映画レビュー0637 『人生スイッチ』

レンタル5本目。去年、珍しく近場でやっていたので観に行こうと思っていたんですが、行ける日の上映時間が朝8時半からのみで、フザケンナ休日にそんな早起きしてられっか、と行くのをやめた曰く付きの映画です。

曰く付きなのは自分のせいですごめんなさい。

人生スイッチ

Relatos salvajes
監督
ダミアン・ジフロン
脚本
ダミアン・ジフロン
出演
オスカル・マルティネス
レオナルド・スバラーリャ
エリカ・リバス
リタ・コルテセ
フリエタ・ジルベルベルグ
ダリオ・グランディネッティ
音楽
公開
2014年8月21日 アルゼンチン
上映時間
122分
製作国
アルゼンチン・スペイン

人生スイッチ

人生のある瞬間、“スイッチ”を押してしまった人々のオムニバス。

生きるのこえー!

8.0

ごく普通の日々を送る人たちが、ひょんなことから人生の「スイッチ」を押してしまい、不幸になっていくブラックコメディ的スリラー映画って感じでしょうか。

いやぁ、いいですねぇ。趣味の悪さが最高で面白かったです。なんでも母国アルゼンチンでは、あの「アナ雪」の倍近くヒットしたとのことで、こんな映画がアナ雪を超えちゃうありのままのアルゼンチンって大丈夫なのか、と思いますね。(褒めてます)

昨今珍しいオムニバス(アンソロジー)形式の映画で、全部で6編の短編を約2時間でお届けする内容。それぞれちょろっとご説明。

  • “おかえし”

飛行機の離陸前。モデルのイザベルと、隣りに座った音楽評論家が他愛のない会話を始める。「元カレは音楽家で…」「ああ、そいつは知ってる。どうしようもないやつだった」すると他の席にも彼を知っているという人が現れて…。

  • “おもてなし”

あるロードサイドのレストランに一人の男が来店する。彼を見たウェイトレスは狼狽する。なぜなら、彼は彼女の父を死に追いやったマフィアだったのだ。それを聞いた女主人は「料理に“ねこいらず”を混ぜれば、心臓麻痺にさせられるよ…」とそそのかし…。

  • “パンク”

新車に乗った男・ディエゴが長い一本道をドライブ中、トロトロと走るオンボロ車が行く手を阻んでいた。車線変更して追い抜こうとしても、向こうも道を塞ぐように車線変更をする。なんとか追い抜いたディエゴは、オンボロ車を運転する男に「このクソ田舎者が!」と罵声を浴びせ、中指を突き立てる。しかしその少し後、彼の車のタイヤがパンクしてしまい…。

  • “ヒーローになるために”

工事現場で働くシモン。その日は彼の娘の誕生日だった。急いでケーキを買い家に帰ろうとしたところ、ケーキ屋の前に停めた車がレッカー移動されてしまう。仕方なく車を引き取りに行くと、横柄な態度の係員にお金を取られ、挙句の果てに自宅に着いた頃には誕生日パーティーは解散直前で娘もふくれっ面。おまけに後日シモンが役所に赴くと、違反金としてさらに追加でお金を取られてしまい…。

  • “愚息”

ある日の夜中、息子が泣きながら父親を起こす。どうやらひき逃げをしてきたらしい。しかも相手は妊婦で、お腹の赤ちゃんともども亡くなってしまった。世間の犯人に対する憎悪が日増しに高まっていく中、父親のマウリシオは息子をかばおうとある案を実行に移すが…。

  • “HAPPY WEDDING”

ある結婚式。ふとしたことから、花嫁のロミーナは夫のアリエルが出席者の女性と浮気していることを知ってしまう。取り乱した彼女は式を放り出して屋上へ逃走。泣いていたところに料理人に慰められて…。

という6話からなっております。

書いといてなんですが、どれも短編なだけにそこそこ中身に触れちゃってるんですよね。これ。まあ、オチが大事なのでそう興を削ぐこともないでしょう、ということでお許しを。

さて、そんな市井の人々の普通の日々に、いかにもありそうな事件が巻き起こり、そこで取った選択による“スイッチ”で事態はあらぬ方向に…というお話ばかりを集めました、とても趣味の悪いストーリー集でございます。(褒めてます)

名付けて「人生スイッチ」。とても良い邦題ですね。ちゃんと観て付けているのがわかります。ちなみに原題は直訳したところ「野生の物語」。ワイルドですね。人間、自分の感情の赴くままに生きていくとこうなるよ、というような風刺の意味合いを込めているんでしょうか。

何せ一つ一つが短いので、それぞれに丁寧な感想なんて書けたもんじゃない(即ネタバレしちゃう)わけですが、なんとなーく全部を観て感じたのは、順番通りに力が入っていっている感じはしました。

最初の“おかえし”はいかにもオープニングっぽく軽めであっさり終わっていくし、そこから順々に込み入ってくるような雰囲気がありました。ただ、なんとなくです。適当な感想。どれも非常に意地の悪いお話で、特に「パンク」とか「ヒーローになるために」なんかは、自分でもああいう場面に直面してもおかしくないよな、と思うとなかなかに怖かったですね…。生きるのこえーよ、と。ただ生きていくだけでも日常に罠がありすぎやしませんか、と。なるべく謙虚に、感情に流されないで生きていくべきだな、と身震いしながら観ました。

ただ個人的に、一番最後で一番魅せてくれないといけない“HAPPY WEDDING”が一番くだらねーよ、と好きになれなかったのが残念。こういうラストにしたいんだったら最後は“ヒーローになるために”で良かったと思うんだけどなー。“HAPPY WEDDING”のエンディング(つまりはこの映画のラストシーン)がもうどうしようもなくクソな結末で、「はいはい、はいはい」ってなもんだったので、そこがね。ちょっと引っかかりましたね。全体的に面白かっただけに。

まあ、ただこれは完全に個人の嗜好の問題なので、そう感じない人も多いだろうし、割とこういうブラックな話が好きな人であれば十分に楽しめる2時間ではないでしょうか。

ブラックとは言え、6話に分けられている分ライトでもあるし、とても観やすい映画だと思います。

このシーンがイイ!

“おもてなし”の女主人のおばちゃんがね。とてもダークで最高なんですよね。言うことすべてがもうハードでね。笑っちゃいましたね。あの人の出番、もっと観たかった。

ココが○

最初に書いた通り、今となっては非常にレアなオムニバス形式の映画ですが、まるで星新一のショートショートを読むかのような観やすさとブラックさの塩梅がとても良いですね。これ、どれか一つを引き伸ばして2時間、じゃ当然きついので、とてもいい作りだと思います。これを機にまたオムニバス形式の映画が増えれば…面白いかもしれません。

ココが×

“HAPPY WEDDING”のエンディングかなー。あれだけは「しょうもな」感がすごかった。

MVA

1話1話が短いので、断然この人! っていうのはあんまりないんですが…この人かな。

リカルド・ダリン(“ヒーローになるために”シモン役)

一番普通の人っぽさが出ててよかったな、と。結構他人事じゃないトラブルだし。6話の中では、一番オチの意外性もあったんじゃないでしょうか。

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