映画レビュー1498 『ローズ島共和国 ~小さな島の大波乱~』
さて何観るべかなぁと探してたところに目に入ったこちらの映画。
いかにも面白そげな実話ベースのこの手の話、好きなんですよね。
ローズ島共和国 ~小さな島の大波乱~
シドニー・シビリア
シドニー・シビリア
フランチェスカ・マニエーリ
エリオ・ジェルマーノ
レオナルド・リディ
マティルダ・デ・アンジェリス
トム・ブラシア
ルカ・ジンガレッティ
ファブリッツィオ・ベンティボリオ
フランソワ・クリュゼ
ミケーレ・ブラガ
2020年12月9日 各国
117分
イタリア
Netflix(Fire TV Stick・TV)

おとぎ話のような実話。
- 周りに理解されない天才肌のエンジニア、「だったら国作っちゃうか」で海に島&国を建設
- 法律の穴を突いた誰も想像だにしていなかった“建国”に、本土は次第に大騒ぎ
- 特に害もない比較的平和な体制ではあるものの、やはり見逃してはもらえないようで…
- 実話を基にしたからこその面白さ
あらすじ
期待通りに面白かったですね。こういう話好き。
自分で車を作り、でもナンバーがないので捕まっちゃいました的な優秀なのかバカなのかよくわからない技術者、ジョルジオ・ローザ(エリオ・ジェルマーノ)。
彼はこうした経験や自己評価と世間の評価のギャップから「自分の国を作ればいい」と思いたち、親友のモリッツオ(レオナルド・リディ)に相談すると彼はノリノリでサクッと実行に移し、イタリアの領海外にめでたく島(という名のコンクリスペース)が爆誕。
徐々に仲間を増やしつつ、やがて若者たちに話題となって「ディスコ島」のような形でブームとなり、収入も増えてウハウハなんですが、当然ながらそんな状況を看過するわけにもいかないイタリア政府から睨まれる事態となりまして…あとはご覧ください。
脚色強めと予想
一人(と親友の二人)のエンジニアが勝手に島を作り、そこで独立国を宣言したら…というお話。
いわゆる領海外で国際法上はどの国の法律も及ばない位置に島…というにはあまりにも小さな一戸建てスペースぐらいのコンクリ打ちっ放しのエリアを作り、そこで仲間とワイワイやってたらイタリア政府に咎められちゃったわけです。
この手の「勝手に独立国を宣言」したような話(国)は他にもいくつか聞いたことがありますが、その成り立ちを(だいぶ脚色込みと思われるとは言え)観られたのはシンプルに興味深さもあり、面白かったですね。
実際の彼らがどんな思想を持っていて、どのような意図で「ローズ島共和国」を建国したのかはわかりませんが、ことこの作品においてはかなりゆるく、そんな軽く作っちゃっていいの!? と思わされる感じが新鮮でした。まあこの辺はコメディ仕立てで観やすく作ったが故、なんでしょうが。
「作るぞ!」から「完成!」があっという間だったのでその間の苦労とかも観たかったな…と思いましたが主軸はそこではないということなんでしょう。ちなみに完成まで4年ほどかかったそうです。
島の“住人”は主人公含めちょっと生きづらさを感じている人たちなので、昨今の社会情勢とも親和性が高く感情移入を高めるところではありますが、これまた実際そうだったのかはわかりません。
話によると実際は代理人の1人以外は全員島外で暮らしていたらしいので、ハナから「一風変わったリゾート」として売り込んで儲けるためだけに作ったのでは…? と思わなくもないですが、そうするとなんというか生々しくて面白くも無くなっちゃうと思われるのでこうした脚色は効果的だったのかもしれません。
この映画ではあくまでも「自由」のため、そして自分自身を認めてもらうために国を作る、というのが発端になっていて、そのため主人公はちょっと変わったタイプで人付き合いが上手くない人間ではあるものの、純粋でいい人のように描かれます。
もう本当に少年が秘密基地を作るぞ、ぐらいの簡単かつ純粋な思いで作ったら大変なことになった…みたいな話なので、ある意味ではファンタジーのような…大人の寓話的な雰囲気のあるお話でした。
なのであんまり真剣に「実話だから」云々、って構えすぎるのもよくないのかなと。
本当のところはまったくわかりませんが、なんとなくこの手の実話系の映画を観てきた経験上、かなり脚色が強い方の映画なんじゃないかなと思うんですよね。なんとなくで申し訳無いんですが。
時代的にも(舞台は1960年代)おそらくもう少しみんな尖っていたような気がするんですよ。いわゆるアナーキストというか。
でもそこを強調しすぎるともう少しシリアスだったり狂人方面にならざるを得ないと思うので、コメディとして観やすくまとめるためにこうしたのかな、とか。ただの憶測なんですが。
おそらくはもっと強い思いとかもあったんだろうと思うんですが、その辺を避けてコメディにすることで万人受けする内容にした娯楽映画なのかなと思います。
その方が主人公に感情移入させてイタリア政府が悪役になる、っていうわかりやすい構図にもしやすいし。
イタリア政府からすれば看過できないのは当然だろうし、結構悪役にされるのもかわいそうというか、そう単純な話ではなかったんだろうと思いますが、そこをあえて単純化することでいかにも映画らしく仕上げました、というお話なのかなと思います。
軽く観るには良い映画
話としてはかなりシンプルだし、割とサクサク進むおかげで主人公の国に対する思いの強さみたいなものもあまり伝わってこないのが難点ではありましたが、だからこそ軽く観るには良い映画になっていると思います。
「ほえーこういう国があったのかー」程度に済ませてあまり細かい部分に文句を言わず、映画同様に軽い感じで捉えて世界のおもしろ事件に思いを馳せる、ぐらいでいいんじゃないでしょうか。
やっぱり現実に変わった人はいるし、その人の“偉業”のニュアンスだけでも知られるのはそれだけで価値があると思うので、こうして観やすい映画にして教えてくれるのはありがたい限りですね。
このシーンがイイ!
序盤ですが親友と杭を運んで建設するシーンはワクワクして好きでした。もうちょっと観たかった。
ココが○
劇伴が良く、またシチュエーション的なものも相まってどことなく「パイレーツ・ロック」っぽさがあった気がして、そこがまた良かったですね。
ココが×
やっぱりちょっと呑気すぎるというか、コメディドラマしすぎているというか…もうちょっと信念のようなものがあった方が芯ができてよかったような気もします。
MVA
主人公が若かりし頃のアル・パチーノにかなり似てるんですよ。フィルマでは「若い頃のロバート・デ・ニーロに似てる」って声が多いんですが、バカヤロウ絶対アル・パチーノの方だろと声を大にして言いたい。そこ張り合うところじゃないんだけど。
一方元恋人はヘイリー・ベネットに似てて良かったですね。(良かったとは)
なので元恋人役のマティルダ・デ・アンジェリスでもいいんですが、この方に。
トム・ブラシア(ノイマン役)
敏腕広報担当のドイツ人。
脇役ですが彼によって島の方向性が決定したと思われる点と、そうでなければここまで事態が広がっていなかったであろう点等を考えるとかなりのキーマンだったのではないか…ということで。
本当に彼は史実においても最後までジョルジオたちと行動をともにしていたのか、ちょっと気になります。
そこまで島に思い入れを持っていたのかどうか…一番損得で動きそうなタイプに見えただけに、終盤の彼の行動もいい意味で裏切られて良かったですね。


