映画レビュー0398 『スウィングガールズ』
たまに登場邦画シリーズ。
かなり話題を集めた作品ですが、もうかれこれ9年も経ちますか…。ずっと観たかった作品ですが、ようやく。
スウィングガールズ
田舎のマンガ的青春ジャズ! さいこー!
もともとこの映画を観たいと思ったのは、かわいい女子高生がたくさん出てくるから僕自身ジャズが好きなので「女子高生(男子一人含む)がジャズをやる」っていうだけでちょっと興味があったんですが、その他予備知識もなく観たところ、まず舞台が超の付くド田舎っていうのが良くてですねー。方言の良さもありますが、やっぱり真っ直ぐな感情と回りにいるいい人たちを描くには、都会より田舎だよな、と今さらながら思った次第。
みんな純粋だし、その中でももちろんキャラクターはちゃんと分かれていて役割分担もはっきりしてるし、音楽への愛情もきちんと描かれているし、まあ正直文句のない内容でした。
ところどころ途中をすっ飛ばしたような、いわゆる“ご都合主義で狙いすぎ演出”な場面も散見されるんですが、まあそれはベタでも映画の基本と言える部分でもあるし、世界の亀山モデル&電通コンビなので出てこないわけがないので大目に見つつ。
ただ、そういう場面も朴訥で純粋な田舎的世界の魅力の前では、ある意味でマンガ的で受け入れやすいものになっていた気もするし、ストレートなストーリーにマッチしていた面もあったので、僕のような天邪鬼でも割とすんなりと受け入れられました。
やっぱり「音楽への情熱」を若い子たちが真剣に、でも楽しみながら進める、っていうのはもう無条件にいいですよね。
多少匂わせつつもヘタに恋愛を絡ませてないのもすごく良かった。(この辺は上野樹里のケレン味のない演技が抜群に利いています)
何より純粋・真剣という要素にド田舎と方言がドハマリしているので、日本らしい地方の良さが出ている、「日本製映画」として外国に持って行っても恥ずかしくない、良い映画だと思います。
トラブルもお決まりのものが多い印象ではありますが、地味にフリが利いていたりもするし、僕の思う悪い意味での邦画らしさは感じられませんでしたね。演出面も全然嘘臭くないし、若さが未熟さではなく素直さに向いている内容と演技に大満足です。
肝心のジャズについても、当然ながら超の付くメジャー曲なので誰もが耳馴染みのある曲だけに入っていきやすいし、かなりご本人たちが猛特訓したらしく、ちゃんと演奏して楽しんでいる様子が本当に伝わってきて、なんだか演奏場面を観るだけで胸がいっぱい、なぜかウルウル来ちゃいましたねぇ。
素直に良い映画だと思います。
このシーンがイイ!
川で練習するシーンかな。ベタですが。
ココが○
脇役陣のキャラクターが地味に利いていて、特に未練タラタラの兄弟とか好きでしたねぇ。この辺も良い意味でマンガっぽい感じがありました。
ココが×
反面、主要キャストを除くスウィングガールズの面々の扱いがあまりにも寂しい。名前すらわからない子だらけなので、ちょっとかわいそう。ただ長くなるのは良くないので仕方ないところですが。
MVA
今も活躍する女優さんたち、さすがに若い。
上野樹里のどこにでもいそうな軽めのおもしろ女子っぷり、ちょっとマセてるものの純粋さもある貫地谷しほり、どっしりと母親のごとく構える豊島由佳梨の存在感、おとなしい優等生風美少女本仮屋ユイカ、どの子も甲乙つけがたい良さがありました。
ただ選ぶのはこの人です。
平岡祐太(中村拓雄役)
気弱な吹奏楽部員の生き残り。スウィングガールズ唯一の男子メンバー。
この年代の役者さんの演技って、どうしても女子のプロっぽさと比べると男子は素人っぽさが残る印象なんですが、彼はすごく自然で優しくて、どこにでもいそうな雰囲気が良かったですねー。
キャラが立ってないキャラ、っていうのがいい緩衝材になっている感じもあって、彼の存在が物語のバランスを保っていたように思います。
女子では本仮屋ユイカの美少女っぷりがたまりまへんでしたなぁ。今もかわいいですが。美少女な上にメガネっ子、っていうのはズルい。