映画レビュー0014 『クライマーズ・ハイ』

久々の邦画ですね。

結構期待して原作も買った(読む前に映画は観ています)んですが、はてさてどうだったのか…。

クライマーズ・ハイ

The Climber’s High
監督
脚本
加藤正人
成島出
出演
堤真一
尾野真千子
高嶋政宏
音楽
村松崇継
主題歌
『蛍星』
元ちとせ
公開
2008年7月5日 日本
上映時間
145分
製作国
日本
視聴環境
TSUTAYA DISCASレンタル(DVD・TV)

クライマーズ・ハイ

日航機墜落事故を報道する地域新聞社の戦い。

生々しい、狂気が生む緊張感。

7.5

30歳(※2009年当時)を越えている人であれば、誰もがおそらく記憶に残ってるであろう、あの日航機墜落事故。

僕もまだ子供でしたが、あの事故の日は都内の祖母の家にいて、乗客名簿を延々と読み上げるNHKのニュースを奇妙な恐怖感とともに眺めていた記憶がまだ残っています。

いまだに航空機事故史上最悪の被害というこの事故の、当時の壮絶さがありありと伝わってくるリアルな内容でした。

ちょっと大げさなんじゃないか、と思われる部分もありましたが、一時某テレビ局の報道局で働いていた経験から見ても、実際あれぐらいの感情の動きはあっただろうと思うし、派閥争い等含め本当に生々しい話だなと思います。

ああいう仕事をしてる人やその現場って、大きなニュースがあると、忙しさとか使命感とかそういうものに酔っちゃうんですよね。わかっててその興奮に酔うというか。

非常に不謹慎な表現ですが、当事者として「面白い」と感じてしまう部分があるはずです。その辺りの熱気がよく伝わってきました。とにかくリアルで引き込まれる。

カット割りが少し焦りすぎというか、演出過多な気もしましたが、そんなものは話の内容ですっ飛ばしてくれるスピード感と説得力にグイグイ引き込まれました。

ココが○

しっかり選ばれた役者陣という感じで、三谷映画のように、無駄に(というと失礼ですが)豪華な顔ぶれを並べました、というものではなく、ちゃんとキャスティングしていた感じが良かったですね。

特に主人公に対して敵対するポジションのメンバーが本当にイヤ~な感じで良かった。大げさに見えるようでいて、でも実際自分のポジションとか、嫉妬とか、諸々考えるとああいう風になっちゃう人っているんですよね。

特に時代的にもああいう人や会社ってあったと思います。

実際に起こった事件を軸に、リアルな人間像で肉付けしていった濃密な物語だと思います。

ドラマ版も観たいですねー。

ココが×

原作を読まないと何とも言えませんが、映画を観るだけでは今現在の登山の話っていらない気がします。結局〆の部分を綺麗にまとめるために出てきた話という感じで、もう事故当時の話だけでいいんじゃないかな、と。

それだけ当時の話が強烈だった、というのもあるんですが。

あと、主演の堤真一はすごく良い演技だったと思いますが、なんかしゃべり方にちょっと違和感があったのが残念。わざと喉を絞ってしゃべっているような違和感。ただこれは考えすぎかもしれません。

MVA

非常に候補が多い作品でしたが、この人。

でんでん(整理部長:亀嶋正雄役)

こういう緊迫感のある映画って、出てくるだけで息抜きになる人がすごく重要なんですよ。風貌といい、語り口といい、ポジションといい、すごく良い立ち位置で映画に深みを与えてくれました。

そういう意味ではマギーも良かったですね。タモリ倶楽部以外で初めて見ましたよ、マギー。

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