映画レビュー0098 『天使と悪魔』

これも結構前からリストに入れてたんですが、ようやく来ました。ただ、前作(ダ・ヴィンチ・コード)が前作だったので、同じスタッフだしあまり期待してはいませんでした。

が…?

天使と悪魔

Angels & Demons
監督
脚本
原作
『天使と悪魔』
出演
音楽
公開
2009年5月13日 フランス他
上映時間
138分(劇場公開版)
146分(エクステンデッド版)
製作国
アメリカ
視聴環境
TSUTAYA DISCASレンタル(ブルーレイ・TV)

天使と悪魔

欧州原子核研究機構(セルン)から「反物質」が盗み出され、同時に4人の新教皇の有力候補(プレフェリーティ)が失踪する事件が起こる。

前作よりはマシだけど。

4.0

前作同様、原作を読んだ後の鑑賞なので、どうしても「映画だけ観ました」という人とは感想が変わっちゃうとは思います。そこだけ最初にあしからず、ということで。

全編通して観た感想としては、タイトル通り、「前作よりはマシかな」といった感じ。

前作は原作の完全ダイジェスト版で、もはや映画としての体をなしていない、というのが僕の評価ですが、今回は一応それなりに単体の物語としてはギリギリ成立してたのかな、と思います。ただ、これもやっぱり原作を読んで予備知識があるから言えることなので、果たして事前情報無しに観た人がどれだけ物語に入り込めるかは疑問な気もします。

物語自体、連続殺人事件と謎解きの絡みが中心のお話なので、前作よりは映画として成立しやすい面もあったと思います。が、その分「だったらもっとできるだろ」という思いもあり…。

映画はどうしても時間的な制約があるために、原作を先に読んでしまうと物足りなく感じてしまうのは世の常ではありますが、じゃあその取捨選択をどれだけうまくやれるのか、という脚色の部分での腕が映画の正否に関わると言っても過言ではないわけで、そう言う意味で、この一連のロバート・ラングドンシリーズの映画化はスタッフの力量不足、という感が否めません。

もっとも、元々(事実か否かは別として)宗教的なウンチクが物語に厚みを持たせているシリーズだけに、その辺を(時間的にも、大人の事情的にも)じっくり語れない映画というメディア自体に、このシリーズが向いていないのかもしれませんが…。

さて、ちょっと説明。

まず今作は、原作との相違としてセルン関連の話がバッサリ切られてます。そうせざるを得なかったのも理解できますが、ただ物語発端の「反物質」の出所としてセルンが出てきてしまっているだけに、これがまずものすごく中途半端。

おかげで最初のセルン内の殺人事件も大した意味を持たず、何よりヒロインがいる意味がない。何でこの人ついてきてるの? いらないじゃん。っていう。これが痛い。映画だけ観た人にとっては、ヒロインの存在の意味不明さったら無いでしょう。とりあえずオッサン一人より女つけとけ、みたいなおざなり感を感じる。

あとは真犯人の動機の部分が、やはり大人の事情からか、語られず終い。おかげでただの野心家という扱いになってしまい、話が薄っぺらくなってます。

その他も(当然ですが)あちこちバッサリ切られてるので、正直何を持ってタイトルが「天使と悪魔」なのか、それすらもよくわからない映画になってました。

原作ありきの話なのでタイトルを変えられないのも仕方ないところでしょうが、この話の内容だったらタイトルは別になると思う。

あとはもう、相変わらずの説明不足な展開が続くので、映画だけ観た人が話についていけるのか、というのが心配。ただこれは原作を読んでから観た人間にはわからないところなので、観てもらって判断してもらうしか無いんですが…。

結論としては、やっぱり「前作よりはマシ」としか言いようがないかな、と…。もうどうせなら批判覚悟で前後半の二部作とかにしちゃっていいと思うんだけど。

個人的にはこんな中途半端な物語にするんだったら映画化する意味がないと思いますが、果たして「映画のみ」の人はどうなんでしょうか。

このシーンがイイ!

昨日観たからかどうかはわかりませんが、びっくりするぐらい良いシーンが浮かびません。わっはっはっはっはっ! とりあえず笑っとけ!

必死に思い出しつつ、強いて挙げるなら…。

…ない。ソーリー。

ココが○

ずば抜けていいぜ、ってわけではないんですが、音楽は安定感があってなかなか盛り上げてたなーと思ったらまたもハンス・ジマー。さすがのお仕事。

外しませんねぇ、この人。

ココが×

原作を読む限りでは、ローマの彫刻やら建造物やら、美術的な楽しみがたくさん出てくる映画を期待してたんですが、取材許可の関係からか、はたまた大人の事情からか、そういう映像があんまり無くて、そこがまたすごく残念でしたね。

MVA

相も変わらず、ではありますが、やっぱりラングドンはトム・ハンクスのイメージじゃない。ちょっとなー。違うんだよなー。もっとダンディで知的なイメージなんだよなー。

あとはヒロインの人も、綺麗ではあったけど原作から考えると歳を取りすぎ。原作は確か20代後半じゃなかったっけ? もっと若い人じゃないと…。まあ、映画での立ち位置を考えると仕方ないのかもしれません。

物語のキーマンであるカメルレンゴ役のユアン・マクレガーは妥当なところ。で、一人選ぶなら。

ニコライ・リー・カース(ミスター・グレイ役)

原作で言うところの「ハサシン」、いわゆる暗殺者役。初めて観ましたが、かっこよかったですね。ガイ・ピアースに猿を2割ほど足したような感じで。それがかっこいいのかよ、という感もありつつ。

どうせならガイ・ピアースにやって欲しかったとも思いますが、そう言う問題じゃないよ、っと。わかってます。

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