映画レビュー1423 『ネメシス』
今回はウォチパ候補成仏シリーズ。(今誕生したシリーズ名)
超B級っぽくて逆に気になってました。果たして。
ネメシス
アルバート・ピュン
レベッカ・チャールズ
オリヴィエ・グラナー
ティム・トマーソン
ブライオン・ジェームズ
ケイリー=ヒロユキ・タガワ
マーレ・ケネディ
ユウジ・オクモト
デボラ・シェルトン
マージョリー・モナハン
ミシェル・ルビーニ
1992年12月26日 日本
95分
アメリカ・デンマーク
Amazonプライム・ビデオ(Fire TV Stick・TV)

電気羊はアンドロイドの夢を見たいか?
- ハードでボイルドな元警官が受ける“最後のミッション”
- B級らしい雑さと思い切りの良さでちょっと癖になる面白さ
- ジョン・ウー×低予算×ブレードランナーって感じ
- 大神源太が主演してそうなロケーションも草
あらすじ
まあちゃんと観たらひどい作りではありますが、そこかしこにおもしろポイントが潜んでいてこれぞB級、って感じで最高でした。
舞台は2027年のロサンゼルス。(もう今から3年後じゃん)
手術によって人々が結構気軽にサイボーグ化しちゃう近未来、同様に一部サイボーグ化しているLAPDの優秀な警官のアレックス・レイン(オリヴィエ・グラナー)はサイボーグ化に反対していると思しき犯罪者集団を追いつつの銃撃戦でなんとか追い詰めるも最後に残った女に致命傷を負わされます。
その後一命はとりとめたもののほぼ全身サイボーグとなってしまったアレックスは半年間囚人として過ごしていた潜伏期間の後、身を隠していた女に復讐を済ませます。
そこへ彼を警官にさせた女性・ジャード(マージョリー・モナハン)とその相棒のサムがやってきて、出所の条件として警官に復帰することを要請しますがアレックスは固辞、闇の売人として裏社会へ。
しかしそれから1年後、裏社会の仕事も向いていないと感じていたところ、かつての上司であるファーンズワース長官(ティム・トマーソン)の元へ連れて行かれ、ジャードが要人の警備プランを盗み出したからそれを取り戻せと指令を受けます。
当然警官を辞めていた彼はこれも断りますが、しかし長官曰くかつて致命傷を受けサイボーグ手術を受けた際に爆弾を埋め込んでいたとのことで、断るとその爆弾がアレするぞ、ということで強制的に“最後のミッション”に駆り出されるのでした…。
ジョン・ウーのブレードランナー風味×大神源太
オープニングを終えるとなぜか囚人になっていたり、いろいろよくわからない話の雑さがいかにもB級で最高です。こういう映画には完成度を求めちゃいけない。
大枠では「サイボーグ化が普通になった世界でサイボーグになった主人公が陰謀に巻き込まれる」みたいな感じなんですが、そんな感じでいろいろ雑なのでよくわからない部分も多く「考えるな、感じろ」的に勢いでグイグイ押し込まれてくる感じの映画です。どういう感じかよくわかりませんが僕もよくわからなかったのでいいでしょう。
感覚的には「ジョン・ウーがブレードランナーっぽいのを撮ったよ」みたいなイメージなんですが、多分ジョン・ウーが撮ってたらもうちょっと鼻につくカッコつけが絶妙に気に入らない、みたいになっていたんじゃないかと予想します。勝手に。(それかちゃんと面白いか)(ちゃんととは)
ところがこれはカッコつけがカッコついていないので逆に愛嬌があるように感じられてしまい、これは監督の愛されセンスなのでは…と考えたりしましたがはっきり言えば天然みたいなものでしょう。やりたいことをやったら整合性取れてないんだけどなんかかわいげのあるひどさだからヨシ! みたいな。
全体的にテレ東の昼で流れてそうな雰囲気(最近ちゃんとした映画も流してるからこの例えもどうなんだというのは置いといて)がいかにもチープでそこもすごくいいんですが、舞台が(一応近未来の)東南アジアっぽいからか、あの大神源太が撮影した伝説の映画(ブレイド・オブ・ザ・サン)を想起させてくれてそこも爆笑ものです。
と言いつつ今どき大神源太って通じるんでしょうか?
軽く説明しますと、今から20数年前にいわゆる悪質詐欺商法で捕まった人なんですが、その詐欺商材の販促CMにジャン=クロード・ヴァン・ダムを使ってたり本人もムキムキで密林を疾走したり(なぜか)懸垂したりという映像を撮っていて、それがあまりにも奇異だったからか繰り返しニュースで流されたので当時テレビを観ていた人は衝撃を受けたんですよ。
問題の映画(ブレイド・オブ・ザ・サン)は彼の逮捕と運営する会社の破産でお蔵入りしてしまい、全国1000万人はいたであろう大神源太マニアが落涙したとのもっぱらの噂です。僕も今になって観たかったので悔しいです。超レビュー書きたかった。
ちなみに事件当時僕は某局の報道局で半分バイト的な契約社員として働いていたので折に触れて大神源太の資料に接する機会があり、彼が出していたオリジナルのカレンダーも誰が入手したのかなぜか局内に飾られていたりして爆笑必至だったことを今でも覚えています。なんか網タイツみたいなシャツ(?)でポーズ取ってたり上半身裸でキメ顔だったりの写真が全面で使われた、いわゆるグラビアカレンダーみたいな形のものでまあものすごかったんですよ。自己愛が。
そんな今だったらSNSでとんでもなくバズったであろう彼ですが、なんと数年前に体調を崩し刑務所で亡くなっていたということを知り、これでもう二度とブレイド・オブ・ザ・サンを観ることは叶わないのか…と落胆したんですが、全然別の映画の話でしたね。サーセン。ユニバG。
とりあえず観てよかった
まあ余計な話が長いときは本編について特に語ることもない、ってことですよ。ぶっちゃけ「なかなかひどいから観てね」の一行でおしまいですからね。
それでも全然面白かったので、なんとなくB級の通過儀礼として観といて良かったなと思います。たまにこういう箸休めで舌をリセットしないと。どんな舌なんだかわかりませんが。
このシーンがイイ!
オープニングのロケーションは割といいなと思ったんですが、どうもこれは撮影後そのまま残っていた「ターミネーター2」のセットを使ったそうで、その辺もB級らしくて最高だなと。
まあでも一番笑ったのはホテルの銃撃戦のシーンですね。どういうシーンかは書きませんが「嘘でしょwww」と爆笑しました。
そもそもせいぜい2階建てがいいとこっぽいホテルだったのにそんな何フロアも落ちていくほど高層だったの…?
ココが○
なんと言うか…下手な功名心が見えないところと言うか。背伸びしない作りが本当にすごく良い。B級はこうじゃないと。
ココが×
細かくアレコレどこがよくないとか言うような映画でもないのでまあこれはこれでいいんじゃない、と思いますが話がよくわからないのは一応アカンで! と言っておきたい。
MVA
主役の人がコロコロ髪型変わるのも笑いましたが、一番なんかそれっぽかったのはこの人かな。
ティム・トマーソン(ファーンズワース長官)
主人公の元上司。
なにせ「長官」なので一応出てくる主要人物の中では一番偉いしそれなりの年齢なんですが、思いっきり現場(というか最前線)に出てくる辺りがこれまたB級っぽくていい。全然オフィスで連絡待ち系じゃない。