映画レビュー0125 『ミスト』
あの「ショーシャンクの空に」と同じ、原作・スティーブン・キング、監督フランク・ダラボンということで借りましたが、元々評判は悪かったので…あまり期待もせず…。
ミスト
人を選ぶ映画でしょうね。
まずざっくりと感想を言ってしまえば、「描く精神性は好きだけど、恐怖の対象が嫌い」。そんな感じです。
「霧」というのはなんせ何も見えなくなるので、恐怖を煽るには非常に良い素材だと思うんですが、割と早い段階でバケモノ的なものが出てきてしまうので、「えー、そういうのなのかー」とそこで結構醒めてしまいました。
スーパーに閉じ込められた人たちに派閥が生まれ、パニックに陥る人間ドラマ的な部分はすごく面白いテーマだと思うし、ラストの展開も後味云々抜きにして考えさせられるものもあって、話の大筋としてはイイと思うんですけどね。映画っぽい題材で。ただ、どうしても恐怖の対象が…。
せっかく「霧」なんだから、見えないまま、見えない恐怖に煽られる人々のパニック、みたいな展開の方が面白そうだなぁと思っちゃったんですよねぇ。例のバケモノ的なやつがコンニチハした時から、非常にB級臭が強く漂ってしまい、でも話の内容はしっかりしてる…みたいなミスマッチがもどかしかったです。きっとB級好きの人も同じようなミスマッチ感を感じたんじゃないかなぁ。
ラスト前のどでかいやつなんか、もうFF13かと思いましたよ。お金いっぱい落としてくれそう的な。
結局、「霧」の正体もちゃんと明かされるわけでもなく、思わせぶりだったお隣さんがどうなったのかもわからずという、煽っただけで中途半端な部分もあったりするので、おそらく話の力点は人間ドラマ、人間のサガ的な部分にあるんだと思いますが、だったらやっぱりバケモノ的なやつじゃないんじゃないのかなーと思うわけですよ。これはグロ嫌いっていう個人的な好みに大いに影響された意見だとも思いますが。
大部分は「CUBE(当然初代)」、ラスト近くは「ポセイドン・アドベンチャー」的な要素を感じたので、うまくまとめたら相当面白くなった気がするんですが、接着剤間違えちゃったかな、という気がします。そう、もちろん(当たり前ですが)個人的な好みの問題です。
ちなみにラストの展開は映画オリジナルだそうで、原作者のスティーブン・キングも「執筆中にこのラストが浮かんだらこうしてたのに!」と大絶賛だったそうです。
原作ラストがどうなったのかも知りたいところですが、まあ中身は変わらないだろうし、いっか…。
このシーンがイイ!
うーん、難しい…。
あんまり見た目的に好きな映画ではなかったので、このシーンよかったなぁ、っていうのは無いんですよねー。
強いて挙げるとすれば…車を見送るスーパーの人たちでしょうか。印象的でした。
ココが○
さすがに、というか…人間の描き方はしっかりしてるな、と。ああ、こういうこと言うやついるわ、とか。
ただ、それだけにもっとここを膨らませて欲しかった。
ココが×
とにかくグロいところはグロいんですよねぇ。
わざとかどうかは知りませんが、割と(見た目)嘘くさかったりもするので、その分見られた気はしますが。これがもっとお金をかけたリアル映像だったらもう漏らしてましたね。おそらく。人の体から虫とかもう勘弁…。
MVA
子役の子、良かったですねー。かわいいしうまいし。嘘くさくないうまさがありました。が、今回のチョイスはこちらのお方。
マーシャ・ゲイ・ハーデン(ミセス・カーモディ役)
教祖じみたおばさん。
完全に○チガイでしたが、アメリカの宗教的な下地とパニック心理を巧みに利用し、一躍リーダーに。
もうほんとむかつきましたねー。でもこういう役はむかつかせてナンボですから。お上手でした。