映画レビュー1117 『ビッグ・バグズ・パニック』
今回は普通だったら絶対観ないだろうな、というこちらの映画、ウォッチパーティで選ばれたのでみんなで観ました。
ちなみに字幕版は配信しておらず、(おそらく)当ブログ初の吹き替えでの鑑賞です。
ビッグ・バグズ・パニック
カイル・ランキン
カイル・ランキン
クリス・マークエット
ブルック・ネヴィン
レイ・ワイズ
キンジー・パッカード
E・クインシー・スローン
ウェスリー・トンプソン
スティーヴン・ガセインズ
2009年11月28日 日本
91分
アメリカ
Amazonプライム・ビデオ ウォッチパーティ(iMac)
B級のお手本的潔さ。
- 巨大な虫だらけになった世界でサバイバル
- 主人公のダメさがB級らしいゆるさを誘う
- 細かな設定や世界観は全無視でサバイバルに注力
- 余計なことは描かない潔さで軽く楽しめる
あらすじ
期待通りのB級映画で期待以上のものはありませんでしたが、でもみんなでワイワイ観るにはなかなか良いチョイスだったと思います。一人で観てたらすごく注意散漫になりそうだけど。
主人公のクーパー(クリス・マークエット)は父イーサン(レイ・ワイズ)のツテでなんとか入れてもらった会社でもうだつの上がらない状況故、物語開始早々にクビ宣告を受けます。
しかしお偉いさんとのそのやり取りの最中、突如襲う轟音で気を失った二人は、その後なぜか繭のようなものに包まれた形で目覚めます。いわゆるパルスのファルシのルシがパージでコクーンです。
なんとか繭から脱出したクーパーは急に現れたデカい昆虫に襲われつつもなんとか撃退、近くにいた同僚たちも起こしてどうしたもんかと相談しつつ、外に出るとクビ宣告した上司が虫たちに連れ去られてしまうのでした…!
その上司の娘、サラ(ブルック・ネヴィン)も行動をともにすることになり、なんとか逃げつつ母親を追うべく行動を開始しますが、はてさて…。
余計なことはやりません
巨大化した虫に襲われるB級パニックコメディ。様々な面でほぼゾンビ映画の作りを踏襲している形ですが、しかし虫は当然ながら動きも速いし飛ぶのでゾンビよりもタチが悪い印象です。
なぜ巨大化した虫が人々を襲うようになったのか、そしてどのように人類の世界を征服していったのか等はまったく語られず、「起きたら虫だらけで自分たち以外はほぼ人がいない終末世界になっていた」という強引かつ潔い設定が気持ちいいですね。変に説明台詞をぶっ込んでこない安心感。B級はこうでないとね的な。
妙に込み入った話を打ち込んでくるとそれだけで尺が増えて間延びしちゃうので、もう本当に潔く「こういう世界なんデー」と振り切って局地的なドラマに終止する作りというのは取捨選択がしっかり出来ていると言う意味で下手な映画よりよっぽど良いと思います。
気になるけどね。なんで虫でかくなったんだよって。起きたら人類全滅レベルなのになんでお前ら無事なんだよとか。
気になるけど、そこは良いんです。都合よく彼らの関係者だけギリギリ生存してたりするのも気にはなるけど、そういうものなので良いんです。B級映画と言うのは。
大まかな流れとしては、起きる→虫だらけ→逃げる→頼れる父の元に向かう→いろいろトラブル…という感じで、まあ本当にゾンビ映画のそれですよ。その他の設定的にもゾンビ映画っぽいし、ゾンビをデカい虫にしただけと言えばその通りです。
ただ話の流れはそうなんですが、割ときちんとそれなりにお約束を踏まえつつ楽しめるようにツボを押さえた作りになっているのでそんなに悪くないな、というのが割とバカにできない感じはありました。
特に主人公のダメ人間っぷりがなかなか生々しくて、「この手の人物が主人公の映画は珍しいのでは」と思うぐらいにはその辺にいそうなダメさが良い。
やがて彼もいろいろあって頑張ろうとはするんですが、ただこれを安易に「主人公の成長」と位置付けるのもちょっと違う気がするんですよね。僕は。
成長というよりは「重い腰を上げた」ぐらいの感じな気がするんですよ。普段はめんどくさいからやらない、楽な方に流してとにかくストレスを抱えないようにしたいと思っているタイプだったのが、さすがに生死の狭間に放り込まれて守りたいものもある、じゃあしょうがないから真面目にやるよ、みたいな感じなのかなって。
「本気出す」とかでもなくて、例えるならもういい加減寝るところも無くなったから意を決して部屋の片付けを始めます、みたいなレベルな気がします。成長というより、スイッチの変更。
なんでわかるかって? そりゃ自分が同じタイプだからに決まってんだろ! って言うね。楽したいタイプだけどいざとなったらやらざるを得ないから、と。そんな風に見えて、その主人公の等身大感がいいなと。
映画としても身の丈にあった風呂敷を広げすぎない作りだし、作品も主人公も等身大で無理しない、その感じが程よい面白さにつながっているとかいないとか言う噂です。
謎の劇場公開
この映画、本国アメリカをはじめ欧米諸国では映画祭での公開のみで一般劇場公開は無かったようなんですが、なぜか日本とフィリピンでは劇場公開されたという謎の映画である点も気になるところ。
日本ではビデオスルーと言うのはよく聞きますが、逆パターンは初めて聞いたかもしれない。日本人は虫好きなんでしょうか。
ちなみに超が付くレベルで久しぶりに観た吹き替え(おそらく前回は“超吹替版”と銘打っていたために観た2回目鑑賞のシャッター アイランド)ですが、さすがマイナー作品だからか変に芸能人を使ってぶち壊しにすることもなく、非常に安定した声優さんたちの演技によって気楽に観ることができました。とは言え字幕に慣れすぎているのか、吹き替えのほうが逆に話が頭に入ってこなかった気もする…。
B級感のあるストーリーと映像、そして吹き替えの雰囲気のおかげで、夜中に民放でダラダラ流してそうな映画だな、と思いましたが考えたら夜中の映画は大体字幕なので適当な感想でしたとさ。
このシーンがイイ!
終盤のリモコンのシーンがバカバカしくて好きですね。その一捻りいるか!? と思ったけどそれはそれでイイ。
ココが○
きっと一番の懸念は虫描写だと思うんですが、これが意外と観やすいと言うか。
小さい虫が蠢いてるのはキツいけどデカいのが単品で出てくるのは別にそんなに気にならないんだな、という気付き。またそんなにリアルに作り込まれていない、プラスチッキーな見た目だったのも幸いでした。そこも含めてB級なのが良い。
ココが×
とは言え虫が苦手な人はそれなりに気を付けた方がいい…と言うかそこまでして観るほどの映画じゃないかなとも思います。
それと若干ですがグロい部分もあるのでそこも注意。ただ本当に若干でゾンビ映画よりはマシかなと言う程度。
MVA
主人公もなかなかでしたが、やっぱりこの人でしょうか。
レイ・ワイズ(イーサン役)
主人公・クーパーの父。元軍人。
どっかで見たことあるな〜と思ったら24に出てました。ああー。
お父さんは後半から登場ではありますが、主体性の薄い主人公と違ってグイグイ系なので物語の推進力としても美味しいところです。良いキャラしてました。