映画レビュー0969 『ビトウィーン・トゥ・ファーンズ: ザ・ムービー』

今年の通常営業1作目はそれらしく「アイリッシュマン」にしようと再生直前まで行ったんですが、3時間だと思ってたらまさかの3時間半もあって「こりゃちょっと無理だわ」と諦めてあっさり時間が短くかつ観ると頭が悪くなりそう(褒めてます)なこちらの映画をチョイスしました。

密かに観たいと思っていた少々マニアック(?)な映画です。

ビトウィーン・トゥ・ファーンズ: ザ・ムービー

Between Two Ferns: The Movie
監督

スコット・オーカーマン

脚本

スコット・オーカーマン

原案

ザック・ガリフィアナキス
スコット・オーカーマン

出演

ザック・ガリフィアナキス
ローレン・ラプカス
ライアン・ゴール
ジャバニ・リナヤオ
ジンジャー・ゴンザーガ
メアリー・シェーア
ロバート・R・シェイファー
ウィル・フェレル

音楽
公開

2019年9月20日 各国

上映時間

82分

製作国

アメリカ

視聴環境

Netflix(PS4・TV)

ビトウィーン・トゥ・ファーンズ: ザ・ムービー

無駄な豪華ゲストでいちいちサプライズ食らって喜ぶだけ、だがそれが良い。

7.0
冠番組が欲しいザック・ガリフィアナキスが予算ゼロで番組撮影の旅に出る
  • アメリカを横断しつつ自身の番組を得るためのミッションをこなすザック本人とそのスタッフ
  • モキュメンタリーでありコメディでありロードムービーでもある
  • 出演ゲストが豪華すぎて映画好き歓喜
  • ただし話の内容は予定調和

あらすじ

新年一発目に(尺が短いのもあって)これを選ぶ辺り本当に我ながらダメ人間だなと思いますが、まあやっぱり気楽な映画が観たい状況なんでね、まだね。

ご存知ザック・ガリフィアナキスさんが本人役として主演、モキュメンタリーっぽい雰囲気で作られた映画なんですが、その「モキュメンタリーっぽい」のも込みでコメディにしている感覚なので厳密にはモキュメンタリーでもないです。作りをそれっぽくしている、ってだけで。

んで、主役のザックさんですが、今はもちろんハリウッド映画にもちょこちょこ出てくる売れっ子クソ野郎(褒めてます)ではありますが、この映画の上ではその現実の立ち位置は無いことにされ、「ローカル局で地味な番組を持つコメディアン未満」的なポジションのようです。

彼の夢は観客を入れたスタジオで自らの名前を冠したレギュラートーク番組を持つ、というもの。アメリカのテレビ番組でよく見るタイプのアレです。ちょっとジョーカーっぽくてざわつきますけども。ザックもまた狂ってるし。でもコメディなのでその辺は安心です。

一応話としてはその前段として、彼は「ビトウィーン・ザ・ファーンズ(シダの間で)」という番組をすでに持っていて、オープニングにその番組における失態でスタジオを破壊してしまい、さらにゲストのマシュー・マコノヒーが一度死ぬ(蘇生措置で生き返ったので事なきを得る)という大事件を起こすんですよ。もうこの時点でゲラッゲラ笑うんですが。

その事件の後、彼の上司であり制作会社(?)のトップでもあるウィル・フェレル(ご本人役ですがこの人選もまた笑う)に「期限までに10本番組撮って来たら冠番組持たせてやる」とミッションを課せられます。っていうかスタジオ破壊してマシュー・マコノヒーを(一度)殺したのにさらにチャンスを与えてくれる展開も謎展開で笑いますが。

かくして彼は身近なスタッフ3人を引き連れ車に乗って全米を横断し、通りがかったエリアにいるセレブたちをゲストに「ビトウィーン・ザ・ファーンズ」を撮影、期日までに10本取り終えて帰ることができるのか、はたまた彼の夢は叶うのか…といった内容になっております。

元々作られていた番組の映画版

僕も詳しくは知らないんですが、そもそもこの映画内番組である「ビトウィーン・ザ・ファーンズ」という番組自体、以前何度か作られているようで、これはその番組の映画版的な位置付けの映画のようです。内村さまぁ〜ず THE MOVIEみたいなもんですね。

その元となる番組もこの映画で撮られるものと同様、メジャーなセレブたちをゲストに呼んで、まったく空気を読まないザック・ガリフィアナキスが失礼な質問をぶつけまくり、ゲストの怒りを買うのがフォーマットみたいな。

もちろんはっきり言って“ヤラセ”なので、ゲストの方も怒ってる演技をしている…んですが実際質問がかなりひどいので、「実はこれマジで怒ってたりするんじゃないの…?」的な観方もできるのがミソです。きっと。

そんな実際にあったら胸クソ悪い品のない番組を各地で撮りまくり、一部ひどいトラブルも起こしながら念願叶うか乞うご期待って話ではあるんですが、まあその本筋の方の展開はいかにもなものなので特に期待しない方が良いでしょう。

結局この映画のウリはゲストですよ。間違いなく。

映画好きにはたまらないゲストの数々

僕が観ていたときの楽しみとして最も大きな部分が「誰がゲストとして登場するか」だったので、ここでは興を削がないようにゲストの名前は出しません。最初だけは説明でも必要なのでマシュー・マコノヒーって言っちゃってますけども。要はそれぐらいのレベルでメジャーな人たちがガンガン出てくるんですよ。ちょい役で。そしてみんな一様にザックにキレるわけです。これで笑うなって方が無理でしょう。

っていうか途中から制作費用も無くなってノーギャラ出演になっているはずなのに、なぜなんのコネもない(設定の)ザックがこれだけ豪華なメンバーをゲストに呼べるのかが謎すぎるんですが、その辺言い出したらキリがないのでそれも含めて楽しむのが正しい観方だと思われます。

「何ノーギャラで来て怒って帰ってんの?」っていう。セレブのご苦労様感すごい。

一応ロードムービーの形にもなってはいるものの、ロードムービーとして重要な「旅先での出会い」はそのまま丸々豪華ゲストの怒りに変わっているだけなのでそこがまたバカバカしくて最高なわけですが。いや本当にこれほどまでくだらない映画もなかなかないですよ。

実際はかなり楽しめた映画ではあるんですが、ただ楽しむにはやっぱりそれなりに「この人が!?」とゲストに驚けるぐらいにはある程度の知識が必要なのも事実なので、意外とよく見かける(気がする)「外国の俳優さん全員一緒に見える」とか思っちゃうタイプの人にはまったく面白くない映画だと思うので少々評価は下げました。

映画好きであれば楽しめること間違いなし

新年一発目に観るにはまったく相応しくない映画だと思いますが、ただそれを選んでゲラゲラ笑ってる自分の天の邪鬼っぷりもまたそれっぽいなと我ながら思うので、結果的に良いチョイスしたなと思っております。今年もこういうくだらない映画にもっと出会いたい。

基本的には上に書いた通り、「ある程度映画俳優についての知識がある」上で「ザックのキチガイキャラが嫌いじゃない」のであればほぼ間違いなく楽しめるでしょう。

僕としても「これ誰?」ってゲストもそこそこいたので、誰もがわかるメンバーばかりでもないんですが、それでもある程度映画を観ていれば「うわこの人出てきたでwwww」と出落ち的に笑えるタイミングが8分に1回ぐらい出てくる贅沢ムービーなので、興味がある人はぜひ観ていただければなと。短くて観やすいし。頭空っぽにして観てればいいし。

なお観られない人、観る気がない人、観た後にチェックしたい人用にネタバレ項にゲスト一覧を置いておくのでご参考まで。ちなみにNetflixオリジナル映画なのでそこだけはご注意を。

ビトウィーン・トゥ・ファーンズ: ザ・ネタバレ

全部ではないと思いますが、一応軽く調べたので出演ゲスト一覧を置いておきます。

ブルース・ウィリスなんて本当に一瞬でしたからね。「うわまたブルース・ウィリスネタにされてるよ!」って笑うんですけどね、結局。でも本当に贅沢な使い方でした。

僕はもう去年から「ポール・ラッドを見たら笑っちゃう病」という奇病にかかっているので、彼の登場で一番笑ったと思います。ただ出てきそうな人ではあるけど。

ピーター・ディンクレイジの金持ちキャラは実際どうなんでしょうね。本当に金持ってそうではあるけど。っていうか警察呼べよ!!

このシーンがイイ!

どこだろなー。一番「ひでぇwwwww」ってなったのは「トーキョー!!」のところかな…。ウィル・フェレルっぽさがもうひどい。笑う。

ココが○

少しだけヒントになっちゃいますが、MCUに出てくる俳優さんが結構出てくるんですよ。なので人選としてはマニアックじゃなくて割といろんな人が「うわこの人出てきたwww」って笑える映画だと思うし、意外と間口が広いかもしれないですね。裏を返せば結構タイムリーな人選なのがいいなと。

ココが×

とは言え少々マニアックな映画ではあるので、当然ながら万人向けではないです。笑いも結構シュールな部分が多いし。

MVA

ザックの奇人っぷりはいつも通りで最高なんですが、今回はこの人に。

ローレン・ラプカス(キャロル役)

ザックの助手。

我ながらメガネで頭悪そうな明るい女子に弱いなぁと改めて思いましたね。かわいいのなんのって。

直前に家族間で大事件が起こったことをサラッと言っちゃうキャラも最高。

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