映画レビュー1550 『ナイブズ・アウト/ウェイク・アップ・デッドマン』

配信楽しみにしておりました。配信翌日に即鑑賞。
ちなみに正式なタイトルは英語表記と同様に「ナイブズ・アウト: ウェイク・アップ・デッドマン」なんですが、過去2作と表記が揃ってないのがイラッとする職業病により当ブログでは勝手にスラッシュ区切りにしてます。

ナイブズ・アウト/ウェイク・アップ・デッドマン

Wake Up Dead Man: A Knives Out Mystery
監督
脚本

ライアン・ジョンソン

出演
音楽
公開

2025年11月26日 アメリカ

上映時間

140分

製作国

アメリカ

視聴環境

Netflix(Fire TV Stick・TV)

ナイブズ・アウト: ウェイク・アップ・デッドマン

なんだかんだオリジナルで続けられてることがすごい。

8.5
閉鎖的な教会で起きた殺人事件、完全犯罪に思えるが…?
  • とある教会のカリスマ神父が殺害され、助手の神父と信者たちが容疑者
  • 殺された状況から完全犯罪に見えるがそこをブノワがどう解決するのか
  • ただ過去作と比べるとブノワの出番は少なめ、そこに賛否もある模様
  • 例によって豪華キャストながらある程度キャスティングでわかることがあるのも事実

あらすじ

まあやっぱりこのシリーズは「外さない」という印象ですね。一方で鑑賞直後に見ただけなので今後どうなるかはわかりませんが、ファーストインプレッションとしては世間的にシリーズで一番評価が低そうではあります。

元ボクサーの神父・ジャド(ジョシュ・オコナー)がクソ神父を殴打する問題を起こし、クソ神父相手故に事情は汲み取られつつ一応罰しないといけないよ、ということでとある田舎町の教会へ左遷されます。
そこでは強烈なカリスマ性を持ちつつも横暴で教義なんてクソ喰らえ的な神父のウィックス(ジョシュ・ブローリン)が君臨しており、彼に心酔する信者たちがよそ者を寄せ付けずにコミュニティを形成しているような環境です。
生真面目なジャドは信仰心も薄く好き勝手に過ごすウィックスと対立を深めていく中、ウィックスは“演説”終了後に休憩していた小部屋で背中を刺されて死亡。
しかし目の前には信者たちもいて誰も手が出せなかった状態のため、状況からは完全犯罪と思われますが「最近対立してたし」と立場が危うくなるジャド。
しかしそこにやってきた一人の男…!
そう、我らが世界一の名探偵ブノワ・ブラン(ダニエル・クレイグ)でございます。
彼はこの“トリック”を暴くことができるんでしょうか。いや「できない」は無いだろうけども。

シリーズ3作目

ご存知「ナイブズ・アウト」シリーズ第3弾です。なお例によって「ナイブズ・アウト」と言いつつナイブズ・アウトは関係ないというややこしいシリーズ。監督も嫌がってるらしいし「ブノワ・ブランシリーズ」って言えばいいんじゃないの?
改めてシリーズを振り返ると、1作目が「ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密(2019)」、2作目が「ナイブズ・アウト/グラス・オニオン(2022)」、で今作と。大体3年に一度のペースでいい感じです。
ちなみにネットのレビューで結構な人が「これで最後らしい」と書いていたんですが、そのソースは特に見当たらず監督も意欲を示しているそうなのでまだやるんじゃないですかね? ダニエル・クレイグがそのつもりかはわかりませんが…ただこのシリーズでの彼は007よりよほど楽しそうに見えるのでやりそうな気がします。
今作は完全犯罪に見える最初の犯行も重要ではあるものの、それ以上にタイトル通り一旦死んだと思われた被害者(デッドマン)がウェイク・アップするのが大きなポイントで、そこが最大の謎になってくるよと。今作も二転三転と楽しませてくれます。
今作は真面目神父ジャドを演じるジョシュ・オコナーが言ってみればブノワの助手の役割を果たす形(1作目のアナ・デ・アルマス、2作目のジャネール・モネイのポジション)になるんですが、過去2作と比べると明らかにブノワの出番が少なく、その分ジョシュ・オコナーが出ている時間が長いのでW主演感が強いです。大体映画が始まってから40分ぐらいはジャドの回想シーン(という名の説明シーン)が続き、ブノワは一切出てきません。その辺もまた賛否が分かれてる模様。
またダニエル・クレイグが珍しく若干ロン毛になっていてそこもまた一部で不評のようです。僕は普通にイケオジ化が止まらんなと思って観てましたが。なかなか大変ですね。

現代におけるこの手の映画シリーズとしては、ケネス・ブラナーが手掛けるポアロシリーズと双璧かなと思いますが、あちらは古典の現代版、こちらは現代劇に古典のエッセンスを加えた感じがお見事です。
そして何と言っても当シリーズはずっとライアン・ジョンソンがオリジナル脚本を書き続けているのがすごい。今どき原作無しのオリジナル脚本でシリーズを作る、って結構レアな気がするんですよね。
なのでまあちょこちょこと不満がありつつも、それでもやっぱり一定程度のクオリティは担保されているし、このご時世オリジナルでこれだけ続けられるのはすごいよねと思うわけですよ。
シリーズの特徴でもあるキャスティングの豪華さも相変わらずだし、まあやっぱり結構お金もかかってるだろうと思います。
ジョシュブが死ぬ役なんて贅沢すぎますよ。彼らしい怪演も見事でしたが。

今作は教会という狭い世界(人間関係)での殺人事件でこれまた古典的なように見えますが、登場人物のキャラクターや世間との繋がり方に昨今のアメリカの風潮を取り込んだ面が見受けられ、意外と現実を皮肉った視点がベースになっているのもお上手。その点もまたこのシリーズの特徴でもあるのでそこもブレていません。
多分、パッと見で感じるよりも深い話だと思うんですよね。俗物のリーダーが信者と世間を分断させているのも現実社会の写し鏡のようになっていて。アンドリュー・スコット演じる作家のキャラクターなんてまさに現代っぽいし。
ただその現代への皮肉っぽさが1作目(のラスト)ほど露骨ではないので、悲しいかな気付かない人もいてなんか適当に批判しちゃうという…ちょっとハイコンテクストな映画なのかもしれません。
とは言えその皮肉さに気付かなくても普通にミステリーとしてある程度楽しめるものではあるし、やっぱり安心して観られる探偵映画ではないでしょうか。
一方で事件そのものは解決時点で判明することも多いので、「一体犯人は誰なんだ…!」と楽しむよりかは物語そのものの構成やメッセージ性を楽しむタイプのミステリーだとも思います。そこもまた好みが分かれる部分かもしれません。

爺になってもやって

相変わらず「解決編」的なシーンも出てきて楽しめるし、本当に安定した作りの良いシリーズだと思います。
あんまり評価していない人たちにしても決定的に問題だと感じる点や破綻していると感じているところもないだろうし、次が作られれば普通にみんな観るだろうと思われるのでぜひまた作っていただきたいところ。
もう爺になってもやってくれよ、ダニエル・クレイグ。その方が雰囲気出そうだしさ。

このシーンがイイ!

ミステリーらしく撮影も雰囲気たっぷりですごく良かったんですが、とあるシーンのライティングがいかにも教会的ですごく良かったというかベタながら作品に合った演出になっていておおっとなりましたね。

ココが○

安定感ある作り。
トリック的に「ずるくない!?」みたいなのもないし、好き嫌いはあれど完成度についてはあまり不満が出ないのではないでしょうか。

ココが×

やっぱりブノワがもうちょっと出てきてほしかった、というのはあります。見せ場が少ない。
あとワンチャンまた出てくるかなと思ってたのでおヒューが出てこなくてがっかり。

MVA

名優たちの共演なので悩ましいところですが…この人かな。

ジョシュ・ブローリン(ジェファーソン・ウィックス役)

被害者のカリスマ神父。
いろいろすごいんですが、本当にまあジョシュブらしい文句のつけようがない“その人っぽさ”が相変わらず見事でした。

ちなみに大怪我したジェレミの復帰作のようなんですが、なんかちょっと小太りのおじさんって感じで若干冴えなかったのが心配。まあ復帰戦はやむなし、といったところでしょうか。
あとケイリー・スピーニーがやっぱりかわいかったです。(どうでもいい感想)
なおシリーズ3作皆勤賞はダニエル・クレイグのみ…と見せかけてバーのマスター役で登場するノア・セガンも皆勤賞です。それも見どころ…でもないか。

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