映画レビュー0811 『内村さまぁ〜ず THE MOVIE エンジェル』
これまたネトフリ終了間際シリーズ。
この日はいつもなら観ない平日の夜だったんですが、正直わざわざ借りるような映画でもないし、半分(以上)バラエティみたいなものなので気楽に観る分には良いか、ということで鑑賞。
本当は同じ日に配信終了を食らった「プロミスト・ランド」の方を観たかったんですけどね…まあこっちはまた配信するかもしれないし、最悪借りに行けばいいかと思うんですが、今回の映画に関しては今の番組配信元がAmazonなのでもしかしたら復活がないかも、とそんな裏事情も考えつつ。
ちなみにジャケ絵の後ろに並ぶ芸人さんたちは描くのがダルすぎて2列目以降は省略しました。
内村さまぁ〜ず THE MOVIE エンジェル
思ったよりちゃんとしてた。カメオだらけもお楽しみ!
- 早い話がウッチャン+さまぁ〜ず+役者陣によるコメディドラマ
- 完全バラエティノリかと言うとそうでもなく、割と普通にそれっぽい物語
- 一瞬だけ映る芸人さんも多く、探す楽しみアリ
- 謎の笑い声が余計
念のため説明しておくと、「内村さまぁ〜ず」というのは現在Amazonプライム会員向けに作られているバラエティ番組で、元々は「内村プロデュース」終了後に「違った形でまた内Pのような番組を」という意図で始まったネット配信番組です。
番組自体はまあえらいゆるい番組で、ゲストMCによって当たり外れの大きさはあるんですが、概ね気楽に見られる良いバラエティ番組だと思います。
東京MXでも放送していて、僕も毎週欠かさず録画する数少ない番組の一つです。最近は小林Dが出てくるだけで笑っちゃうんですが、残念ながら今作に小林Dの姿は無く。マジで小林Dは風貌もキャラもズルすぎるので要チェックやで!
で、オープニングがまんま「内さま」の感じなので、もしやただの「内村さまぁ〜ず1時間半スペシャル」なんじゃ…! と思ったんですが当然そんなことはなくてですね、本編が始まったら普通にコメディドラマ映画でした。
物語の舞台は「エンジェル社」という探偵事務所。ここは普通の探偵事務所ではなく、「芝居で悩みを解決する」のがウリの事務所です。あんまりピンとこないかもしれませんが観ればすぐわかるのでその辺は観てどうぞ。
依頼人と依頼内容から脚本を書き、スタッフそれぞれに役をあてていじめられっ子の登校拒否だったり休業中のラーメン屋の再開だったりを解決していきます。
やがていつもは脇役だったマサル(三村マサカズ)を主役に据えないといけない案件がやってきて、さあどうするマサル…! というようなお話です。
はっきり言ってポジション的には番組ファン向けの映画というかサービスの一つでしかないので、正直観る前はこのブログに載せようかどうか悩む面もあったんですが、実際観てみるとその良し悪しは別として意外としっかりドラマ部分が作られていたので、タイトルごとまんま「内さまが映画になっちゃった!」みたいなやり方がもったいない程度にはそれなりに“映画として”の意欲を感じる作品だと思います。この辺はやっぱり元々映画監督志向のウッチャンが関わってるのが大きいんでしょうね。たぶんね。
出自的にもイメージ的にも、少し前にご紹介した「ピーナッツ」の“精神的続編”的な作品と言って良いと思いますが、(かなり個人的な印象を含みつつ)「ピーナッツ」は少しかっこつけちゃった感が出ちゃってたと思うんですよね。最終的にはいい感じにしてやろう感が空振っちゃって微妙、みたいな。
反面こっちは等身大で、もう無理しないで気楽にやりますわ〜って感じが「ああ、内さまっぽい」雰囲気に仕上がっている印象で、その分悪くなかったな、と。
こっちでもやっぱり「最終的にはいい感じ」にしようとしているような…まあ早い話がベタな終わりに寄せていっている感はあったんですが、それでも無理してない感じが強かったんですよね。どこが、とかわからないんですが。
多分ウッチャンがすーごい自然体だったのが大きかったのかもしれないですね。「ピーナッツ」は主演として引っ張るんだ、って感じが出ちゃってた気がするんですが、今回はもう60%ぐらいの力でやってます、っていうまんま「内村さまぁ〜ず」的な力の入れ方に見えて。
流してると言えば流してるとも言えるんですが、でもその力が入ってない演技がすごく良かったと思います。僕は。
さまぁ〜ずの二人は相変わらず演技感出ちゃってるし、それ故コント感も強まっちゃってて良くも悪くも変わってないんですが、ウッチャンだけは本当にひどく脱力した演技…というかもう「まんま内村光良」って感じだったので、そこが観てるこっちの波長に合ったのかな、とか。
話としても、よくある都落ちした男の再生物語的な「ピーナッツ」に対して、「芝居で悩みを解決する」っていう設定が単純に良かったと思います。こんなにうまく行かないだろうけどこういう仕事あってもよさそうだし、あったらいいなと思わせるような「ちょっとだけ非日常」な舞台になっているのは映画としてグッドなポイントではないでしょうか。
あとはもうこれでもか、っていうほどたくさんの芸人さんたちがカメオ出演しているので、もうただそれを探すのが面白いです。単純に。
内P・内さまファンにはたまらないシーンもいくつかあったりして、その辺はさすがファンサービスしっかりしてますね、と。東MAXの使い方とかね。素晴らしかったですね。
まあこういう映画なので、難しいこと言わずに番組が好きなら観れば間違いなくそれなりには楽しめるだろうし、この番組を観ていないならスルーで良いし、というわかりやすい立ち位置の映画だと思います。それ以上でもそれ以下でもなく。
ただ、くどいようですが僕は「ピーナッツ」よりもしっかり楽しめたので、あの映画よりかはオススメしておきたいところ。
このシーンがイイ!
ふかわのシーンとかもう最高なんですが、一番良かったのは大久保さんのシーンかなー。ありがちですが見事な編集で。
あとはサバ読みについてのアドリブ合戦らしきシーンが一番コント感出ててそこも好きでした。
ココが○
変に媚びずに気楽にやってる感じが良いと思います。しっかりドラマにもなってたし。
ココが×
一番気になったのは、アドリブらしきシーンでのみ笑い声が入っている点。
どうやらスタッフが笑ったのをそのまま入れてるらしいんですが、あれは本当に安っぽいのでやめてほしかった。ものすごい中途半端に笑い声入れられてもね…。あの笑い声の入れ方だけは本当に解せなかったです。
あとはまあ当然ですが、番組ファン以外への訴求力の弱さでしょうか。
MVA
さまぁ〜ずは相変わらず、ということでこの人。
内村光良(内山次郎役)
元役者の「エンジェル」脚本家兼主演俳優。
上に書いた通り、かなり力を抜いてやってたと思います。一見すると「やる気がない」とも取れそうなんですが、ただ素地がある分こういう映画にはこれぐらいで良いと思うし、その力の抜けっぷりが役に合ってたと思いますね。
やっぱり「ピーナッツ」はちょっと俺が俺が感が強かった気がする。今思うと。周りに頼れない分頑張ったんだろうと思いますが、今回は「まあこんなもんでしょ」と最初からレベルがわかってて良い意味での諦めが演技を軽くしてくれていた感じ。監督兼任じゃなかったのも良い方に作用したのかな。
あと演技という意味では、出番は少ないですが多分カンニング竹山が一番しっかりしてたと思います。この人うまいよね。