映画レビュー1463 『レベル・リッジ』
ちょっと話題になっていたネトフリオリジナル映画。
勝手に流れてきた予告編でちょっと気になっていたこともあり、観てみることにしました。
レベル・リッジ
ジェレミー・ソルニエ
ジェレミー・ソルニエ
アーロン・ピエール
ドン・ジョンソン
アナソフィア・ロブ
デヴィッド・デンマン
エモリー・コーエン
スティーヴ・ジシス
ジャネイ・ジェイ
ダナ・リー
ジェームズ・クロムウェル
ブルック・ブレア
ウィル・ブレア
2024年9月6日 各国
131分
アメリカ
Netflix(Fire TV Stick・TV)

消化不良。
- いとこの保釈金+αを警察の特権的な形で汚職警官に奪われ、取り戻そうと奔走する元海軍兵士
- 法に則って極力穏便に済まそうと努力するも叶わず、やがて全面衝突へ
- 主人公は不殺を貫くヒーロー然としていて終始受け身なのでスッキリしない
- アクションシーンも少なく思いの外サスペンス寄りなのでスッキリアクションは期待しない方が無難
あらすじ
自分が悪いっちゃ悪いんですが、オススメしていた人も「舐めてたらヤバいやつだった系」的に言ってた割にそっち方面でグッと来る映画ではないので消化不良感が拭えず、結果やたら渋いイマイチな映画だなという結論。
微罪で捕まった従兄弟の保釈を申請するため、とある田舎町で自転車で目的地へ向かっていたテリー(アーロン・ピエール)がガツンとパトカーに衝突され、「お前警告無視しただろ!」的に詰められなんやかんやあった結果、持っていた従兄弟の保釈金とトラック購入費を接収されてしまいます。
当然納得がいかないテリーはそのまま地元の警察署へ行き、これこれこういうことがあって犯人はこういう風貌で…と説明していたところこれまた当然「お前わかってんのか?」と脅され、痛い目に遭いたくなければ大人しく帰れ的に対応されますが、とは言えおめおめと引き下がれないテリーは現地の裁判所職員サマー(アナソフィア・ロブ)に相談、次第に現地警察の腐敗ぶりが明らかになり…あとはご覧くださいませ。
マッコールさんを見習え
ということで「その辺のザコでしょ」的に対応した警察が痛い目を見る…的な、「イコライザー」その他の系譜である「舐めてた奴がアンタッチャブルでした」系映画を期待して観たわけですが、実際そういう側面はありつつあまりにも主人公が我慢強い&不殺系なので逆にストレスが溜まりました。
その意味ではまさに「イコライザー」の正反対のお話と言えます。殺しまくるからね、マッコールさんは。
逆に言えばこれで殺しまくっちゃったら「イコライザーじゃん」となってしまうので、この映画らしさを作るためにこうなった…とメタ的に予想はできますがそんなことは観ている方には関係なく、どっちが面白いかと言われれば「イコライザー」圧勝でしょというお話。
悪役となる警察側も割とちゃんと手順を踏んでくるので、リアリティという意味ではこっちの方がちゃんとしてはいるんでしょう。警察署滅ぼすぐらい殺しまくったらとんでもない極悪犯としてもっと追われることになるし、収拾つかなくなっちゃいますからね。
でもこっちは娯楽映画を期待して観てるのに、やたら渋く手続き的にどうだの証拠がないからなんだのウダウダ長いことやってくれちゃうんですよ。「早く来い」って言ってたくせに先に乗り込んでっちゃうマッコールさんを見習ってほしい。ほんと。
やっぱり長く我慢を強いられる分、ガッツリ開放されるシーンが来て「うおおおおお!」ってなりたいじゃないですか。こっちはさ。
でもそれもない。なんかスッキリしない感じに終わって行ってうーん、っていう。
我慢が長ければ長いほどスカッとさせてほしいし、「あー警察やっちゃったね〜(ニヤニヤ)」ってさせてほしいんですがそういう部分がまったくなく、地味に関節技決めて痛み分け、みたいな映画でした。観たいのはコレジャナイ。
真面目すぎた
あとはもう特に言うことはないです。期待と違ったな、でしかないかなと。
思ったよりもサスペンスしているのでそっちの映画として観れば…とも思うんですが、ただそれにしては警察の腐敗の追求っぷりもぬるいし、結局アクションと立ち居振る舞いにリアルさを込めた結果娯楽として中途半端になってしまった映画だなと思います。
ありきたりの話というわけでもないし、ちゃんと作っているので悪い映画でもないんですが…もうちょっとスカッとしたいよね、っていう。
アクションシーン(=ザマァシーン)がもっとあればもうちょっと違ったかなと思います。ちょっと真面目すぎたんじゃないかな…。
このシーンがイイ!
サマーが同僚に「あなたみたいな人のせいで社会が悪くなる」みたいなことを言うシーンがあるんですが、あのセリフは出色だと思いますね。本当にそう。
ココが○
主人公のキャラクターは悪くないと思います。真面目で我慢強く、でも実力があるっていう。能ある鷹は爪を隠す的な。
ただ隠しすぎ。
ココが×
やっぱりもっとスッキリさせてほしかったのが一番。
ラストもかなりあっさり目なので最後まで消化不良感が残りました。
あとどうでもいいけど「レベル・リッジ」、ちょっとしか出てこねーの。
MVA
アナソフィア・ロブがショートカットなのが良かったなと言いつつ、この人ですかね。
ドン・ジョンソン(バーン役)
警察署長。いわゆる一番の悪役です。
非常に苛つかせてくれる、要は頭に来る権力者なんですが、その分ヒールとしては申し分なし。良い演技でした。
ドン・ジョンソンは歳を取ってからの方がかっこいい気がしますね。渋い。渋いけどムカつく。そのバランスが良い。