映画レビュー0014 『クライマーズ・ハイ』
久々の邦画ですね。
結構期待して原作も買った(読む前に映画は観ています)んですが、はてさてどうだったのか…。
クライマーズ・ハイ
生々しい、狂気が生む緊張感。
30歳(※2009年当時)を越えている人であれば、誰もがおそらく記憶に残ってるであろう、あの日航機墜落事故。
僕もまだ子供でしたが、あの事故の日は都内の祖母の家にいて、乗客名簿を延々と読み上げるNHKのニュースを奇妙な恐怖感とともに眺めていた記憶がまだ残っています。
いまだに航空機事故史上最悪の被害というこの事故の、当時の壮絶さがありありと伝わってくるリアルな内容でした。
ちょっと大げさなんじゃないか、と思われる部分もありましたが、一時某テレビ局の報道局で働いていた経験から見ても、実際あれぐらいの感情の動きはあっただろうと思うし、派閥争い等含め本当に生々しい話だなと思います。
ああいう仕事をしてる人やその現場って、大きなニュースがあると、忙しさとか使命感とかそういうものに酔っちゃうんですよね。わかっててその興奮に酔うというか。
非常に不謹慎な表現ですが、当事者として「面白い」と感じてしまう部分があるはずです。その辺りの熱気がよく伝わってきました。とにかくリアルで引き込まれる。
カット割りが少し焦りすぎというか、演出過多な気もしましたが、そんなものは話の内容ですっ飛ばしてくれるスピード感と説得力にグイグイ引き込まれました。
ココが○
しっかり選ばれた役者陣という感じで、三谷映画のように、無駄に(というと失礼ですが)豪華な顔ぶれを並べました、というものではなく、ちゃんとキャスティングしていた感じが良かったですね。
特に主人公に対して敵対するポジションのメンバーが本当にイヤ~な感じで良かった。大げさに見えるようでいて、でも実際自分のポジションとか、嫉妬とか、諸々考えるとああいう風になっちゃう人っているんですよね。
特に時代的にもああいう人や会社ってあったと思います。
実際に起こった事件を軸に、リアルな人間像で肉付けしていった濃密な物語だと思います。
ドラマ版も観たいですねー。
ココが×
原作を読まないと何とも言えませんが、映画を観るだけでは今現在の登山の話っていらない気がします。結局〆の部分を綺麗にまとめるために出てきた話という感じで、もう事故当時の話だけでいいんじゃないかな、と。
それだけ当時の話が強烈だった、というのもあるんですが。
あと、主演の堤真一はすごく良い演技だったと思いますが、なんかしゃべり方にちょっと違和感があったのが残念。わざと喉を絞ってしゃべっているような違和感。ただこれは考えすぎかもしれません。
MVA
非常に候補が多い作品でしたが、この人。
でんでん(整理部長:亀嶋正雄役)
こういう緊迫感のある映画って、出てくるだけで息抜きになる人がすごく重要なんですよ。風貌といい、語り口といい、ポジションといい、すごく良い立ち位置で映画に深みを与えてくれました。
そういう意味ではマギーも良かったですね。タモリ倶楽部以外で初めて見ましたよ、マギー。