映画レビュー0314 『スペース・カウボーイ』
つい最近、久しぶりに「The World of GOLDEN EGGS」を観て、やっぱ面白いなーと中古DVDを探したところ案外安く買えたので買ってしまい、かなり世間ズレした今更ブーム(しかもリバイバル)が起こってます。個人的に。
くどいようですがリバイバル的なイチオシは「トリゾー」です。なんだかこのチョイスに歳を取った気がしますね。
スペース・カウボーイ
全体的にあっさり目。
「スペース・カウボーイ」というややB級感漂うタイトル通り、割と軽めの宇宙映画です。
かつて宇宙へ行けるはずだった4人の男たちが、「直せる人間が自分たちしかいないんだから宇宙へ行かせろ」という無理難題をかつての上司に訴え、「じゃあ通常と同じ訓練をクリアしろ爺ども」という無理難題で返されたところ見事に(一部不正ありつつも)パス、爺4人がめでたく宇宙へ行き、そして現地でトラブルがあり…というお話。この前観た「RED/レッド」よろしく、爺好きにはたまらない映画になっております。
その設定から言っても結構むちゃくちゃで、その辺からも「軽め」な感じがありますが、もっと「軽いな」と思ったのが、展開上差し込まれる不安要素や見せ場が割とあっさり片付いていくという流れ。
フランクとホークの関わり方も導入の割にあっさりしてたし、かつての上司・ガーソンとのいがみ合いもさして膨らまずにいつの間にか片付いてるし、かつての同僚・ジーンとのそれもまた同様。宇宙飛行士の要件についても割とうやむやだし、気付けば簡単に宇宙に行けます的な展開に。ところどころで差し込まれた伏線も割とサクサク回収され、引っ張るかなと思われたシーンも結構あっさり。(ただしこれはエンディングにつながりますが)
…と、全体的にすごくあっさり目なのが気になりました。
決して丁寧さがないわけでも短くつないでるわけでもないんですが、あまりにサクサク進みすぎるので、どれが言いたいのかどれを見せたいのかイマイチ掴みづらく、乗りきれずに終了した印象です。もしかしたら集中力に欠けていたのかもしれません。
他の映画で考えると、おそらく「宇宙に行くまで苦労した」人間ドラマ中心か、「宇宙でのアレコレが大変でした」というサスペンス的な映画になるか、多分どっちかが主流だと思うんですよね。この映画ではその両方を入れて、でもそこそこの時間で収めるぞ、という作りをしたことで、全体的なトーンが軽くなっちゃったのかな、という気がします。そこがすごく残念でした。
ただ、普通なら引っ張るであろう「最大の問題」についてもサックリ終わらせたのは、ここを引っ張りすぎると既視感が強すぎるストーリーになるな、という懸念があったのかもしれません。割とこの映画そのものに執着しない、ある意味ではセンチメンタルになりすぎないように、娯楽に徹しようとした内容だったのかな、と。それ故のあっさり風味だったので、なんだかもったいない気もしました。
ただ、ラストシーンだけはすごく良かった。なんというか、大人で。
ああいうシーンをああいうトーンで締める、っていうセンスは素晴らしいと思う。
成し遂げた、やりきったぞ、という誇らしい表情が見えるようで、このエンディングは久々にグッと来ましたね。かっこいいなーって。
このシーンがイイ!
みんな裸の身体検査も良かったですが、やっぱりエンディングでしょう。映画の締めとしてこれほどカンペキなシーンはなかなか珍しいです。
ココが○
イーストウッド映画って割と考えさせられるものが多い印象なんですが、この映画はそういう部分がなくて、だいぶ娯楽しているおかげで観やすい部類に入るんじゃないかと思います。
あとは宇宙のシーンはなかなか力作で、今観ても(ブルーレイで観たせいもありますが)よくできています。
ココが×
主演4人の爺さん方が魅力的だっただけに、もっとこの人たちの間のやりとりとか昔の話とかを観たかったなぁ、という気がしました。
あっさり集合、あっさり旅立ち、あっさりアレしてあっさりアレ、みたいな感じだったのが…。もっとジェリーとか観たかったなぁ。
MVA
これはなかなか難しかったですねー。
イーストウッドは相変わらずなので除外するとして、今まで観たことが無いほどイキイキしてたトミー・リー・ジョーンズだったり、いつもと違う女性っぽさが印象的だったマーシャ・ゲイ・ハーデンだったり、相変わらずの悪役的ポジションのジェームズ・クロムウェルだったり、「24」でお馴染みのウィリアム・ディヴェインの存在感だったり、どれもなかなか良くて。
で、この中に挙がっていないこの方にしました。
ドナルド・サザーランド(ジェリー・オニール役)
ご存じ「24」のジャックことキーファー・サザーランドのお父さん。
怪優として有名でしたが、この映画でのナンパな爺さんっぷりもまたハマっていてもっと観たかったなー。かわいい爺さんでした。