映画レビュー0952『ボーン・レガシー』
ここのところ続いておりましたボーンシリーズもこれでおしまい。
実際は最新作「ジェイソン・ボーン」がありますが、ネトフリにはないので無情にもここで終了です。残念だったな。
ボーン・レガシー
トニー・ギルロイ
2012年8月10日 アメリカ
135分
アメリカ
Netflix(PS4・TV)

中途半端に絡ませて期待を裏切るシリーズファン泣かせ。
- ボーンと似て非なる工作員がまたも組織に追われる話
- ちょくちょくボーンシリーズの世界に食い込んでくるもののそっちの謎には触れない
- 結局大枠の作りはほとんど同じ感じでスピンオフの意味があまり感じられない
- アクション好きであれば良いかも
あらすじ
主人公が違うので純然たる続き物ではないんですが、一応はボーンの系譜に属する映画ということで4作目として話を進めますけども。
前作から5年経ったタイミングでのスピンオフってことで、ファンとしては「久々にボーンシリーズが観られる!」と期待が大きかったんじゃないでしょうか。知らないけど。
アレですかね、どうでしょうファンが「新作じゃないけどディレクター陣がYouTube始めたぞ!」みたいな感じですかね。違いますねきっと。
今作の主人公はジェレミー・レナー演じるアーロン。彼はアラスカで過酷なトレーニングの日々を送っているんですが、「提供された2つの薬を定期的に飲み続けなければいけない」のに薬を切らしちまったぜ、ってことで麓の山小屋までやってきます。
同じ工作員と思しき人物と山小屋で過ごしていたところ、突如ミサイルによって山小屋爆破。幸いアーロンは外に出ていたために無事でしたが、元々山小屋にいた工作員と思しき人物はご退場です。まさかのオスカー・アイザックちょい役です。
やがて各地では同様に「工作員を狙った抹消計画」が進行、生き残ったのはアーロン一人…多分…。
一方その計画になんらかの関わりがあると思われるラボでは所属研究員による無差別銃乱射事件が発生。難を逃れたマルタ博士の元に警察と心理学者が事情聴取に訪れるもその狙いは彼女の抹殺。
即座に大ピンチに陥ったマルタ博士の元に、山から降りてきたスーパー工作員・アーロンさんがご登場です! やったね!
かつてマルタ博士に診察を受けていたアーロンは、彼女が薬を持っているのではないかとやってきたところに組織の口封じ的動きを目の当たりにしたことで自らの置かれた立場を把握。
共に命を狙われる存在となったアーロンとマルタ博士は、やむなく一緒に行動することになりますが…あとは観てどーぞ。
今作の追手の主役はエドワード・ノートン
自分で書いといてなんですが非常にわかりにくいですよね、これ。
一応バックボーンとしては、前作で陰謀を暴く側となったパメラによって「トレッドストーン計画」「ブラックブライアー計画」「アウトカム計画」の3つが白日の下に晒される形になったそうです。いや全然そんな丁寧な説明はなくて、「そういうことなんやで」ってWikipediaさんに教えてもらっただけなんですけども。
で、最後の「アウトカム計画」によって誕生したのが今作の主人公であるアーロンさんなわけです。ボーンの異母兄弟的な感じでしょうか。
その「アウトカム計画」を統括しているのは国家調査研究所というところらしいんですが、そこのリック・バイヤーといういわゆるひとつのエドワード・ノートンがですね、「無能なCIAのせいでうちも責め立てられるのは勘弁してや」ということで同計画によって生み出された工作員たちの殺害(冒頭のオスカー・アイザック他)、同時に関係者の抹殺(銃乱射事件)を画策した、ということのようです。
銃乱射事件について特につながりは明示されていないものの、おそらくはリックの手が回っていたんでしょう。んで、双方の生き残りであるアーロンとマルタ博士がタッグを組んで逃げますよ、というのが今作のお話です。
結局いつものパターンじゃねーか問題
で、「トレッドストーン計画」「ブラックブライアー計画」が俎上に載る以上、過去作との舞台的なつながりは必須…! っつーことで僕が思っていた以上に過去作とのつながりを見せていて、っていうか前作の映像もフンダンに使いながらですね、「堂々たるボーンシリーズの最新作やで!」「前作の話が濃密に絡んでくるで!」とご挨拶してくれるんですよ。「ただのスピンオフやないで!」と。
そうなるとこっちも期待しちゃって、イマイチ全体像が把握しきれなかったボーンシリーズの陰謀がついにスッキリする形で…! と思ったら全然でやんの。全然。全然でやんの。
結局前作の映像とつながりの示唆は撒き餌程度の意味しか無く、最終的には完全に「マット・デイモンの代わりにジェレミー・レナーに別人やらせてみました」程度の内容なんですよ。追われて逃げるだけだし、主人公超強いしで。
いやさぁ…5年経って「またアレが観たい!」っていうのもあるのかもしれないけどさぁ…。またも芸のない同じパターンを別の人でやりました、っていうのはさすがにちょっとひねりがなさすぎでしょと思うわけですよ。あえて別人使ってシリーズを復活させた意味があるのか甚だ不明。
僕としてはシリーズ通してここまで頑なに形を変えないシリーズは他に観たことがない気がしますね。それなりに舞台も動きはするんだけど、結局構図は常に一緒。今作は記憶喪失が薬の入手に変わってる程度。これはなかなか厳しい。
アクションだけが見どころ的な寂しさ
もちろん詳細は書きませんが最後の決着の付け方もかなりモヤるし、ジェレミーのアクションを見せたい以上の何かがまったく見えてこない映画でした。
話の繋がり方・過去作との関係性から見てもスピンオフとしてはかなり中途半端な感じがするし、単体映画としても物語への興味を強く惹かれるものがないのでなかなか厳しい。
一応シリーズを追っているのであれば観てみてもいいかもね、ぐらいの映画かと思います。裏を返せば、シリーズを追ってたとしてもまあ別に観なくても良いんじゃないの…っていうね。
このシーンがイイ!
アーロンのご挨拶的な、マルタ博士の家での暴れっぷりはさすがに良かったですね。
ココが○
ジェレミーのアクションは良かったと思います。裏を返せばそれぐらいしか…。
ココが×
一番の不満はやっぱり過去作とのつながり方が中途半端な点だと思うんですよ。
ほぼつながりがないか、もっと食い込むかどっちかにして欲しい。前半で妙に期待させておいて最終的にはまったくその期待に応えてくれない鬼畜仕様。キャストも前作までのメンバーが出てくるから余計に期待させちゃってよくない。
MVA
正直そんなに興味を持てなかった映画なので誰でもいいっちゃ誰でもいいんですが…まあこの人かな。
ジェレミー・レナー(アーロン・クロス役)
主人公。上記の通りアクションは良かったし、まあこの人も大スターなのでいろいろと過不足なく。
むしろやることはきっちりやっていたもののシナリオがイマイチなので彼に傷がついたような感じになっちゃってるのがつらい。「ボーンシリーズをリブートさせられなかった男」みたいな。
でもこれは演者の問題じゃないと思います。むしろ相変わらずなかなか渋めの良いメンバーが集ってたんじゃないかなと。レイチェル・ワイズも渋いしね。ある意味。


