映画レビュー0583 『セッション』

ご存知、去年大変話題になったこちらの映画。これもまた近くでやってなかったので、今回ようやく借りて観ました。

セッション

Whiplash
監督
脚本
デイミアン・チャゼル
出演
マイルズ・テラー
ポール・ライザー
音楽
公開
2014年10月10日 アメリカ
上映時間
106分
製作国
アメリカ

セッション

偉大なドラマーになることを夢見て、アメリカ最高の音楽学校「シェイファー音楽学校」に入学したアンドリュー。ある日、練習中に学校一の名指揮者であり、名指導者として名高いフレッチャーの目に止まり、彼が指導する最高クラス「スタジオ・バンド」に招かれる。初日から過酷で強烈な叱咤とパワハラをお見舞いするフレッチャーの練習に面食らうアンドリューだったが、徐々にその頭角を現し始め、メインのドラマーとして抜擢される。

先生も異常なら生徒も異常。

8.0

散々話題になっていた通り、J・K・シモンズ演じるフレッチャーの鬼教官っぷりがスゴイ映画でしたが、しかしどうして、指導される側の生徒である主人公・アンドリューもまたすごくてですね。もう異常な先生 vs 異常な生徒という感じで、やってることはジャズでもまさに格闘技のごとく文字通り血だらけになりながら、殺し合いをしかねない勢いでバチバチと火花を散らしながらの両者のバトル、大変見応えがありました。

主人公・アンドリューは偉大なドラマーになろうと毎日ドラムのことしか頭にない19歳の少年。まだまだあどけなさが残る、とても偉大になれるようには見えない少し抜けてそうな感じの男の子という雰囲気。余談ですが、演じるマイルズ・テラーはこの時すでにアラサーです。全然見えない。

そんな抜けてそうに見える彼ですが、しかしドラムの腕前には目を見張るものがあり、それが「全米一の鬼教官」フレッチャーの目に止まったことで、いわゆるエリートクラスのようなものである「スタジオ・バンド」のドラマーとして抜擢され、さらに紆余曲折があってメインドラマーとなり、さらに文字通り血の滲むような努力をしながら他のドラマーとも戦って、はてさてその先に彼を待つものは…というお話です。

まーとにかく練習が凄まじくてですね。鬼教官は人格否定どころか家族まで否定するという徹底したブラックっぷりで、ようみんなキレないでがんばるな、と思うわけですが、確かにここまでひどくはなくてもこの手の「圧迫授業」のような教え方をする先生には僕も教わった記憶があるし、そんなに珍しい先生というわけでもないんでしょう。たまにちょろっと優しくしたりとか。「あー、こういう手使うよね~」と思いつつ観ていました。

僕の場合はこういうことがあるとあっさり「じゃあもうやめますわ」で終えるんですが、アンドリューはとにかく根性があるし、何よりドラムに関してめちゃくちゃ熱意があるので、その熱意と負けん気でしっかりついていくわけです。

んで、具体的にどうこうは書きませんが、あることがあっても意地でも演奏してやる、ととにかくすべてに優先してドラムに向き合う姿勢、これがもう狂気と言っていいレベルなんですよ。僕は本当にこういう根性も熱意も持ったことがないので、羨ましいし眩しくもあったんですが、ただもうここまで来ると本当に異常なので、「この二人すげーな」と思いながら圧倒されている時も、どっかでは「いやでもこいつら絶対おかしいよ」と醒めちゃっている部分もあって、なかなか観ていて複雑な気持ちではありました。

音楽に本気で、夢もあり、なおかつ権威の塊のような人物が強烈な罵詈雑言を浴びせてくる。そりゃ萎縮もあるし、意地もあるし、ある種その場にいる全員が覚醒しているような状況で、そのまま突っ走っちゃうのもよくわかるんですよ清原さん、っておっと覚醒違い。

でも、明らかにやり過ぎでも、誰一人反論もせずフォローも入れず、っていうこの授業はさすがにちょっとどうなのかな、と。もっと反抗したり、仲間内で少しフォローしたりとか無いのかな、って。

映画としてのテンポ重視でそれを入れなかったんだろうとは思うんですが、あまりにも過酷なバトル授業をクローズアップしすぎてて、圧倒されながらも少しうんざりした面もありました。面白かったんですけどね。

ただ、あまりにも一本勝負すぎて、もう少し幅が観たかった気はします。

それでもラストは良かったし、いろいろ言いたいことはあれど、間違いなく傑作だとは思います。熱いハートを持った人たちであれば一緒にアドレナリンを放出させながらのめり込める映画でしょう。僕は熱意がある人を観ていると、その熱意があればあるほどこっちが醒めていくタチなので、そこまでこの映画に入り込めなかったのが少し悔しい。

なので、我こそはという熱いアニキ(アネキも可)はぜひ観てください。確かに話題になるだけの尖った映画だと思います。

このシーンがイイ!

アンドリューを演じるマイルズ・テラーの鬼気迫るドラミングはどのシーンも素晴らしかったです。特にやっぱり一番の見せ場だし…ラストかな。本物のドラマーとしか思えなかった…。役作りで練習した、って言ってもこのレベルまで出来るのは本当にスゴイ。

ココが○

当然ですが、演奏はどれもすごく良いので、耳に嬉しい映画なところ。特にジャズは個人的に好きなだけに、いいぞいいぞーと演奏だけでも観ていて楽しかったですね。

ココが×

ド直球な内容なので、意外性とかにはあまり期待に応えてくれないと思われます。もっともそいうものを求める映画ではないでしょうが。

しかし…過酷ですね音楽の世界は。

MVA

J・K・シモンズは確かに評判通り鬼で鬼ですごかったですね。とても好きな役者さんですが、こういう役は初めて観たので新鮮でした。でもものすごくハマってた。本来であれば彼でいいと思いますが、僕はこちらの方にしたいと思います。

マイルズ・テラー(アンドリュー・ニーマン役)

主人公の少年。ただし実年齢はアラサー。

冴えない感じの普段と、ドラムをやっている時の鬼気迫る感じのギャップがスゴイ。

あとはやっぱり、演技としては間違いなくJ・K・シモンズだと思いますが、それを差し置いてのこのドラムの技術、それだけでもうMVAだな、と。どんだけ練習したんだよ、と。この映画だけで終わらせるにはもったいない気がしますこの技術力。

ちなみに劇中の手からの流血はすべて本人のものらしいです。すごい。本当にバンドやって欲しいレベル。とんでもないドラムでした。音楽も過酷ですが、それを演じる役者も過酷だなぁ、と思いますね…。こんなのやってたらすごく痩せそう。

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