映画レビュー1471 『アイランド』

この週は特に配信終了が迫っている観たい映画もなく、ポチポチと何か無いかなと探したところに出てきたこちらの映画をチョイス。
正直マイケル・ベイってことで(この手の映画では)大丈夫かなと思ったんですがディストピアもの大好きなのでその気持ちに抗えず…。

アイランド

The Island
監督
脚本

カスピアン・トレッドウェル=オーウェン
アレックス・カーツマン
ロベルト・オーチー

原案

カスピアン・トレッドウェル=オーウェン

出演
音楽

スティーヴ・ジャブロンスキー

公開

2005年6月22日 アメリカ

上映時間

136分

製作国

アメリカ

視聴環境

Netflix(Fire TV Stick・TV)

アイランド

整合性より派手さ重視のザ・マイケル・ベイ。

6.5
地球が汚染されコロニーに暮らす人々、彼らの夢は唯一汚染されていない島への移住だが…?
  • 管理されまくりのコロニー生活生き残り人類たちは「島移住抽選」の当選を夢見る
  • いかにも怪しげな抽選・管理がディストピア好きにはたまらない
  • 意外と早めにコロニーの種明かしはされるものの、以降は凡庸なアクション映画止まり
  • 作りようでかなり印象が変わりそうな映画なだけに、好みも分かれそう

あらすじ

いやーディストピア大好きマンには最高の設定だったんですが、もう後半は「どうだマイケル・ベイだ!」と言わんばかりの力技雑展開のオンパレードでめちゃくちゃもったいない映画でした。監督変えろ。(直球)

近未来…と言っても設定上は2019年ということでもう既に到来しているんですが、この物語の中では地球は汚染されてしまい、生き残った僅かな人たちは徹底管理の元、揃ってコロニーで生活していましたよと。知っている人にはAppleTV+のドラマ「サイロ」みたいな感じだと言えばわかりやすいでしょうか。
ただ、その状況下でも地球上で唯一とある島だけ汚染されていないらしく、毎日その島への移住の権利を抽選するイベントが行われておりまして、コロニーの住人たちはその移住の権利を得ることを夢見て日々生活しております。
その中の1人であるリンカーン(ユアン・マクレガー)は同じくコロニーの住人であるジョーダン(スカヨハ)と仲が良いんですが、基本的に男女の交流は制限されているのでイチャイチャすることもできず、またあんまりそういう欲求もないようでたまに会話して楽しむ程度の日々ですよと。
ある日リンカーンは暇つぶしに「話のできる男」マック(スティーヴ・ブシェミ)のところに行って無駄話をした後、偶然蛾を発見します。
ワッ、外の空気は汚染されているはずなのに虫が生きているってどういうコト…? と疑問を抱いた彼は、その蛾が侵入してきたと思しき場所へ向かい、こっそりコロニーの外へ出ようと考えますが…あとはご覧ください。

凡百くん

映像的にはすごく「ロスト・エモーション」っぽいです。コンクリ打ちっぱなしのコロニーで全員無個性な白い服を着せられてます。
もうこの序盤のディストピア感は最高でしたね。「そうそうこれこれぇ!」って喜びながら観てました。
問題の「アイランド」行き抽選は毎日定時に行われ、その場でドンッと当選者が発表される…んですが、その割に当選した人が「これ事前収録じゃねーの?」みたいなインタビューへの答えっぷりでいかにも怪しいぜ…! と思うんですがそこ自体は特に関係ない模様。ただの雑な作りでした。そういうとこやぞ…!
とは言えその近未来感及びディストピア感は本当によく出来ていると思います。2000年代の映画ですがそこの部分はあまり古さも感じないし、割と既視感はあるもののむしろこういうのが好きなだけに逆にいいぞ、みたいな。
ただまあ言ってしまえばこのコロニー内のアレコレは前フリみたいなもので、本番はその後…序盤が終わったあとぐらいからになるんですが、それ以降がまーしょうもないというか凡百のアクション映画でしかないので「期待してたんと違うわ…でもマイケル・ベイだしこうなるか…」みたいな。不満と納得感の入り交じる複雑な感情で鑑賞を終えたよとご報告したいと思います。
ネットのレビューを見ると「後半から一気に面白くなる」と僕とは真逆の感想を述べている方もいらっしゃるので、これはやっぱり好みなんでしょうね。マイケル・ベイがマイケル・ベイして欲しい人にとっては後半のほうがマイケル・ベイで面白いんでしょう。きっと。
ただ僕はアクションよりSFの方が好きなので、やっぱり序盤の雰囲気とそこに紐づく設定をもうちょっと引き伸ばしてSFスリラーっぽく仕上げたほうが全然面白くなっただろうと思うし、そう思うだけに後半はイマイチ盛り上がれなかったかなと思います。
もうね、雑なんですよ。いろいろと。
展開上そうさせたほうが便利なのはわかるんですが、特に理由もなくラスボス的な人物が現場に出張っちゃったりとかまあいろいろひどい。やられちゃうに決まってんじゃん。
「いや死ぬでしょ」みたいな場面も多々あり、それはそれで見せ場としてアリだとは思いますが…どうしてもこっちの期待(SFスリラー)よりマイケル・ベイ劇場に寄っていくので段々と体温が下がっていって冬眠が近づいていくような鑑賞になりました。
結局端的に言ってしまえば勢いでごまかす方向に突っ走っていってしまうので、設定の良さがまったく活かしきれないお話として終わっていくのが本当にもったいない。
まあ設定通りのゴリゴリのSFだったとしても似たような映画は多いので、そっち方面でも難しかったんだろうとは思いますが…ただやっぱりいわゆるNot for meだったなと思います。

一応それなりに興を削がないように核心部分は伏せますが、主人公たちは閉鎖的な環境にいたこともあって知識不足(ボカすためちょっといい加減な表現にしてます)という設定になっているんですが、途中からそんな話はすっかり忘れたかのように普通に振る舞っているのも雑極まりない。だったら知識不足設定いらなくない?
上記の「死ぬでしょ」の部分にしても、そういうシーンを盛り込むんだったら設定上(生き残った人たちは)普通の人間より丈夫になってるよとかにしちゃった方が良くない? 設定変えられるんだから。
もうそういうツッコミどころがいっぱいあって、推敲してない文章みたいな話なんですよね。
それはつまりそっち(物語の整合性)に重きを置かずにとりあえず派手さと勢いでやり切っちゃえと考えているのか、はたまた単純に考えることを放棄しているのかのどちらかでしかないと思われるので、となるとやっぱり残念映画にしかならないよね、というお話です。

MOTTAINAI

マイケル・ベイばっかりやり玉に上げてはいますが、結局はおそらく脚本自体が良くないんだろうなとも思います。脚本家がもうちょっと細部に気を使って書いていればだいぶ改善される話なんじゃないでしょうか。
もっともそういう脚本をマイケル・ベイがこの形に切っちゃってたり誘導してたりする可能性もあるので犯人はわかりません。
まあ結局連帯責任でいい素材をダメにしたんだぞお前らと言っておきたいと思います。
もったいねぇなぁ本当に…。

このシーンがイイ!

ブシェミがいいヤツの役だったのは非常に評価したい。なのでブシェミが出ているシーンはどこも良かったということにします。

ココが○

設定は本当に大好物なんですけどね…。セットも良かった。

ココが×

後半マジで展開が陳腐なんですよ。大体「ああ、これであいつがああなるのね」ってわかっちゃう感じで。
どうしてこうなった。

MVA

スカヨハが若くて綺麗でしたが役としては今ひとつ。
結局この人かな。

スティーヴ・ブシェミ(ジェームス・“マック”・マッコード役)

汚い区画? で働く男。主人公とちょっと仲良し。
ブシェミのこういう役最高なんですよね。ちょっとクセがあるけど善人っていう。
出番は少ないですがブシェミがいなかったらもっと評価を下げていたぐらい、いてよかったです。

あとショーン・ビーンが期待通りの小物感あってそこも良かった。先代ピーター・サースガード兄貴ポジションの名に相応しい活躍。
そう言ってるのは(おそらく)世界で僕だけです。

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