映画レビュー0134 『リトル・ミス・サンシャイン』
完全私事ですが、おかげさまで仕事は順調なものの、別のことで今ちょっといろいろ悩ましい日々を過ごしてまして…。スカッとしたい、ガツンと泣きたいと思いつつ、周りで大評判のこちらをチョイス。
リトル・ミス・サンシャイン
残念! またもハードル上げすぎました。
というわけであまりにも周りの評判が良すぎたために、「よーし、泣くぞー!」と目玉の裏に湖をたたえて観賞し始めたものの、終わってみれば「あれ? おしまい?」と肩すかし感どっぷり…。
このたたえた湖をどう開放しようか今悩んでいるわけですが、「問題家族がお送りする笑いあり涙ありのロードムービー」なんていかにも僕好みの内容なのに、こんなにもサラッとサラサーティのように何も感じなかったのはなぜ? ホワイ? サラサーティ使ったことないけど。
思うに。
ある意味でこの映画の良さでもあると思うんですが、非常に普通です。映画的なトラブルは、バスがボロくて大変だーっていうのと、爺さんがアレしちゃうのぐらいで、その他は本当にヨソの家族の旅を観てるだけ、って感じで。いや、それでいいんです。この話は。でも、それだけにサラッとサラ(略)だったのかな、と。
割と短めの映画ですが、そこに「娘のミスコン」をメインにして、親父の出版についてのいざこざと、叔父さんの傷心と、息子の夢への思いと、そして爺さんのいろいろと、結構詰め込まれてるんですよね。それだけに、ちょっと深さが足りないかなぁ、という気がしました。
ただ掘り下げちゃうと今度は話が変わって来ちゃうので、もう少しみんなの問題がリンクしてきたらよかったかな、オイオイ泣いてたかな、という気がします。これもまた難しいところで、一応最終的にはリンクしてるんですよね。
家族が一つになりました、っていう面はあったと思いますが、その辺りも少しサ(略)なので、何というかすごく奥ゆかしい作りというか、「行間を読んでね」的な作りなので、そこまでのめり込んで観てなかっただけにそこまで深入りできなかった自分が悲しかった。
正直なところ、ここまで評判の高い映画に入り込めずに泣けなかった自分、というのは結構ショックなので、観賞前にも増して気が滅入っております。ハイ。
観賞中も思ったんですが、「ボロい」「ロードムービー」「家族」というキーワードで観た時に、やっぱり「ストレイト・ストーリー」と比べちゃうんですよね。
あっちは一人が旅をして、いろいろ語るその言葉の重みと、引っ張って引っ張って最後にドカン! と来る仕掛けのうまさみたいな部分でボロボロ泣いたんですが、こっちは少しコメディに引っ張ってる部分もあって、なんでしょうが、「うおおおおおおおいい話だなおいいいいいいいいいぃぃ!」ってなれなかったのが残念。「こりゃー最後にドカンと来るな!」と期待しちゃってただけに余計に。
振り返っても要素としてはすごく好みだったりするので、なんでここまで淡々と観終わっちゃったのか、自分でもよくわかってません。今の自分の立ち位置とか精神状態とか、そういうのに左右されたのかなぁ。
なんか悔しい。
このシーンがイイ!
途中、兄がダダをこねた後、妹が慰めてバスに戻るとき、妹を抱きかかえて坂を上る兄の姿。これはよかった。
あと、オープニングタイトルの入れ方。ちょっと古い感じの、センターに白抜き文字だけっていうのが、映画好きでやってます、みたいな意思表示に見えてよかった。
ココが○
とにかくオリーヴがかわいい! 演技も抜群だし、この子はいいですねー。
あと、最後の方にチラッと「24」のクロエ役でおなじみのメアリー・リン・ライスカブが出てきますが、あの「copy that」ってセリフは痺れましたね! ナイスなファンサービス。
ココが×
意外と下品なセリフも出てくるので、意外と若めのファミリーには勧められないという。ちょっともったいないけど、でもその下品さがよかったりもするので難しいところ。
MVA
というわけでオリーヴ役のアビゲイル・ブレスリンに…してもいいんですけどねぇ。お爺ちゃんとの前日夜の泣き演技なんて素晴らしかったんですが。
でもなんかそれもつまらないな、ということで、お爺さんに。…しようかと思ったんですが、出番が少な目だったのがなぁ。すごくいい味出してたんですけどね。ブイシーで。やんちゃな爺さんで。
結果的には、この人にしようかなと。
スティーヴ・カレル(フランク役)
自殺未遂のホモ叔父さん。
すごく優しくて賢そうな表情が良かったんですよね。海(?)を眺めながらの会話のシーンとかすごくよかった。あのシーンはセリフも良いこと言ってましたねー。
忘れたけど。もう。