映画レビュー1549 『パーフェクト ストーム』

今回はアマプラ配信終了系に戻ります。
大昔観たような記憶があるんですが…みんなが集まってるバーの光景ぐらいしか記憶になかったので実質初見です。

パーフェクト ストーム

The Perfect Storm
監督
脚本

ビル・ウィットリフ
ボー・ゴールドマン

原作

『パーフェクトストーム -史上最悪の暴風に消えた漁船の運命』
セバスチャン・ユンガー

出演
音楽
公開

2000年6月30日 アメリカ

上映時間

130分

製作国

アメリカ

視聴環境

Amazonプライム・ビデオ(Fire TV Stick・TV)

パーフェクト ストーム

映像は今観ても見事、話はそこそこ。

7.0
今度こそ大漁だ! と欲をかいたらヤバい嵐に巻き込まれちゃった系漁船
  • 実際にあった漁船の顛末を元にしたパニック映画
  • 恋愛・家族愛を交えつつのハリウッドいつものパターン
  • 25年前の映画とは思えないぐらいに映像と撮影の迫力はお見事
  • マッチョ思想を感じるエンディングのまとめ方は若干違和感

あらすじ

あんまり期待しないで観たんですが、その期待に応える程度の内容でそんなに悪くはないけど特段良くもないかな、みたいな。

かつて名漁師と言われたビリー船長(ジョージ・クルーニー)率いるメカジキ漁船は帰港するも漁獲量は今ひとつ冴えず、給与も渋く船員みんな意気消沈気味です。
このままでは終われない船長は、帰港後休む間もなくすぐさま次の漁へ出る決意を固め、船員たちを説得して再び海へ。
しかし相変わらず不漁で船はガラ空き状態。
このまま帰るわけには行かないぞ、というわけでもっと遠方の漁場へ向かい、今度は入れ食い状態の大豊漁。ついに来たぜ俺たちの時代…! と思ったのもつかの間、船にトラブルが発生した上に帰路では巨大な嵐と遭遇しそうな予報が出ておりまして…彼らの命運はどうなるんでしょうか。

嵐以外はドベタ

もうタイトルからわかりきってはいますが、序盤なんやかんやと不漁だ豊漁だとやってはいるものの、結局は巨大な嵐に遭遇して生き残れるか否かというサバイバルのお話です。
ただ彼らが事前にきちんとした実績を残していれば無理しなかったのも道理なので、序盤の“前フリ”は彼らのメンタルを理解する上で重要な話ではあります。ぶっちゃけダイアン・レイン絡みの話は全部いらねーだろって気はしましたがかわいいので許しました。
まあ“(恋愛家族愛等の)愛絡み”の要素がないと感情移入の程度が薄れるのもわかるので、「またこれかよ」と感じるのかそれとも「無事に帰してあげて!」と応援する気持ちになるのかは観ている人のハリウッド慣れの程度によるかもしれません。
でも今だったらもうちょっとドライに事実のみをリアルに描いてすごい迫力の映画に…みたいな方向性になる可能性もありそう。漁船内での人間関係ももっと濃密に描いたりして。
2000年の映画ということもあって、家族愛に恋人関係に、船員同士のちょっとしたトラブルに男の友情に…とすべてお決まりのパターンの中、唯一お決まりではない「巨大な嵐」にどう対処するのか…という映画になっております。
つまり嵐関連を除けばドベタもドベタなので、この辺もうちょっとなんとかしてくれればもっといい映画になっただろうに…という気がしてならないのがとても惜しい。
ただ結末については(実話ベースなので当然ですが)妙な色気を出さずに事実を描いてくれたので割合好みでした。
しかしネット上ではそうでもないらしく驚いたんですが、これはネタバレに直結するので後述します。

なんだかんだ損切の大切さ、最優先は何なのかの判断の大切さを感じますが、そう思ったところで浮かんだのは今年観た「エベレスト 3D」。これと構図はほぼ一緒です。
結局人間あとから振り返れば「絶対こっちを選ぶでしょ」と思うようなこともリアルタイムではそうそう冷静な判断は出来ないよね…と当たり前の結論に至ります。もっとも「嵐が来るから早めに戻ろう」で無事帰港していたら映画にならないので、逆に言えばそうして事なきを得た人たちもいる(であろう)こともまた覚えておかなければいけないんでしょう。
ネット上では「船長が無能」と船長ディスが多く目に付くこちらの映画、確かに船長の判断に誤りがあったのは間違いありませんが、ただこれはやっぱり「エベレスト 3D」のときに書いたこととまったく一緒で、前段の不漁があり、プライドもあり、そして生活もあり…と様々な判断材料があってのことなのは頭に入れておく必要があるでしょう。いきなりバカみたいに「ワッハッハッ大丈夫やろ」と突っ込んでったわけではないよと。
船員たちも帰りたい気持ちがありつつも結局承諾したので同罪と言えば同罪で、その意味で重要なのが「不漁の時は渋ってたくせに大漁になった途端に欲を出し始めた」点です。
帰ろうよって言ってたのは不漁で士気も落ちていたときのことで、より遠洋に繰り出して入れ食い状態になったら「行ける行ける!」ってなってたんですよね。全員。
だから船長だけ責めるのも違うんじゃないの、と。
そしてその辺ひっくるめて「人間だね」って話ですよ。人間の愚かさ、業の深さを感じざるを得ない話です。これも。
そして僕も恐らく乗っていればそうだったと思います。家族の元を離れ、しんどい思いして航海に出て手ぶらで帰るのはやっぱり嫌だし一山当てたいのが人情じゃないですか。
繰り返しになりますが、最初からこれだけの嵐が来るとわかっていればもうちょっと違った行動になっていたと思います。それこそ嵐が来るのはある程度覚悟していたとしてもそれが100年に1度レベルだとは思っていないはずで(通信関係や予報の精度が今より劣る時代なら尚更)、そこで欲をかいたところであんまり責められないというか、「責めてるあなたはそんなに意志が強いんですか?」と問いたくなる話なんですよ。
もちろんこの仕事についていないので言うのは勝手かもしれませんが、なーんかネット上の無責任な(登場人物への)叩き方を観ていると、そこまで言えるほどみんな強いのかなぁと疑問に感じちゃうんですよね。
まあその点と映画の出来の良し悪しはまた別なんですけど。

ボートの話、いるかいらないか

もう一つ、ネット上で目についたのは「ボートの話いらんやろ」説。ボブ・ガントン他3名が乗ってるボートの話ですね。ちなみに他の2人は「24で女性初の大統領」を演じたチェリー・ジョーンズ、そして「インディ・ジョーンズ」シリーズ初代ヒロインを演じたカレン・アレンです。なかなかのメンバー。
確かに僕も観ながら「この話いる?」と思って観てました。「同じ嵐に遭遇したボート」というだけで、漁船とは直接のつながりはありません。
ただ、最終的には「いるな」と結論付けたんですが…これもまたネタバレに直結するので次項に譲ります。

映画そのものはベタな映画なのでもう一つといったところですが、他の人の感想を読んでいていろいろ思うところがあったのが面白かったちょっと珍しいケースの映画でした。
せっかくなのでベタな感想で〆ると、「美味しい魚が食べられるありがたさ」を感じましたね。文字通り命がけで海に出る漁師さんたちの偉大さを思わずにはいられませんでした。

ネタバレート ストーム

大きく分けて2点ありますが、まず最初は結末の話。

観ればおわかりの通り、結果全滅で誰一人生還できず、という結末でした。
まああれだけの嵐であれば仕方がないし、逆に何人か生還して良かったね的にまとめられてもイラッとする(というか実話ベースなのでこの結末は動かしようがない)ので僕はこれで良かったと思っているんですが、フィルマのレビューを見てると「バッドエンドで観て損した」とか「全員死ぬなんて観たくない、時間の無駄」とか言ってる人が結構いてすごい驚いたんですよね。
いくらなんでもこのテーマでハッピーエンドしか受け入れない、っていうのは幼稚すぎない…?
そういうスタンスで映画を観ること自体は自由だし否定しませんが、だったら選ぶのは絶対この映画じゃねーだろとは思うんですよね。どう考えたって不幸になる話だし。
「船長が無能」他乗組員に苦言を呈するのは理解できます。それと結末の後味の悪さは別問題で、「バッドエンドだから観なきゃよかった」はさすがに言ってることのレベルが低すぎるのではないかなと思うんですが…。
僕が引っかかったのは、むしろこの結末を受けてのエンディングの方。
なんか「勇敢で優秀な船員たちがいました」的な感じで英雄視していい話風に終わっていくんですよね。これはさすがにバッカじゃないの!? と思いましたがまあ弔辞だしそうなっちゃうのも仕方がないんでしょう。
あとは今よりもマッチョイズムが強い頃だと思うので、それ故に「勇敢な海の男達」像でまとめちゃうのも時代的にまあこんなもんかな、とも思います。不満ですけどね。
どうせならもっと悲劇的に、打ちひしがれるダイアン・レインとか両親とかの姿で終わってくれれば良かったような気もしますが、それだともっと叩かれてただろうからまあ無理でしょう。
結局こういう落とし所で“無難に”終わるしかないんでしょうね。そこが不満なんですけどね。

もう一点、ボートの話。
いらんやろのご意見は共感しつつ、結局なぜボートの話が入っていたのかと言うと、一つは「他にも突っ込む人たちがいた=絶対回避が当たり前の嵐と思われていなかった」という点。つまり漁船チームの判断をややフォローするような視点ですね。言うてそんな大変な嵐だと思われてなかったんじゃないの、的な。
ただこれはおそらく副次的なもので、一番の理由は「このボートのせいで漁船も救助隊員も犠牲になった可能性」を描きたかったんじゃないでしょうか。
(映画で描かれた)事実として、先にボート救助→漁船救助へ向かう、という段取りですが、このボートの救助がなければもっと早く現場についていた=数人でも船員を助けられた可能性がある、というのと、ヘリが燃料切れを起こさなかった(かもしれない)点があります。
燃料切れが起きなければ救助隊員が犠牲になることも無かったでしょう。つまりこれも漁船チームのやらかしのフォローという位置付けになります。
なので「ボートの話」は、「お前らがいなければもうちょっとマシな災害だったんだぞ」と言いたいために描いたのではないでしょうか。
その証拠というわけでもないですが、ボートのオーナーであるボブ・ガントン演じるおっさん(アレキサンダー・マカナリー3世)は徹頭徹尾「大丈夫」一辺倒のアホな人として描かれます。救助された後は一切出てきません。つまり彼の人柄をフォローするような描写が一切ないんですよ。
となるとやっぱり間接的にではありますが、この映画の“悪役”として配置されたのがなんたら3世だったのかな、と。
仮にボートの話を無くすとしたら救助ヘリの話も描けない(いきなり出てきて燃料切れとかわけのわからない状況になる)し、となるとジョージ・クルーニーといい感じっぽいライバル船長のリンダが救助要請した話も描けなくなります。
本当にただバカみたいに突っ込んで全滅しました、だけの話になっちゃうんですよね。まあそう見えなくもないんですけど。
なので多少なりとも彼らの尊厳を守るためにボートを出したよ、って感じではないでしょうか。

このシーンがイイ!

このシーンが、っていうのはあんまり浮かびませんが、とにかく嵐のシーンの迫力はなかなかで時代を考えるとレベルが高かったんじゃないかなと思います。撮影大変そう。
ちなみにWikipediaによるとCG製作にはあのマシ・オカも関わっていたとか。

ココが○

映像の迫力は文句無かったです。生きた心地のしない映像がすごく良かった。

ココが×

エンディングの描き方にちょっと不満があったんですがそれはネタバレ項に書きました。
あとはもう単純に嵐以外の要素がベタなこと。あまりにもよく見た光景すぎる。

MVA

出演者は今観てもなかなか豪華な方々で、キャストを見るという意味では今観ても結構価値があるかなと思います。
で、誰にするかなとなると意外と候補がいない…のは映画の内容故でしょうか。期待のジョン・ホークスもつまらない役だったし…。
となると結局この人です。

ダイアン・レイン(クリスティーナ・コッター役)

マーク・ウォールバーグ演じるボビーの恋人。
ダイアン・レインと言えば「ストリート・オブ・ファイヤー」で売れた印象なんですが、あの映画は結構古い…割にこの頃もかわいいじゃねえかグヘヘヘヘという完全にダメな理由でのチョイスです。ありがとうございます。

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