映画レビュー1063 『ムトゥ 踊るマハラジャ』

ようやく今年一発目です。遅れちゃってソーリー。

映画自体は何本か観ているんですが、やっぱり年初は絵にしてもレビューにしてもストックがない分、どうしても遅れがちです。ちなみにこれは3日に観たのを2週間経ってようやくレビュー書いてます。

去年、最初に観た映画が「ビトウィーン・トゥ・ファーンズ: ザ・ムービー」だったんですが、一年を振り返ったときに「最初にくだらない映画観るのなんかいいな」と思ったので今年もくだらない映画を、と思ったんですがなかなかああいう変な映画ってない。

となるとやっぱりインドじゃないか、ってことで年末BSプレミアムで放送してくれたこちらの映画を今年一発目に選びました。正月休みで長い映画が(気分的に)観やすかったこともあり。

当時かなり話題になったのは覚えていて、その頃行ったオフ会的なものの会場だったインド料理屋でエンドレスに流されていたのを明確に覚えてます。参加者は誰一人覚えてないのに。

ちなみに年初にウダウダいろいろと書きましたが、その後たまたま今契約しているサーバーが「半永久無料キャンペーン」という「サーバー代5年分一括払いすれば今後追加費用無し」というキャンペーンをやっていたので勢い余って契約してしまい、このブログも死ぬまで継続することが(ほぼ)決まりました。よろしくお願いします。

ムトゥ 踊るマハラジャ

Muthu
監督

K・S・ラヴィクマール

脚本

K・S・ラヴィクマール

原案

プリヤダルシャン

出演

ラジニカーント
ミーナ
サラット・バーブ
ラーダー・ラヴィ
センディル
ヴァディヴェール
ジャヤバーラティ

音楽
公開

1995年10月23日 インド

上映時間

166分

製作国

インド

視聴環境

BSプレミアム録画(TV)

ムトゥ 踊るマハラジャ

「あのインド」の源流を感じる特濃ムービー。

8.0
大地主の人気者使用人、主の片想い相手に惚れられる
  • 主と使用人と女優の三角関係ラブコメディ
  • とは言うもののいい意味でよくわからない雑多なジャンルを横断
  • さすが“日本最初のインド映画”だけあっていろいろ原初を感じる
  • とにかく男性陣が濃い。とにかく濃い

あらすじ

ご存知の通り、この映画は「日本で最初にヒットしたインド映画」と言える一本で、さらには今に至るまで「日本で最もヒットしたインド映画」でもあります。それ故日本におけるインドの始祖…! と言い切っちゃっても良いぐらいにインドしてました。

主人公のムトゥ(ラジニカーント)は、大地主のラージャー(サラット・バーブ)に仕える使用人です。彼は性格も明るく腕っぷしも強く人柄もよく、ってことで周りの人たちから好かれております。

オープニングでは「ムトゥが来る…!」と彼の来訪が事件になるぐらいの大騒ぎっぷりなんですが、使用人のくせに常在してねーのかよと早くもツッコミどころ満載で最高です。

彼の仕えるラージャーは舞台好きすぎマンのため、毎日のように舞台を観に行く文字通りの良いご身分なわけですが、ある日ムトゥもお供してとある舞台を見に行ったところ主演女優のランガヤーナキ(ミーナ)に一目惚れ、その後突如襲われた彼ら劇団を逃がすべく、ランガヤーナキを連れて逃げろ! とムトゥに命じます。

彼女に興味のないムトゥですが主の命令なので彼女を連れて逃げ続けまして、その道中ではいろいろありつつ…あとはご覧くださいませ。

ジャンルはインド

例によってあらすじは参考程度のもので、なにせインド映画なのでいろいろとすごくてですね…。無駄が多いのか、はたまた内容よりも見せ場重視なのか、どういう意図を持って作っているのかがよく理解できないぐらいには尖った映画で、まあなんというか…「筋を追う」よりもただ展開されるシーンに圧倒されつつ笑う、みたいな相変わらず(というかこれが日本人的には元祖みたいなものですが)衝撃を受ける映画でした。完全に欧米の映画とは違った回路を使わされます。

一応ジャンルとしてはラブコメで間違いないとは思うんですが、例によって人間ドラマあり笑いありそして歌と踊りありということでやっぱりもうジャンルは「インド」じゃないか、という気がしてなりません。

これの進化版に「きっと、うまくいく」や「バーフバリ」があるのは間違いないと思うんですよね。それら後発の映画よりも尖っていて、ある意味では粗い映画なんですが、その分やっぱり勢いもすごいし「なんかよくわからないけど圧倒される」すごさみたいなものは誰もが感じるところではないでしょうか。

ちなみに役名と役者名を並べたところ、

  • ムトゥ(ラジニカーント)
  • ランガヤーナキ(ミーナ)
  • ラージャー・マヤラーシンマン(サラット・バーブ)
  • アンバラッタール(ラーダー・ラヴィ)
  • テーナッパン(センディル)
  • ヴァライヤーパティ(ヴァディヴェール)
  • シヴァガーミヤンマール(ジャヤバーラティ)
  • パドミニ(スバーシュリー)
  • カーリ(ポンナーンバラム)
  • ラディ・デーヴィ(ヴィチトラー)
  • ラジャセーハラン(ラグヴァラン)

と役名も役者名もどっちがどっちなのか混乱必至でさっぱりわかりません。インド映画難しい。

主観のよくわからない例え

これは完全に僕の主観ですが、この手のインド映画は「観客を楽しませよう」という熱量がものすごくて、全然感覚は違うものの70〜80年代のアメリカ映画に近いようなある種の純粋さを感じるんですよね。

例によってその頃のすべての映画がそうだったとか今の映画はすべてが違うとかそういう類の話ではなく、総体的に感じられる雰囲気のようなニュアンスなんですが。

最近の映画はどちらかと言うと功名心というか、「どうだ驚くだろう」とか「こうすれば感動するだろう」みたいな、作り手の「こうすればいいんでしょ」というような上から目線を感じる映画が多い気がするんですよ。「どうせお前らはこういうの好きだろ」みたいな。

「自分の思う最良とは違うけどこうすれば売れる」打算が見える感じ、と言えばわかりやすいでしょうか。これは監督からスポンサー(プロデューサー)の方に主導権が移っている(ケースが多い)せいなのかもしれません。テクニックに走りすぎている、と言ってもいいかもしれません。

一方古いアメリカ映画には、打算よりもとにかく観客を楽しませるべく自分たち(作り手)の方も楽しんで頑張ろう」みたいな純粋さを感じるんですよね。その最たるものが「スティング」だと思ってるんですが。

んで、インド映画ですよ。まさにインド映画にはそういう「とにかく楽しんで!?」という勢いが溢れてる気がするんですよ。

ストーリーの展開とかそういうのは置いといて、とにかく1シーン1シーンに面白さを詰め込んで「どうだ!」と直球勝負してくるような。これがたまりませんね、やっぱり。

その直球はすぐさまボールだとわかるようなひどい球もあるんですが、それでも最終的には抑えちゃう豪速球投手みたいな。やっぱりすごいぜインドとしか言えません。

流し見するぐらいがちょうどいいかも

いろいろ気になる点はあるし、完成度という面ではそこまでではないかもしれません。やっぱり良くも悪くも粗さは感じます。観ようによっては(欧米映画と比べれば)素人が作った感じがするかもしれません。

でもそれを補って余りある熱量と潔さですよ。「マジでなんなの?」って思いますね。インド。とにかく濃いし笑うし圧倒される。

ただまあご多分に漏れず長いし粗い故にしっかり観るのがしんどい可能性もあるので、少しダラダラと流し見するぐらいが良いかもしれないですね。そのうちハマってくればなんだかんだじっくり観ちゃうと思います。それもまたインド映画っぽい気がする。

インドの人たち、ものすごい大騒ぎらしいですからね。劇場でも。そうやってワイワイ笑いながら観るのが正しい鑑賞方法なのかもしれません。

このシーンがイイ!

いやーこれはもうね、逃走劇の崖のシーンですよ。

ものすごく広いところを走ってたと思ったらいきなり敵が転落していって「いつから崖そば走ってたんだよwwww」と笑った後の衝撃。ここがインド。ポイントです。

ココが○

サービス精神旺盛、上手さよりも勢いで楽しませようとするエンタメっぷり。さすがです。

ココが×

やっぱり長いし無駄が多い感じはどうしてもします。「これいるのかよ」と笑いながら言うこと多々。でもそこが良さでもあるから難しい。

MVA

男性陣の濃さで言えば過去一だった気がしますが、順当にこちらの方にしましょう。

ラジニカーント(ムトゥ役)

主人公の使用人。

ラブコメの主人公なのにこんな濃いおっさんでいいの!? と思いましたがなんでもこのお方はインド(の一部地域)では「神のような」地位を持つそうで…文字通り国民的な俳優さんなんでしょう。もちろんこの映画の国際的な成功もあって、なんでしょうが。

演技がどうこうというよりとにかくパワフルで周りを飲み込むような存在感が魅力的。圧倒されました。さすがです。

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