映画レビュー1445 『ゲット・ショーティ』
気付けばもう年末…! 毎年のことですが早すぎますね…。
例によってレビューが溜まっているため、今日からローラー作戦ということで年末恒例の連続アップしていこうと思います。
ということで今回はずっと観たかった一本。これまた配信終了系です。
ゲット・ショーティ
ガイリチ作品に通じる二転三転の面白さ。
- ロス来たついでに足を洗って映画作るか的な身軽マフィア
- 人たらし&映画の知識でトントン拍子、しかしマフィア時代の火種もくすぶっていて…
- 映画とマフィアと大金、いろいろ絡み合っての二転三転で飽きさせない
- この頃のトラボルタはかっこいいね
あらすじ
90年代らしいコメディといった感じで想像通りに好きでした。後のガイ・リッチーの映画っぽい展開もそっち方面が好きな方にはオススメしたいところ。
マイアミのマフィア、チリ・パーマー(ジョン・トラボルタ)はいわゆるシネフィルなんですが、仕事は借金取りです。
自らが属する組織のボスの縄張りで働いていたんですが肝心のボスはお誕生日サプライズによって死亡してしまい、チリとは犬猿の仲のレイ(デニス・ファリーナ)が幅を利かせるように。
彼に「飛行機事故を偽装して逃亡した洗濯屋」から金を取り立てるよう指示を受けたチリはあまり乗り気ではなかったものの仕事を引き受け、洗濯屋がベガスに潜伏していることを突き止めてベガスへ行くと今度はホテルのオーナー的な人物から「映画のプロデューサーをやってるハリー(ジーン・ハックマン)に15万ドル貸したままだから回収してきてくれないか」と別件を依頼され、ロスへ飛びます。
ロスと言えばハリウッド。
シネフィルのチリはボスが死んで目の上のたんこぶのレイが幅を利かせている現状が面白くないこともあり、マフィアを辞めて映画産業に潜り込むチャンスと見てハリーの家へ潜入し、まさかの意気投合。
その後ハリーの“右腕”として新しい映画の企画を進めようとしますが、しかし当然そこには様々な人物の思惑が関与していて…さてどうなるんでしょうか。
全体的に好きなやつ
タイトルの「ゲット・ショーティ」とは「チビを捕まえろ」的な意味ですが、この「チビ」とは劇中登場する“大スター”の俳優、マーティンを指します。演じるのはダニー・デヴィート。確かに小さい。
要は「マーティン主演なら大ヒット間違いなしなものの結構気分屋だし上手くいくかわからない」みたいな映画製作を中心にしつつ、その映画にいっちょかみしたい胡散臭い連中や、チリの手掛けていた金回収話及びめんどくさいレイが絡んできつつそれらが収束していく、というクライムコメディです。
いろいろ話が広がりつつ最終的には綺麗にまとまる感じ、すごく好きですね。素直に面白かった。こういう映画大好き。
また舞台の中心がハリウッドなだけあって、映画業界への皮肉もいろいろと込められているんだとか。
珍しくジーン・ハックマンが弱くてダメな大人の役なんですが、彼の立ち居振る舞いなんていかにもハリウッド的な雰囲気が漂っていてその辺りが皮肉なんでしょうね、きっと。
金が出てきそうな相手にはいい顔しつつ、どこから引き出そうか思案する感じとか。
映画製作の話は中心にありますがさすがに「ハリウッドの裏側」的な込み入った話は出てこず、あくまでそこに関わる人たち&チリのマフィア時代の話とその周辺の人々が中心で、登場人物たちのやり取りによって軽快に話が進んでいくイメージ。
その辺りの流れといい、最終的にまとまる感じといい、初期のガイ・リッチーっぽさを感じたんですが、調べたところ「ロック、ストック以下略」はこの2年後ということで…時代的にこういうのが多い頃だったのかもしれないですね。
主人公がマフィアの割に血生臭さもなく、全体的にみんな胡散臭さとかわいげが同居しているキャラクターが多いのも良い。特にマーティン、大スターのくせに良いやつすぎて笑う。
主人公を演じるトラボルタは「パルプ・フィクション」のあとぐらいでさすがにまだシュッとしていてかっこよくて、マフィアでありながらスマートで人たらしな人物を好演していて、後の彼を考えるとこれまた結構貴重な気もするしそういう意味でも面白かったですね。
ダニー・デヴィートは外さない説
あんまり細かくアレコレ言う映画でもないと思うので、あとは観て頂いて系です。
これを観て「もしやアレは…!」と思ったことがあったんですが、2本分のネタバレになるのでこれはこのあとに書こうと思います。
やっぱり…なんとなくの印象でしか無いですが、ダニー・デヴィート出てる映画は外さない気がするんだよな〜。
この映画然り、「カッコーの巣の上で」然り、「レインメーカー」然り、「L.A.コンフィデンシャル」然り。そして何より「殺したい女」もある、と。
今作はその中の一本に加えてもいいぐらい面白い映画でした。最近こういう映画あんまり無い気もするしね…。
このシーンがイイ!
マーティンにチリが演技指導するシーンが笑いました。大スターがマフィア崩れに指摘されて素直に演技練習してて。マーティン良いやつすぎる。
ココが○
テンポも良くて観やすく、二転三転して飽きさせない。この手の映画は大好物です。
ココが×
ネタバレ的に言いづらいんですが…最後の手前、もうちょっと観たかったかも。
MVA
順当にこの人かなぁ。
ジョン・トラボルタ(チリ・パーマー役)
主人公のマフィア。シネフィル。
上に書いた通り、あんまりトラボルタのイメージにない役だったんですが、これが本当にスマートでかっこよくてなかなか良かったんですよね。
昔観た「マッド・シティ」でも結構驚いたのを覚えてるんですが、意外とイメージよりも演技派なのかも。
あとノンクレジットですが少ない時間ながらベット・ミドラーがさすがの存在感でめっちゃ良かったです。「殺したい女」コンビの良さよ…!