映画レビュー0834 『太陽は光り輝く』

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もしかしたらどっかしら不具合が出てるかもしれませんが、そのときはご報告いただければ幸いです。

さてなんと今回は! BS録画でございます。

最近はもう基本的にネトフリの配信終了を漁って、めぼしい配信終了モノが無い時は古い映画が観たいぞ、という欲望渦巻く状態なので今回も古い映画になります。モノクロだよ☆

太陽は光り輝く

The Sun Shines Bright
監督
ジョン・フォード
脚色
ローレンス・ストーリングス
原作
『太陽は光り輝く』
アーヴィン・S・コップ
出演
チャールズ・ウィニンガー
アーリーン・ウィラン
ジョン・ラッセル
ステピン・フェチット
ラッセル・シンプソン
音楽
公開
1953年5月2日 アメリカ
上映時間
90分
製作国
アメリカ
視聴環境
BSプレミアム録画(TV)

太陽は光り輝く

南北戦争の影響が色濃く残るケンタッキーの田舎町。自身の再選を賭けた選挙を間近に控えるプリースト判事は密造酒で喉を潤わせながら、人々に寄り添う裁定を続けていたが、あまり旗色も良くないようで…。

今の政治家はこれを観て猛省しろ! 民に寄り添う政治を体現する姿に涙。

9.0
南北戦争の影響残る田舎町の人々の暮らしと選挙
  • 田舎町における噂と人間関係と選挙を絡めた人情話
  • 普段はダメ人間感漂う判事が美学を持って行動する様を描く
  • 価値観の提示という意味では社会派映画っぽい
  • 人の上に立つ者のメンタリティに感動

“名匠”ジョン・フォード監督の「小品」とも称される、いわゆる代表作ではない地味な位置付けの作品のようですが、しかし「知る人ぞ知る」的な良作として評判の映画のようです。ちなみにジョン・フォード監督作品を観るのは初めて。

主人公は老判事、プリースト。僕はこの頃のアメリカ(というかケンタッキー州というか)の統治機構みたいなものはサッパリわからないんですが、話を観ていた感じでは判事と言っても裁判オンリーというわけではなく、どちらかと言うと首長に近い存在のようです。

もちろん「本業」である裁判の裁定もやるんですが、それ以上に街の人々の陳情を聞いたりトラブルに対応したりというようなお仕事も多いようで、物語開始時点で「再選を賭けた選挙を控えている」ことからもわかる通り、選挙によって選ばれる権力者ということで日本人的には政治家に近いように見えますね。

舞台は南北戦争の40年後、プリースト判事は南軍の兵士だったらしく、彼の仲間であるお医者さんたち含め南軍魂が色濃い街…だそうですがその「南軍魂」がようわからんぞ、ということでこの南北云々はあんまり気にしなくていいと思います。ただ選挙は南軍メンバーである現職プリーストと、彼らを一掃したいと考えている北軍メンバーのメイデューとの一騎打ちが想定されていて、要は形を変えた南北戦争のような形で票の奪い合いが行われているような状況と考えていいでしょう。

とは言えそんなきな臭い露骨な囲い込みや「冷や飯食わせるぞ」的なパワハラが横行している自民党的体質でもなく、割と平和な戦いではあります。

主人公のプリースト判事は朝一に密造酒をかっ喰らい、おまけに本職(裁判)に遅刻してでも票になりそうなオバちゃんへのアピールを大事にするような割とダメそうな人で、なんと言うか物語開始直後は割と良い人感が薄い。ただ憎めない感じはする。

そんな彼の日々の立ち居振る舞いを通して彼が大切にするもの、彼の考える正義というものを見ていきながら、次第に観客も感情移入しつつ果たして彼の再選なるか、というようなお話です。

実は今回は序盤かなりノレない感じがあって、「うーんこれは最後まで観るのもしんどいかもしれないなぁ」と思いながら観ていました。

理由としてはやっぱりまず大前提としてかなり古い映画なので、前提となる知識がだいぶ現代とズレている感があって入り込みにくい点。

序盤は南北戦争とそれに付随する「南軍魂」だとかハイテンションで演奏する「ディキシーランド」とかなんかようわからんな的情報が主体になっていてまず入り込みにくい。南軍軍人会の集会とかも「そういうのあるのね」でイマイチ興味をそそられない。そんな中で細かく再選に向けたアピールを繰り返すプリースト爺さんちょっとかわいいなぐらいの感じで観ていると…少しずつ物語が動き出して行きます。

ポイントとしては、若く美しいながら出自に何やら事情がありそうな医者の養女・ルーシーに関わるお話と、叔父に「楽器しかやらない」と文句を言われている黒人若者の2人。この辺をしっかり観ておけば間違いないでしょう。

古い映画なだけに話としてはシンプルで、上に書いたようにところどころイマイチよくわからない部分はあっても、大枠では大体誰でも言いたいことはわかると思います。

再選を控えた判事が「民衆ウケ」する行動を取るのか、はたまた彼自身の信念に則った行動を取るのか。後者であればその信念はどんなものなのか。

これこそが政治の原点だ、というような行動を、一見だらしないように見える判事がきっちりと行動で示していく、その姿は本当に胸が熱くなりました。マジで今の政治家はこれを観て己を省みるべきだと思いますね。特にお友達優遇現総理とその取り巻きは。「民のための政治、民に寄り添う政治」とはどういうものなのか、それを体現する判事のかっこよさったらなかったです。

彼は決して聖人ではないんですよね。朝から密造酒を煽って裁判には遅刻するし、正直だらしない人っぽさも強い。でも行動には芯が通っていて、何が一番大事なのか、人の上に立つ人間として最も重要な美学をきちっと持っている。その姿の伝え方がとても良い映画だと思います。

(あんまり覚えてないんですが)「アラバマ物語」みたいな主人公だったらまたちょっと印象が違ったと思います。シュッとして正義感溢れる人物だったら。

プリースト判事はそういう人ではなく、人間的な弱さが見えるいかにも人間臭い人物なんですよ。そういう人物が意志を持って行動する姿は、やっぱり生々しいし説得力が全然違うなと。そのキャラクターの描き方があるからこそ諸々の名シーンが説得力を増し、また感動を呼ぶというお手本のような映画だと思います。

一部とっつきにくかったりわかりにくかったりする面は否めませんが、しかしいわゆる「映画史に残る」と言えるレベルの超がつく名シーンもあり、後半一気に押し寄せる感動には久々にガツンとやられました。

古いのでなかなか(環境的に)観づらい映画ではありますが、機会があればぜひ。

ネタバレは光り輝く

ネタバレってほどではないんですが、ちょっとホゲーっと観ているだけではわかりづらかった部分を補足すると、まずやたら忌み嫌われていた「マリーの店」ってなんやねん、ってところですがこれは早い話が娼婦の館的なところっぽいですね。

判事の友達のお医者さんが「マリーの店に入るところも見られるぞ!」的なセリフがありますが、それは要は「お医者さん女買いに行ってるぜ」みたいな目を心配してのことだったんでしょう。

これも詳細は語られていなかったと思うんですが、ルーシーのお母さんは最期マリーの店に行って亡くなり、葬儀もマリーの店の女性たちが参列していたことを考えると、おそらくルーシーのお母さんも娼婦で、将軍(ルーシーのお爺さん)の息子がお母さんを買ったときに出来た子供がルーシー、ってことなんでしょう。

そういう出自だから将軍も彼女を認めない、と。ルーシーに罪は無いのにね。まあそういう価値観が当たり前の時代だったんでしょうね。

このシーンがイイ!

終盤、2度ほど「行進」のシーンがあるんですが、これがもうどちらも超の付く名シーンでした。一気に泣いた。

特に「最初の行進」はセリフも音楽も無いシーンで長く続くんですが、その見せ方がもう素晴らしくてですね…。万感の思いで観ましたよ。

ワンピースでこんなようなシーンがあったような気がするんだよな〜。おそらくこのシーンはこの後の様々な物語にいろんな形で転用された名シーンだと思います。本当に素晴らしかった。

あとラストシーンも最高。あの仕舞い方がまた美しくて…。

ココが○

やや軽めのドラマっぽいようでいて実は社会派で、レビューに書いた通り実は政治に興味のある人には訴えるものがあると思います。

描かれる内容は綺麗事かもしれませんが、綺麗事だろうが美学を持っていない人間が政治をやった末路が今のアメリカとか日本なわけで、その意味するところが理解できるのであれば間違いなく感動できる映画でしょう。トランプなんて絶対観てないだろうな、この映画…。

ココが×

序盤のノリにくさと時代的な知識の部分。ただ最終的にはあんまり気にしなくても良いかなという気はする。

MVA

お医者さんの品の良い爺様っぷりも良かったんですが、この映画はもうこの人しかないと思いました。

チャールズ・ウィニンガー(プリースト判事役)

割と他の方々は少しオーバーな演技が目立っていたような気がするんですが(特に召使いの黒人さん)、この人は自然でまさにプリースト判事そのもの、って感じで。いやプリースト判事知らんけど。それぐらい本人感が良かったぞと。

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