映画レビュー0084 『スタンド・バイ・ミー』
はるか昔に観た記憶はあるんですが、「ヒルこえー」ぐらいの記憶しかありませんでした。印象としてはほぼ初見。
スタンド・バイ・ミー
寂しさと思い出が入り交じる後味。
始めから終わりまで、非常に淡々と、大した事件も無く他愛のない旅を描いているようで、実は心の旅でもあるというストーリー。
僕も記憶にあります。少年時代の、「俺だって考えてるんだ。でも大人は子供だからって相手にしないんだ」という、解決策の見つからない、やりきれない思い。
でも「子供」であることを利用して、教育実習生の先生の透けブラをガン見してたりとか。いや、そんな逸話出てこないけど。
子供…というか少年とはそういうもんです。
自分の思う「自分像」と、大人がかぶせる「自分像」のギャップに悩む。そんな各々の悩みを覗かせながら、旅をしていく4人。
すごく味わい深い、懐かしいけど二度と味わえない世界がとても切なくて、いろんな思いを抱きながらエンドロールを眺めていました。
なんと言っても、ラストへの持って行き方がすばらしいですね。あの古いディスプレイに打ち込んだ文章がまた切なくて、その余韻を感じたところに流れる「Stand by Me」。
これはもう言うまでもなく、この映画の雰囲気を最高に高めてくれる“演出”なので、もうイントロで泣きましたよ。そりゃあ。
やっぱり公開時期も近く、中身も「子供の冒険」で、どっちにもコリー・フェルドマンが出てることもあって、どうしても「グーニーズ」と比べちゃう部分があるんですが、「グーニーズ」は冒険メイン、こっちは心理描写がメインで、実は旅はただのシチュエーションでしかないんですよね。
子供だけで遠出をして、夜中はいろいろ悩みも話しちゃう雰囲気というのがものすごくよくわかるし、これがまた懐かしくて切ない。夜中に見張りをしながらゴーディとクリスが語るシーンと、沼にハマったテディが「子供時代は二度と来ない」と言うシーンがすごく印象的でした。
Wikipediaによると、「人生において二度観る映画」と言われているらしいです。一度目は少年時代、二度目は大人になってから。その意味がすごくよくわかりましたね。
今回の「大人目線」での郷愁と喪失感はなんとも言えず、しみじみとお酒が飲みたくなる、そんな夜となりました。
ココが○
主題歌はもちろんのこと、ちらほらと流れる古い洋楽がまた良いですねぇ。80年代のアメリカ映画の味わいを感じます。
ちなみに僕は一度だけ、17歳のときにアメリカ旅行に行ったことがあるんですが、そのときロサンゼルスのホテルにあるハンバーガーショップでハンバーガーをパクついてたら、店内に「Stand by Me」が流れたんですよ。
これはもう、なんというか…できすぎなシチュエーションに痛く感動しましたね。そう言う意味でも、この曲は非常に思い出深い曲です。
ココが×
まず、これだけの名作にもかかわらず、DVDの製品仕様がひじょーによくないです。今時モノラルのみ。古い映画はしょうがないのかもしれませんが、ちょっとは工夫できないのかなぁ。
あとは一点、この映画は絶対に(元)男の子向けだと思います。
女性と男性で味わいの深さが違うと思う。って僕は女性じゃないのでわかりませんが。そんな気がするのよアタイ。(女化)
MVA
いやー、キーファーの悪ガキっぷりがすごかったですね。今や娘を思って涙するような親父ですよ。悪ガキっぽい親父ではありますが。でも選ぶならこの人。
リバー・フェニックス(クリストファー・チェンバーズ役)
「グーニーズ」もそうでしたが、やっぱり子役ってどうしても演技が過剰な部分があったりしてそこが気になったりするんですが、この映画でのリバー・フェニックスは役柄に合わせてやや抑えた、明らかに他の3人よりも大人の印象で。
悪ガキなんだけど賢そうだし、悩みを告白する場面も全然嘘くさくなくて、頭一つ抜けてる演技でしたね。今も生きてればなぁ…。
麻薬が原因で命が絶たれてしまったのは本当にもったいないと思いますね。