映画レビュー1446 『ウルフズ』
これねー。
「劇場行くしかないやつじゃん!!」と思った映画なんですが、そもそもこの映画の存在を知ったのが「日本での劇場公開中止」のニュースだったという…。悲しすぎる。
主演的にそれなりの興行収入は見込めると思うんですが、おそらく問題はそこではなくAppleTV+に誘導したかったから、なんでしょうねきっと。
たまたま観る映画がないから一応AppleTV+も覗いてみるか…と開いたらド頭でアピールされていて配信が始まったのを知りました。即観ました。
ウルフズ
ジョン・ワッツ
ジョージ・クルーニー
ブラッド・ピット
エイミー・ライアン
オースティン・エイブラムス
プールナ・ジャガナサン
2024年9月20日 アメリカ
108分
アメリカ
AppleTV+(Fire TV Stick・TV)
ニヤニヤが止まらない。
- 女性検事の部屋で若い男が死亡、表沙汰にしたくない検事は“プロ中のプロ”を呼ぶ
- オープン直後のホテルは傷物になることを嫌い、監視カメラから事態を察知して別のプロを派遣
- こうして会うはずのない一匹狼のプロが2人鉢合わせ、協力するよう言われるが…
- 言うまでもなく主演2人が好きなら必見
あらすじ
いやーもう期待通りにめちゃくちゃ面白かったですね。派手な面白さではないものの、きっとこの映画を観る人は主演2人が目当てだろうし、その意味ではきっと満足できるのではないかなと。
とある高級ホテルのVIPルーム。
女検事マーガレット(エイミー・ライアン)の部屋で若い男(オースティン・エイブラムス)が死亡。
彼女が手を下したわけではなく「ベッドで飛び跳ねた後に頭から落ちて死んだ」んですが、しかし当然表沙汰になるといろいろ面倒が起きることは間違いないところなので、以前「本当に困ったときに連絡しろ」と教えられていた連絡先へ電話をかけます。(この辺ゴルゴ13っぽい)
電話でマーガレットにいろいろと指示をした後、やってきた男(ジョージ・クルーニー)はすぐさま“死体隠滅”の作業に取り掛かりますが、するとなぜかもう一人、来客が。
部屋に入ってきたもう一人の男(ブラッド・ピット)は「ホテルに依頼されて証拠を消しに来た」と言い、なぜわかったのか狼狽するマーガレットに隠しカメラの存在を教えます。
なんでも「オープン間もない高級ホテルでいきなり死人が出たなんて話は表にできない」からホテルのオーナーに言われてやってきた、と。
どちらも引くことのできない状況の中、ホテルオーナーの裁定により「協力して事にあたって」とのことで2人で作業することに。
しかしどちらも裏稼業の一匹狼、協力なんて願い下げであり、いがみ合いつつ事態の収束を目指しますが、そこから事態は予想外の方向へ…さて、どうなる?
2人の絡みだけで面白い
説明不要ですが「オーシャンズ」シリーズファン待望のジョージ・クルーニー&ブラッド・ピット共演作。そう、ダニーとラスティの再共演…ですが仲良しだったあの2人とは違い、今度は「対立する一匹狼同士が強制的に協力させられる」役柄なので嫌味も言うしいがみ合うしでバチバチです。
共演自体は「バーン・アフター・リーディング」以来16年ぶりだそうですが、あの映画はこの2人が「一緒に出てた」だけで特に絡みもなかったのでやっぱりファンとしては「オーシャンズ13」以来、って感じですね。
この前観た「インスティゲイターズ」に引き続きオーシャンズの主要キャストコンビの主演映画なので、これはAppleにオーシャンズファンがいるな…! いやむしろいろ…! と。今度はドンチーとエリオット・グールド辺りで1本作るのでは…?(渋い)
監督・脚本は直近のスパイダーマンシリーズ等でおなじみのジョン・ワッツ。彼もきっとオーシャンズファンでしょう。
そうとしか思えない2人の活かしっぷりがたまらない映画でした。
いやあのシリーズとは全然違うんですけどね。でもやっぱりこの2人にしか出せない味、間の妙を思う存分楽しませてもらいました。おそらく2人も楽しかったんじゃないですかね〜。
すっかり歳を取った2人ですが、どちらも当然イケオジで相変わらずかっこいい。そしてちょっと面白い。
話は(特に序盤は)結構シリアスで、意外と真面目な話なのか…? と思いきやにじみ出るおかしみ、みたいな。
深刻な状況なんだけど2人がどうもおかしいから笑っちゃうようなジワジワ系の犯罪コメディ、って感じで大変楽しみました。
正直お話としてはめちゃくちゃ面白いような映画でもないので、「なんか微妙」と思う人がいても全然納得ではあるんですが、ただこの2人の共演が観たい人間にとってはこれ以上無いぐらい楽しませてくれるなんとも言えない味があり、ファンサービス映画としては最高の1本ではないかなと思いますね。
また「オーシャンズ」シリーズと立ち位置が違う分、お互い表に出さない腹の探り合いみたいな、距離感の綱引きみたいなものが言外に見えてくるのがたまらなくて、それを阿吽の呼吸で見せてくれる2人はやっぱり素晴らしいコンビだなと改めて思いました。
まあ、一言で言えば「好き」でしかないかなと。この映画は。
ぶっちゃけ話の展開はどうでもいい…は言いすぎですが、二の次なんですよね。
2人がガッツリ絡んで「ちょっと面白い空間」を作り出してるだけでたまらないんですよこっちは。
なのでもう本当にずっとニヤニヤしてたし終わらないでほしいなと思いながら観てました。ずーっと面白い。
僕はかなり「オーシャンズ」に思い入れがある方だと思うので、その分相当に甘い評価だとも思いますが、同様にあのシリーズが好きだ、って人はきっと同じくずっとたまらない映画なんじゃないかなと思います。
またそういう楽しみ方ができる、楽しめちゃう方がオトクなので、そういう意味でも自分はこの映画に合っててよかったなと。
もー作ってくれた人たちに感謝しか無いですよ。
おまけに続編の企画も進行中だとか…! また観られるの嬉しすぎる。
映像も超綺麗
他の方のレビューに「スクリューボール・コメディ観てるのかと思った」というのがあって、なるほどそれもあるかも、と。若干ブロマンス的な。どっちももうめちゃくちゃおっさんですけど。
そういう視点でも楽しめる…かもしれませんが、まあそんなことよりもうすごくわかりやすく「ジョージ・クルーニーとブラピの共演が観たければ観ろ」でしかない映画でしょう。
ジョージ・クルーニーとブラピの違いもわからないような洋画オンチの方には多分まったく刺さらない、ある意味で非常にピーキーな映画ではないでしょうか。(違いがわからない人が悪いって話じゃないですよ、念の為)
また一応あえて伏せてますが実はこの2人に加えてもう1人、一緒に行動する人物がいて、その人物が入ることによって2人の関係性がまた引き立ってくる作りもとても良かったと思います。
夜のニューヨークのロケーションも素晴らしいし、映像の綺麗さは相変わらずAppleTV+のポイントだと思うので、そこも含めてぜひ観てほしいですね。無料体験入ってサクッと観ると良いのではないでしょうか。
このシーンがイイ!
ベタなんですが、老眼鏡かけるシーンは2人とともに歳を取ってきたファンの目線を存分に利用したズルいシーンだなと思います。
あと序盤でスローモーションになるとあるシーンが最高でした。「そんなわけあるかwwwww」って感じで。
ココが○
まあもうこの2人のダブル主演の時点で最高なのでそれ以上のスパイスは無いです。
なんとなくジョージ・クルーニーがゴツく見えたおかげでブラピと“柔と剛”的に対比して見える雰囲気も良い。
ココが×
話は割と雑なのは確かなので、緻密さを求めたらがっかりすると思います。でも話なんてこの2人を見せるための舞台でしか無いので正直そこは気にならなかったですけどね。
MVA
どっちも素晴らしかったので選び難く、となると自ずと残った“もう一人”かなと。
オースティン・エイブラムス(キッド役)
役についてはすぐわかるっちゃわかるんですが、どんな人物かを言わない方が楽しめると思うのでここでは伏せておきます。
この2人の間に入るのもなかなか大変でプレッシャーもあったんじゃないかと思いますが、非常にいい味を出していてきちんとプラスになっていたのが素晴らしい。
これが綺麗どころの女性だったらまたちょっと(煩悩に支配された自分の場合)余計な雑音が混ざっちゃうような映画になっていたと思うので、ここに収まったのが彼で良かったなと思います。