映画レビュー1464 『ザ・プレイヤー』
アマプラ終了間際系。
こういうちょっと古い映画がもうすぐ終わるよ、って言われると観たくなっちゃいますね。
印象的に2010年以降ぐらいになってくると「どうせまた同じパターンでしょ」ってなっちゃうんですけど。あくまで印象です。
ザ・プレイヤー
『The Player』
マイケル・トルキン
ティム・ロビンス
グレタ・スカッキ
フレッド・ウォード
ウーピー・ゴールドバーグ
ピーター・ギャラガー
ブライオン・ジェームズ
シンシア・スティーヴンソン
ヴィンセント・ドノフリオ
ディーン・ストックウェル
リチャード・E・グラント
ライル・ラヴェット
シドニー・ポラック
1992年4月10日 アメリカ
124分
アメリカ
Amazonプライム・ビデオ(Fire TV Stick・TV)
主人公に感情移入できないのがつらい。
- ハリウッドを風刺したブラックコメディ
- 主人公が結構なクソ野郎なので好き嫌いが分かれそう
- やや古いもののやたら豪華なカメオ出演は見どころ
- 自己風刺でもあるんだろうけど話としてはもう一つ
あらすじ
嫌いじゃないんだけど微妙なところかな、という感想。同じハリウッド内幕ものとしては「ゲット・ショーティ」の方が好きですね。
ハリウッドのとある映画スタジオの脚本担当重役、グリフィン・ミル(ティム・ロビンス)は方方からの脚本売り込みを捌く日々を過ごしておりますが、ある日から脅迫状的なハガキやFAXが届くようになり、仕事にも支障をきたすように。
調べた結果どうもこいつっぽいぞ…と目星をつけた売れない脚本家、デイヴィッド・ケヘイン(ヴィンセント・ドノフリオ)に会いに行って直接話をしようとしたものの聞く耳を持たないケヘインと争いになり、カッとなったグリフィンは彼を殺してしまいます。
その場から逃げるように立ち去ったグリフィンの元には後日刑事(ウーピー・ゴールドバーグ)が訪れますが、確定的な証拠はないようで…あとはご覧ください。
いろんな役者が観られる楽しみはあれど…
被害者の「ケヘイン」って名前がもう変だなと思ったんですがこれもやっぱり何らかの皮肉が込められた名称なんでしょうか。わかりませんが。
演じていたのは若かりし頃のヴィンセント・ドノフリオで、今とは違ってほっそりしていて時代を感じます。端役だったけど(いろんな意味で)大物になったよね…。
さて、そんな殺人事件がありつつ、グレタ・スカッキ演じるケヘインの彼女が美人じゃねーかとなんと殺した相手の彼女といい感じになっていく節操の無さが端的にこの主人公のキャラクターを表しているとかなんとか。
まーこの主人公が本当に…いけ好かない、って言うのが一番ピンとくる感じでしょうか。早い話がクソ野郎なんですよ。
豪華カメオ出演の人たちがすれ違いざまに「あいつ気に食わねーんだよな」みたいなことを何度か口にするんですが、多分このキャラクター自体「ハリウッドあるある」なんでしょうね。あーいるよねこういうやつ、みたいな。
ティム・ロビンスは間違いなく(日本では)「ショーシャンクの空に」が一番有名な作品だと思いますが、実はこういう嫌な奴の方が上手いんですよね。「隣人は静かに笑う」とか、少し前に観たAppleTV+のドラマの「サイロ」とか。すんごいムカつく感じで。でも実際の本人はリベラルっていう。面白いですね。
この映画でもいまいち心情が読みづらい男を飄々と演じていて見事だったんですが、とは言え彼は主人公なだけに彼に対する感情移入度によって結構評価が左右される面があり、その意味でなんだか気に食わない話だな、みたいな感情に引っ張られて映画自体をイマイチ好きになれない感じはありました。
ただ(詳細はネタバレ故に避けますが)倫理的に許容できない話(ナイトクローラーとか)でも面白い映画は面白いので、そこまでのパワーはないけど主人公の嫌さが鼻についた…みたいな感じでしょうか。要は「臭い物に蓋」ができるほどの話ではなかった、みたいな。
一方でハリウッドを舞台にしたブラックコメディらしく、会話も登場人物もどっぷり映画なのは映画好きとしては嬉しいポイント。
本当にちょい役であんな人が…! みたいな楽しみは結構ありました。
劇中で重要な役割になる映画作品はその映画における主演の2人がまさにそのイメージに合致したステレオタイプな役を演じているので、そこはおそらく大体の人が観てニヤリとできるところでしょう。
ただもう30年以上前のそれなりに古い映画になってしまったので、そこで話題になる=もっと古い映画についての知識がないとイマイチピンとこない面もあり、全体的に楽屋オチ的な側面を楽しむにしてもそこそこハードルは高いかもしれません。僕にしてもおそらく全然理解していない部分がたくさんあると思われます。
まあそもそもその辺もあくまで添え物なので、本編がイマイチピリッと来ない以上はもうちょっと頑張ってほしかったなというところ。
小者の嫌なやつの映画は合わない説
あとは特に言うこともなくてですね。
話の流れ的には嫌いじゃないのになんでこんな微妙な感じなのか、自分でもよくわかりません。
やっぱり主人公が好きになれなかったのが一番なのかなー。割と自分の傾向として主人公に対して「あ、こいつ嫌いかも」と思ったらイマイチになっていく気がします。
そんなの関係ねーと小島よしおばりに突っ切ってくれるぐらい悪人だと逆に面白くなるんですけどね。
こういう小者の嫌なやつが一番ダメかもしれない、という学びを得ました。
このシーンがイイ!
警察署でやたら笑われるシーンがあるんですが、あそこが意味わからないけどなんだか印象的でしたね。あれなんだったんだろ…。
あと面通しのシーンも期待通りの展開で笑っちゃってあそこは好きでした。
オープニングの長回しはいかにも見せ場、って感じでそこも◎。
ココが○
まー本当に渋いところから当時の売れっ子までいろんな人が出ていてそこは面白かったですよ。
ココが×
やっぱり主人公の性格でしょうか。あとは全体的になんとなくピリッとしないところ。
MVA
まー無難にこの人でしょうか。
ティム・ロビンス(グリフィン・ミル役)
主人公の映画スタジオ重役。
上に散々書いた通り小者のいけ好かない野郎なんですが、その人物像を非常にお上手に演じていたのでさすがだね、と。
ちなみに余談なんですが、ずっと主人公を監視していた怪しい雰囲気の刑事を演じたライル・ラヴェット、この翌年に当時人気絶頂だったジュリア・ロバーツと結婚していたそうで…マジで!? とびっくり。一応共演作になるのか!?
ヒロインのグレタ・スカッキとその恋人ケヘインを演じたヴィンセント・ドノフリオはこの時すでに夫婦だったりもして、背景としてもちょっと繋がりが面白い映画ではありました。