映画レビュー0673 『マイノリティ・リポート』

「サスペンスのオススメ」を聞かれた時に、いつも名前が浮かぶ映画の一つなんですが、何せ観たのはもう十年以上前の話なので、それなりに映画を観るようになった今観ても果たして面白いのか、もう一度確認したいとずっと思っていました。

ということで今回は再鑑賞となりますこちらの映画です。

マイノリティ・リポート

Minority Report
監督
脚本
ジョン・コーエン
原作
『マイノリティ・リポート』
音楽
公開
2002年6月17日 アメリカ
上映時間
145分
製作国
アメリカ

マイノリティ・リポート

西暦2054年、ワシントンD.C.では犯罪予防局という組織の下、「プリコグ」と呼ばれる3人の能力者の未来予知により、殺人を未然に防ぐ体制が築かれ、殺人事件が起きなくなっていた。ある日、その犯罪予防局で殺人を未然に防ぐ刑事、ジョン・アンダートンが殺人事件の容疑者として報告される。知りもしない男に対する殺害予知を見たジョンは、これが罠だと感じて逃走するが…。

今観ると、この世界がよりリアルに見える。

9.0

トムクルさん主演の“近未来感”が楽しい近未来SFサスペンス。今思えば「バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2」に近い近未来的な楽しさを感じますね。

犯罪予防局に勤めるチーフ刑事のトムクルさんに容疑がかけられ、それをかわしながら真相に迫っていくというお話。ちなみに最近(2015年)、この映画の続編となるテレビドラマも制作されているようでこちらも気になります。

まずその近未来感という意味では、今観ると公開当時よりも現在の技術がだいぶ向上したせいでより身近に感じられるのが面白かったなー。例えば当時からかなり話題になっていたと思いますが、オープニングの捜査場面。もしくは捜査操作場面。当時は「なんかトムの動きダセェけど画面かっけぇ!」みたいな感じでしたが、今となってはああいう操作、できそうですよね。反対に今の感覚で観ると、ガラス状の板にデータを格納してメインモニターに持っていって写す、みたいなのはやらなそうだな、とか。いちいちメディアなの? ネットワークで良くね? みたいな。そういう技術的な観点が「ただスゲェ」からより現実味のあるものに観えてきたのがまず面白かったです。

そもそも奇しくもつい最近、ビッグデータを活用して犯罪を未然に防ぐシステムをなんちゃらかんちゃら、というニュースがあったりして、この「犯罪予防」自体が現実味のある世界になっているのも面白くて、「ちょっと古い近未来像がダサくなる」感じではない、良いところを突いている未来像が今も腐らないお話になっているすごさを感じます。

さすがやるじゃねーか、フィリップ・K・ディック。(上から)

ただ現実のようにビッグデータを活用してどうこう、なんて面白くもなんともないところですが、この映画のキーとなる「プリコグ」と呼ばれる能力者が予知する、そのアナログ感と神秘性がまた良くてですね。結局は人であり、人であるからこその展開でありサスペンスでもあるというこの作りの巧みさは今でも色褪せていないと思います。

んでアナログであるが故にミスや矛盾も「まあ人がやってるんでね」とごまかせちゃうのも古くならないという意味ではグッドなポイントではないかなと。

ある意味では隔離された彼女たちが何を伝えようとしていて、そこにどんなエラーがあるのか…。「マイノリティ・リポート」とは「少数報告」という意味ですが、まさにそのマイノリティ・リポートに対する有り得そうな扱い、リアリティとそのサスペンス的なロジックのうまさは今観ても素晴らしいと思います。

この映画では「犯罪予防により殺人事件が起きなくなった」近未来を描いているわけですが、これが字面通り喜ばしいのかと言うと…必ずしもそうは見えないのもポイントでしょう。もちろん殺人事件なんて無い方が良いのは言うまでもありませんが、でもどことなく…ユートピアというよりはディストピアに近い、監視社会の進行した姿が薄気味悪くて、その世界観の秀逸さも色褪せていません。

これもまたオープニングの近未来感同様、公開当時よりも現代が近づいていっている部分がそこかしこにあって、それがまたゾクゾクするほど気分が悪いんですよね。そう見せようとはしていないだけに余計に。

さすがに網膜センサーで常に個人特定はやり過ぎだと思いますが、でも閲覧者を特定してオススメ商品を提示、なんてもうネットでは当たり前なだけに、ちょっとこの世界そのものが他人事ではないような部分があって、そこがね。絶妙に気持ち悪いんですよ。(創作としては)いい意味で。公開当時よりもリアリティを帯びてきているディストピア感が。

そういう意味では、公開当時よりも逆に今、もう一度観直す価値のある珍しいSF映画ではないでしょうか。素直にこういう先見の明ってすごいなーと感心しきり。

サスペンスとしても古くなっていないし、世界観もしっかりリアルと繋がったものになっているしで、改めて観ても心配無用な面白さでした。

未見はもちろん、再鑑賞も強くオススメ。

このシーンがイイ!

やっぱりオープニングに見せられる一連の「犯罪予防はこういうものですよ」っていう流れは今観てもすごく良いですね。玉に名前が彫られて出て来るデジアナ混合具合も最高。木の玉っていうのがまたいいんですよね。ウッドボールですよウッドボール。ウッボー。きまり。

ココが○

これだけ世界観とサスペンスが両立しているSFサスペンスはなかなか他に思いつきません。スピルバーグ×トム・クルーズというドメジャーが故に軽んじられる部分がある気はしますが、なんのなんの名作ですよ。

ココが×

ところどころにスピルバーグらしい“過剰サービス”があったのは気になったところ。時代的なものもあるのかもしれませんが、今であればもっとクールにやり過ごしちゃって良いような部分がちらほら。スパイダーの描写の仕方とか、腐った食事とか。

MVA

この頃売り出し中、って時期でしょうか、コリン・ファレルがなかなか良かった。

トムクルさんは相変わらず、奥さんのキャスリン・モリスも良かったしアガサのサマンサ・モートンも良かったんですが、ちょっと強烈だったのでこの人に。

ピーター・ストーメア(エディ・ソロモン医師役)

キョーレツなお医者さん。

出番は1パートのみなんですが、強烈なんですよほんと。地味にいい男だしね。なんなんですかね。こういう脇役さんは本当に大事だと思うので、いい仕事してやがるぜと思います。

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