映画レビュー1344 『ダルバール 復讐人』

そろそろインド映画を補給しないとヤバい気がしたのでJAIHO常時配信の中からこちらをチョイス。

ダルバール 復讐人

Darbar
監督

A・R・ムルガダース

脚本

A・R・ムルガダース
ジョン・マヘンドラン

出演

ラジニカーント
ナヤンターラ
ニヴェーダ・トーマス
ヨーギ・バーブ
スニール・シェッティ
シャマタ・アンチャン
プラティーク・バッバル
ナワーブ・シャー

音楽

アニルーダ・ラヴィチャンダル

公開

2020年1月8日 各国

上映時間

158分

製作国

インド

視聴環境

JAIHO(Fire TV Stick・TV)

ダルバール 復讐人

インドのトム・クルーズは俺だ!

7.5
ムンバイの麻薬組織壊滅のため超絶無法警察長官が無双する
  • 新たにムンバイ市警察長官に就任した男、麻薬組織壊滅のためキーマンを逮捕するが…
  • 御年70歳のラジニカーントが歌い踊り殴り恋も筋トレもする
  • ラジニカーントによるラジニカーントのための映画
  • わかっちゃいるけど面白い

あらすじ

最近「インド映画いっつもこれだな」と同じような展開の映画が続いていたのでこれもそんなに期待しないで観ていたんですが、ちょっと予想を裏切る作りもあってなかなか面白かったです。

それまでの手腕を買われ、麻薬で荒れ果てたムンバイの市警察長官に任命されたアーディティヤ・アルナーチャラム(ラジニカーント)。

彼は州副首相の娘が誘拐された事件の捜査をきっかけにムンバイ市内の麻薬・誘拐組織を一掃するべく作戦を打ち、めでたく成功したかに思われたんですが、逮捕した男・アジャイが有力者の息子だったために政治的圧力がかかる事態にまで発展。

それでも我が道を行く長官ですが、ある日アジャイと面会するため刑務所に行くと別人が収監されていて、本人は逃げおおせたご様子。

舐めんじゃねぇぞ、と再度捜査を開始する市警察ですが、はてさて…。

スーパースター・ラジニカーント

まず上記あらすじは少し進んでからのお話で、実は最初に「マフィアを殺しまくる長官がやべー」的なオープニングがあります。で、なんでこうなったのかというと…的な過去シーンが始まるんですが、この過去シーンが都合2時間ぐらいあるよ、っていう。インド映画、過去シーン長くなりがち…!

話は最近観飽きてきた感のある話とはちょっと違ったのでそれなりに楽しめたものの、まあでも言うて大した話ではないですよ実際。

簡単に言えば「息子を捕らえられた有力者から復讐を受けた長官がさらにその復讐でマフィアを殺しまくるお話」で、取り立てて変わった感じもないんですが…やっぱり見せ方とか構成がインドらしくぶっ飛んでいるので面白おかしく観られちゃうという。相変わらず勢いですべてを無にしていくスタイルが強すぎる。

まあこの辺はある意味「普通のインド映画」で片付けられるんですが、何と言ってもこの映画はラジニカーントですよ。

ムトゥ 踊るマハラジャ」の主演でおなじみのラジニカーントさん、この映画公開当時・2020年でちょうど70歳。もう完全なるおじいちゃんです。

ご本人はWikipediaを見る限りもうツルッパゲのようなので、きっとカツラで演技しているんでしょうがそれにしたって若い。

踊りのシーンはやっぱりキレもイマイチでおじいちゃん感が拭えないんですが、それも含めてエンターテイメントになっているのがすごい。

ちょっとした恋愛フェーズも出てきたりして、とにかく「ラジニカーントを観ろ」という圧がすごい。「ラジニカーントが頑張ってるんだから誰が観ても面白いだろ!?」みたいな。

初めて観てびっくりしたんですが、オープニングに「SUPER STAR RAJNI」ってロゴが出るんですよ。一昔前の感じのビジュアルで。もうそこでゲラゲラ笑っちゃうんですが。

「主演」とかじゃないんですよね。ド頭の製作会社ロゴとかに混ざって「スーパースター ラジニカーント」ってすごくないですか!?

もちろんラジニカーントがスーパースターなのは知っていましたが、それを映画でアピールするとなるとまた別じゃないですか。

もうこの時点で「インドすげぇ! さすが!」ってなっちゃますね。実際。

アクションもかなり怪しい感じで、細かいカットをつないで「パンチを出したら吹っ飛んでる敵」みたいな感じであんまりしっかり見せてくれないんですが、それは仕方ないと理解もできるし見せ方もお上手なので結局「ラジニカーントすげぇ!」になっていくのが面白いですね。

相変わらず蹴るだけで敵がコンクリの地面をバウンドしたりして笑わせてくれます。超強い70歳。

おまけに物語的には超どうでもいいんですが筋トレするシーンまであります。

さすがに肉体が若々しすぎるので、CGか別人の身体をハメてるんだとは思うんですが…ワンチャン「ラジニカーントすげぇ!」と思えるような気もしてそこも素晴らしい。

見方によっては「ラジニカーント接待映画」であり、きっと制作陣もスーパースターに気を使って作ってるんだろうなと思ったりもするんですが、ただきっと民衆がそれを望んでいるからこそなんだろうし、そこもまたラジニカーントすげぇ、なんですよね。そうさせてしまうパワー。

そんなわけでかなり制作側の配慮が見え隠れする映画ではあるんですが、ただそれを差し引いても「よう70歳でこんなのやるわ」と良い意味で呆れてしまうすごさがあり、「もしやラジニカーントはトム・クルーズの10年先を行っているのでは!?」という気がしないでもない。

もちろんトム・クルーズの方がやってることは全然すごいんですが、ただ同じようにスーパースターで観客に“夢を見させる存在”として同じようなものを感じるし、きっと彼とはまた少し違うベクトルで努力もされているはずなので、それも含めてすごいな、という畏怖の念を感じます。

普通に考えて「70歳が演じる役」ではないのは間違いないんですが、それを演じ、かつ観客が受け入れる(むしろ求めている)のはそれだけで偉大だしやっぱりこの人もとんでもないんだな、と思いましたよ。あたしゃ。

ある程度インド映画を観たあとの方がいいかもしれない

おそらくその性質故、それなりにインド映画に触れている人のほうが面白い映画だろうとは思います。「ラジニカーント? 誰?」って人は絶対に楽しめないと思う。

なのでまずは「ムトゥ 踊るマハラジャ」その他を履修してから臨むと良いのではないでしょうか。

おそらく僕なんかが思っている以上にもっと本場ではスーパースターだと思われるので、その地位の高さを噛み締めながら観ましょう。

っていうかくどいようですがオープニングに「スーパースター」ってロゴが出ちゃうぐらいのスーパースターですからね。正直比較対象がいないレベルな気がする。

そんな人が老体に鞭打って歌い踊り、戦うんだからそりゃあ面白いに決まってる。(歌は吹き替えですが)

もうこういう映画を作っちゃう時点でインドすげぇ案件なのも間違いないので、そのすごさを体感したい方はぜひご覧頂きたい所存です。

このシーンがイイ!

序盤ですが飛んできたナイフを掴んでサクサクするシーンに爆笑しました。最高すぎる。

あとどうでもいいんですがインド映画は常に飲酒のシーンと喫煙のシーンに「タバコは健康を害します」みたいな警告文をずっと出してくる割に殺しまくるシーンには何も出してこないのがいつも笑う。

ココが○

ラジニカーントのスター性を思う存分味わえるところ。悪役かな? ってぐらいずっと不敵に笑ってるのも最高です。

ココが×

やっぱり期待を裏切るほどの「ものすごいなにか」があったわけではないので、良くも悪くもラジニカーントにおんぶにだっこ感はありました。

あと散々殺しまくる割に流血シーンとか出血してるところとかにモザイクかけるのなんでなんでしょうね…。ビキニもそうだし。まあ今回はビキニは出てこなかったんですけどね。

MVA

ヒロインの女性もすごい綺麗だったんですが、一番グッと来たのは署長の部下の女性警官でした。めっちゃかわいかった。

とは言えこの映画はどう考えてもこの人でしょう。

ラジニカーント(アーディティヤ・アルナーチャラム役)

説明不要のスーパースターであり主人公の市警察長官。超強い。

一言で言えばこの人が無双するだけの映画なんですが、それが70歳ですからね…。

いくら見せ方でうまくやっている…つまり本人はそんなに動けていなかったとしても、やっぱりこういう企画が通っちゃう存在という時点ですごすぎますよ。

もっと歳をとってもこういう映画やって欲しい。元気出ます。

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