映画レビュー0028 『スラムドッグ$ミリオネア』

今回は第81回アカデミー賞作品賞受賞作品です。

スラムドッグ$ミリオネア

Slumdog Millionaire
監督
脚本
原作
『ぼくと1ルピーの神様』
ヴィカス・スワラップ
出演
マドゥル・ミッタル
フリーダ・ピントー
音楽
公開
2008年12月26日 アメリカ
上映時間
120分
製作国
イギリス
視聴環境
TSUTAYA DISCASレンタル(ブルーレイ・TV)

スラムドッグ$ミリオネア

スラム出身で教育も受けていない彼がなぜクイズに正解できたのか。

日本が持っていないもの。

7.0

ネット上ではいろいろと辛辣なご意見が見られますが、僕は割と受け止めるものがあった方ではないかと思います。

最終的には恋愛モノになってしまうのが個人的には残念でしたが、でもやはり、「スラム」という環境が持つ残酷さと、そこに生きてきた人のハングリー精神、そして一つの物事(この場合はテレビ番組)に対して熱狂する民衆といった世界は、実際に世界に(今も)存在するものだし、それらの「環境」が人々の人生にどういう影響を与えているのか、という精神世界を覗くフィルターとして、日本で言う「クイズミリオネア」が使われ、わかりやすく表現した映画なのではないかな、と思います。

残念ながら、これらの要素は今の日本には無いでしょう。無いが故に、単純に「娯楽映画ですね」とバッサリ切ってしまうのはいささか貧困や格差というものに対して鈍感で、哀しい気がします。

自分(日本)の境遇に「日本は良いな」と思うのか、それとも「この人たちは貧しくても心は豊かなんだろうな」と羨むのか、それは人それぞれだとは思いますが、そのこと自体に思いを馳せることに意味がある気がします。

ちなみに僕は…というか誰もが、かもしれませんが、両方の思いを抱きました。日本は生活水準という点では恵まれているけれど、精神的には決して豊かだとは思えないので…。

観終わった後に、以前テレビで観た経済評論家の人の発言を思い出しました。

毎日押し潰されるような満員電車で通勤している人が大勢いる国のどこが豊かなんですか?

「豊かさ」は人それぞれですが、その価値観を固める意味でも、観て損は無い気がします。

ココが○

題材が日本でもなじみのある番組なので、設定が入りやすいのは○。

あとは子役の子たちがすごくよかった。

ココが×

上に書いたように、「恋愛モノ」に帰結してしまったところが少し安易というか、まあ個人的な好みとしては残念だったな、と。それぐらいかなー。

MVA

くどいようですが子役が良かったんですが、残念ながら成長とともに役者さんが変わっていってしまうので、それぞれの出番が分散してしまい、「この人!」とまで行かなかったんですよね。

そんな中、一人選ぶなら…

アニル・カプール(プレーム・クマール役)

早い話、「みのもんた」役の人です。いかにもソレっぽいし、裏がありそうな感じもお見事でした。

あとは成長したラティカー役の人もかわいかったですね。彼女は今後が楽しみです。

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