映画レビュー1149 『山』

今回もJAIHOより。かなり古い映画ですが、年代も国もバラエティ豊かなラインナップが魅力的ですねJAIHO。(ステマ)

The Mountain
監督
脚本

ラナルド・マクドーガル

原作

アンリ・トロワイヤ

出演

スペンサー・トレイシー
ロバート・ワグナー
クレア・トレバー
アンナ・カシュフィ
バーバラ・ダロウ
ウィリアム・デマレスト
リチャード・アーレン

音楽

ダニエル・アンフィシアトロフ

公開

1956年5月31日 イギリス

上映時間

105分

製作国

アメリカ

視聴環境

JAIHO(Fire TV Stick・TV)

山

話はシンプルながら弟のクソっぷりが良い。

7.0
引退した登山ガイド、弟の欲に根負けして再び山へ
  • 近くの山に飛行機が墜落、物資を漁りたい弟は経験豊富な兄に協力を打診
  • 登山を引退していた兄は拒絶するも、1人で向かおうとする弟に根負けして2人で山へ
  • 兄弟の人間性の違いが如実に語られるシンプルなドラマ
  • 過酷な登山シーンは今観てもなかなか

あらすじ

いわゆる登山映画の走り、原点のような映画と聞き、他に特に観た記憶もないんですが「それじゃあ」ってことで観てみました。なるほど確かに登山シーンはなかなか手に汗握る良いシーンでしたが、話としては割とシンプルで物足りなさもありましたね。

ある日とある山に飛行機が墜落、近くの村落では救援隊が組まれますが、冬で危険な状況だったこともあって隊長が事故で亡くなってしまい、結局墜落機にたどり着くこと無く帰還。墜落機は一旦放置の状況に。

そこで暮らすザカリー(スペンサー・トレイシー)はかつてこの辺りで最も腕の立つ登山ガイドだったものの、以前案内していた登山客が事故で死亡してしまったことを気に病んで引退、今は羊の世話をしています。

一方、歳の離れた彼の弟クリス(ロバート・ワグナー)は金欲しさに手つかずの墜落機まで赴き、乗客たちの遺品を漁ろうと考え、兄に協力を打診しますが当然ながら断られ、「だったら一人で行ってやる」と準備を開始。

見るに見かねたザカリーは渋々同行を承諾、素人同然の弟を引き連れ、厳しい登山ルートで墜落機を目指すのでした。

弟の小人物っぷりが最高

金に目がくらんだ倫理観ゼロの弟と、対をなすように人格者の兄による登山映画。ちなみに人格者の役が多いスペンサー・トレイシーはイメージと違って気性が荒かったそうで、実は弟に近いかもしれないと言う豆知識です。

おそらくこの映画の最大の売りは、やはり当時珍しかったのであろうリアルな登山シーンと言うことになるんでしょう。

実際どうなのかはわかりませんが、引きで「ちゃんと山でロケしてるな」と思われるシーンがある一方、緊張感のあるシーンは寄りで「スタジオ撮影です」的なシーンになっているので、全編きっちり山で撮りました、と言う映画では無さそう。まあ古い映画でもあるので、技術的にいろいろ制約もあって当然ではあるしそこを突っ込むのは野暮だとも思います。CGも使えないわけだし。

その山場のシーンはスタジオ撮影っぽいとは言え迫真の演技でなかなかの緊張感を見せてくれます。いや登山マジ大変だぜ、みたいな。うっすい感想を抱かざるを得ない大変さ。

しかも経験豊富な兄が先導し、足を引っ張るのが金が欲しいだけのクソ弟と言う構図もなかなか味わい深く、「これ絶対弟死ぬでしょ」と期待感たっぷりに惹きつけてくれるとかなんとか言う噂です。むしろ弟死なないと納得できないぜ、と思っちゃうぐらいに弟がクソ野郎なのが良いですね。

そう、クソ野郎なんですよ。マジで。

親子ぐらい歳の離れた兄に対してもまったく遠慮がなく、己の欲望のみで生きている感じがむしろ清々しいレベル。

「這ってでも行く」とまで言っていたくせに途中でしんどくなると「帰ろうぜ」って言い出したり。自分だったら例えそう思ったとしても躊躇しそうな言動を迷うこと無く露呈してくれる弟クリス、他の映画でもなかなか見ないぐらいの小人物です。そこが良い。

強い引きが無いのがつらい

先々のイベントについてはやはりネタバレ的に控えておきたいため、ぶっちゃけもう書くことがないと言ういつものパターン。

まあ全体的にシンプルな話なのでいろいろあーだこーだ語ったり考察したり、ってタイプの映画でもないので仕方ないじゃないと言うお話です。

ざっくりとした感想を言えば「まあまあ面白かったけど強く惹かれる面は特にないかな」と言った感じ。公開当時でもあまり意外性は無かったのではないかと思いますが、登山シーンの緊張感だけでも価値のある映画だったんでしょう。

終盤の、いわゆる“オチ”については、いくらなんでもそれは…と思う面もあったんですが、ただそれに対する回答もそれなりに用意されていたのでまあ悪くないかなと思います。あやふやな言い方で申し訳ありません。こちらからは以上です。

このシーンがイイ!

やっぱり最難関地点の登山シーンでしょうね。こりゃ大変だ、とわかりやすいロケーションの提示から、弟の役立たずっぷりまで余すところ無く楽しませてくれます。ザカリー1人だったらどんだけ楽だったことか…。

ココが○

シンプルでぶっちゃけ読めはするものの、骨太で奇をてらわない物語は悪くないと思います。

ココが×

やっぱりもう一つグッと来る何かが欲しかったかなぁ…。意外性なり、成長なり。

2人とも最初から最後まで変わらないままなので、「山が持つ特有の魔力」みたいなものが描かれてたらまた少し違ったような気もします。

MVA

無難にこちらの方に。

スペンサー・トレイシー(ザカリー役)

主人公の元登山ガイド。

物静かで実力者、そして人格者な雰囲気がお見事でした。が、スペンサー・トレイシーご本人は(略)。

クリスのクズっぷりを余すところ無く演じたロバート・ワグナーも良かったのは間違いありません。マジでクズだった。

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