが、それも彼のブランドを信じた負い目もあるわけで。
普通に考えれば金儲け=あらゆる意味での娯楽に消費する…というか、その人の快楽に回される(と思う)から嫌悪感を持つんだと思うんですよ。簡単に言えば「人を騙していい思いしやがって」みたいな。
でも彼の「いい思い」ってこのストイックな生活なんですよね。なのでこっちからすれば全然いい思いに見えないし、なんなら壮大な人体実験をしてくれてるんだからそれはそれでいいんじゃないかと思うんですよ。完全な外野だから言えることでもあると思いますが。
だからもう極端な話、彼がそのブランドを利用して「金儲けしているか否か」はもうどっちでもいいなと思うに至りました。どっちにしろこの生活を続けるんだろうし、その世界は自分には理解できないから頑張ってねとしか思わないし。
彼にとってはこの生活にものすごい快楽があるのかもしれません(数値が下がったことの喜びで脳汁が出る、とか)が、それが理解できない以上好きにしてとしか思わないというか。羨ましさがゼロというすごい富豪。
ただ、数年後に実はこんなストイックじゃなかった、とか醜聞が出てくれば話はまた別ですが、でもやっぱりそんな俗物はこんなこと出来ないと思うんだよな…。カメラの前だけだったとしても。

この映画は、非常に不適切な表現だと思いつつ、「すごい人間を見る」というよりも「動物園のすごい動物を見る」のに近い感覚だと思います。
まあ「死にたくない」「生き長らえたい」は動物の本能でもあるので、その意味では最も本能に従っている人物なのかもしれないですね。
いずれにせよ、すごい人でした。
ドキュメンタリーとしては上記の通り時期的な不満はあれど、知らない世界を知られるという意味でもやっぱり面白いものではあったので、ネトフリのドキュメンタリーは相変わらずやるね、ということで。

このシーンがイイ!

序盤で協力者のお医者さんだったかが冗談めかして言った一言、「すごく質の良いモルモットです」みたいな発言が本当に的を射ていて良かったですね。マジでそれ、って思いました。だからいいんじゃないのと。

ココが○

やっぱり特異な人のご紹介、っていうのは何であっても面白いですね。
ましてや寿命・老化は人間に共通の話題なので、興味を持てない人の方が珍しい気がします。

ココが×

一番は上に書いた通り、時期の問題。もう少し先が見たい。
ただ同い年なのがわかったので、仮に彼が死んだニュースを知ることがあればそれだけで「あんまり意味なかったんだな…」と自動的にわかるのが面白いというかなんというか…。

MVA

例によってドキュメンタリーなので該当無しです。
気になったのは彼の広報担当の方。ほぼアナ・デ・アルマスでびっくりしました。めちゃくちゃかわいかった。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA