映画レビュー0792 『ワンダーウーマン』

今回もNetflixから何観るべぇかと眺めた結果、この前一応「スーサイド・スクワッド」も観たし、ってことで満を持してのこちらの映画。

ネトフリは一応DCエクステンデッド・ユニバースについては順番に配信してくれるっぽいですね。マーベルは多分配信系はどこもやってないんだろうな…調べてないけど。マーベルはレンタルとセルで十分儲かる、DCは配信も使って稼がないとキツイのかな、と思うのはちょっとうがった見方なんでしょうか。

ワンダーウーマン

Wonder Woman
監督
パティ・ジェンキンス
脚本
アラン・ハインバーグ
音楽
公開
2017年6月2日 アメリカ
上映時間
141分
製作国
アメリカ
視聴環境
Netflix(PS3・TV)

ワンダーウーマン

霧に包まれ世界から隔絶された女性だけの島「セミッシラ」で育ったアマゾンの王女・ダイアナ。ある日、島に墜落した飛行機に乗っていた一人の兵士・スティーブを助けた彼女は、島の外で戦争が起こっていることを知らされ、争いを止めようと彼を連れて島から旅立つ。

ガルガド姉さんがいればそれで良い。

8.0
「ワンダーウーマン」誕生の物語
  • 島での幼少期から、「ワンダーウーマン」として世界に姿を現すまでのお披露目物語
  • ぶっちゃけよくあるヒーローモノの流れではある
  • けどガルガド姉さんが演じていればそれで良いのさ

その昔、「ダウンタウンのごっつええ感じ」で「ワンダラーウーマン」っていうですね、激スベリしたコントがあったんですよ。あまりにもスベっていたので明確に覚えているんですが。今思えばあれはワンダーウーマンを元にしていたんだな…と理解したわけですが、あの頃あれを演じていた板尾さんも昨今のワンダーウーマンブーム(?)を観て嫌な汗を流しているんでしょうか。気になります。

ということで「DCエクステンデッド・ユニバース」4作目となりますこちら。ここまでの流れとしては、「マン・オブ・スティール」→「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」→「スーサイド・スクワッド」そして今作、ということになります。

この後DC版アベンジャーズ的な「ジャスティス・リーグ」を経て「アクアマン」「シャザム」という流れ。なんかもうタイトル的に地味っぽい気がするけど気にしないでください。ちなみにシャザムの次は今作の続編「ワンダーウーマン2」が決定しております。

物語は現在から過去を振り返る形で始まり、今の(バットマン vs スーパーマンで登場した)ワンダーウーマンではなく、初めて世界に触れてまだ(人間界の)常識を知らない純粋だった頃のワンダーウーマンが第一次世界大戦に関わっていく物語が中心。この辺りは「キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー」っぽい感じ(ちなみにあっちは第二次世界大戦)でしょうか。

女性だけの島で王女として生まれ、自身の希望で戦士として過酷な修行を経て成長したのちのワンダーウーマン=ダイアナは、ある日島に墜落した飛行機に乗っていた男・スティーブを救出、これが初めて見る男だったわけですが、彼から島の外では戦争が起こっていることを知らされ、島に伝わる話から「軍神アレスの仕業よ!」と判断した彼女は、アレスを倒せるのは自分だけ、つまり戦争を終わらせるには私が島から出るしか無い! ということでスティーブが道先案内人となって一緒に世界へ飛び出しやがて戦地へ降り立つ、というお話です。

えー、まず最初にぶっちゃければ…はっきり言って話としてはもう至ってドベタでですね。何度も観たようなお話ではあります。上に書いた通り、舞台的にもモロキャップの1作目と被ってたりするし、相も変わらず悪役はドイツ軍だしで…この辺は後発の辛いところでしょうか。

唯一の差別化ポイントとしてはなんと言っても主人公のスーパーヒーローが女性である、という点ですが…それ故にこれまたベタに恋愛模様が絡んできてしまうので、やっぱりちょっと「なんだかんだ言いつつ面白い」マーベルと比べると少し厳しいような気はしました。

一緒に行動する仲間たちがあからさまにマイノリティ“すぎる”のも少し鼻につくような面があり、せっかく主人公が魅力的なのにそれをストレートに活かそうとしないもどかしさみたいなものがモヤっと感じられた気がします。

思えばDC初作の「マン・オブ・スティール」は、スーパーマンらしい振り切ったアクションで良かったと思うんですよ。地球から宇宙に放り投げて追いかけて宇宙でボコボコのボコ、とかもう笑っちゃうぐらいで。でもそこから(マーベルとの比較もあってなんでしょうが)やや迷走しているような雰囲気があり、今作に関してももっと短くサクサクやってくれればいいのに妙に長い島生活の話だったりもあってちょっと差を出そうと頑張りすぎなのかなぁという気がします。

…と、まあ先に文句を言いましたけども、でもやっぱりね。ちょっとね。ガル・ガドットという女優さんをワンダーウーマンとして採用しました、というその一点だけでこのキャラクターに関してだけは大成功だと思うんですよ。

特に序盤のロンドンでメガネガドットと化した辺りなんて素敵すぎて鼻血出そうでした。マジで。

賢くて優しくて芯が強くガチで強い女性。酒場で抱きついてきたサミーアをニッコリ微笑みながら拒否するシーンなんてもうサンジだったら吹っ飛んでますよ。鼻血で。かわいさと美しさが同居したアラサー女性特有の魅力がワンダー。まさに。

僕は「モヤモヤさまぁ~ず」第一回の正月スペシャルを観て以来、結婚したい女性No.1の座はずっと大江麻理子アナウンサー(もう結婚しちゃったけど)なんですが、あのメガネガドットに大江ちゃんの影を観ましたね。ああいうイメージ。なので大江ファンは必見です。

正直、いかにもアメコミ臭漂うコスチュームについてはちょっとどうなのという気がしないでも無いんですが、「うるせぇよそんなことよりガルガド姉さんを見ろ」という力強いメッセージを感じ取れる彼女の魅力にすべてが浄化されるような映画でした。もう全然理屈わからないけどきっとそう。

それだけにもっと力強い、ドストレートなガルガド姉さん推しで見せて欲しかったなーと思います。話の流れとして恋愛要素はやむを得ないとしても、びっくりラスボスとかマイノリティ仲間とかいらないわけ。もう単純に強大な敵がいてそこに向かってボコボコのボコでガルガド姉さんニッコリEND、でいいよもう。話の流れを不必要に膨らませて長くなっちゃってるのがもったいない。

と言うのは完全なる野郎(もっと言えばおっさん)による好みのお話なので、女性とかもっと高潔な人とかが観たらまたちょっと違うのかもしれません。ただ僕は仮にこの映画の主役が(ワンダーボーイ的な)男だったとしたら、多分まったく面白くなかったと思います。

そう考えれば、やっぱり女性のスーパーヒーローという点、そしてガル・ガドットというチョイスの素晴らしさに感服せざるを得ないわけです。ぜひガルガド姉さんに微笑まれながらビンタされたい。(※Mではありません)

しかしワンダーウーマンは設定上5000歳らしいので、イコール歳を取らないという設定である以上、ガルガド姉さんが演じられる期間も限られちゃうのが辛いところですね。まあそこまで長くやらないのかもしれませんが…。

DCEUはいつまで続くんでしょうか。現状はマーベルの圧勝だと思いますが、とは言えDCにも頑張って欲しいと願っているので、ぜひガルガド姉さんという強力なメンバーを活かして盛り返して欲しいものです。両方盛り上がってこそだと思うので。

あちらの(単品で)初の女性スーパーヒーローを演じることになるブリー・ラーソンとの勝負も気になるところ。今のところはガルガド姉さんの圧勝っぽい気がしますが…あちらも観てみないことには判断できないのも事実なので、キャプテン・マーベルが公開され次第、二人左右に並んでいただいて同時に微笑みビンタしてもらって判断したいと思います。(※Mではありません)

ネタバレーウーマン

ルーデンドルフのドーピングのあっさりさったら無いですよね。笑っちゃったよもう。初ドーピングのあっさり完成&あっさり強化にしてもそうだし、ドーピング後のあっさり敗北もそうだし。食わせ犬っぷりがハンパない。この辺もちょっとDCっぽいというか…無かったことにされた「グリーン・ランタン」での我らがピーター・サースガード兄貴を彷彿とさせます。

最終的に覚醒して勝利するガルガド姉さんにしても、「愛よ!」的な理屈はわかるんですが、もうちょっと納得感のある覚醒が観たかったよなぁ、という気が…。例えば島時代に「愛に目覚めたら最強になるのよ」みたいなフリがあるとかさー。そんなドベタなセリフじゃなくてね。なんとなく匂わせるとか。ま、これはいちゃもんレベルです。

スティーブの自己犠牲的な展開もやっぱり既視感があり、そこもまた少し残念な気はしました。とか言いつつちょっとグッと来たんだけど。簡単な客だぜ。

「僕は今日を救う、君は世界を救え」っていうのはストレートだけど良いセリフですよ。ストレートとベタは似ているようで違いますからね。例えやってることは一緒だったとしても、感情移入できるのは「ストレート」で、またかよ的にうんざりしちゃうのが「ベタ」みたいな。なので事前の積み上げが大事なのかもしれないですね。あのセリフの場面はそれがうまくいっていたんだと思う。

このシーンがイイ!

劇中最後のスティーブのセリフはすごく良かったですね。ネタバレになるのでネタバレ項にしか書きませんが。あのセリフは名台詞だと思う。

ココが○

ガルガド姉さんでしょう。佇まいからしてワンダーウーマンを演じるために役者になったんじゃないか説あり。

ココが×

上にいろいろ書いた通り、でしょうか。バトルも悪くはないんだけどなんか地味なんだよな…。特にラスボス戦がイマイチでした。

あとエンドロールまでキャップっぽいのがちょっと…ああいうのは似せない方がいいんじゃないでしょーか。

そうそう、あとあのテーマ曲、もっと引っ張れよ! どうでもいいシーンでかけるなよ! 「バットマン vs スーパーマン」の唯一の見せ場で流れた曲なんだからもっと出し惜しみしろよ!!

MVA

トレインスポッティング」以外で初めてユエン・ブレムナーを観たんですが、彼の存在自体すごく微妙というか不要感が強かったので、「そういうとこやぞ?」と書いておきます。

んでもってこれだけ書いて他の人はあり得ないぞ、ということで。

ガル・ガドット(ダイアナ/ワンダーウーマン役)

上に散々書いたので割愛。ほんの少ししか出てきませんでしたが、メガネガドットはマジで最強でした。もっとかけといてくれよ…!

ガルガド姉さんと良いナタリー・ポートマンと良い、売れっ子になるイスラエル女優の魅力って恐ろしいですね。たまたまでしょうか。

なお一応触れておきますが、今回のガルガド姉さんの相手役となったクリス・パイン

何度か書いていますが僕が唯一と言っていいレベルで明確に嫌いな役者さんです。理由は「クリス・パイン 元エージェント」ででもググってください。あと顔もあんまり好きじゃないんですが。

そんなわけで「えー、ガルガド姉さんの相手役クリス・パインなのかー」とすごくがっかりしていたんですが、こと今作に関してはすごく良かったと思います。役にちゃんと合ってたし、少し歳をとって雰囲気も落ち着いたような気がしました。

僕は元々あんまり好きじゃなかった人も好きになったりするので、今後はあんまり毛嫌いせずに観てあげようかなと偉そうに言っておきます。ただエージェントの件はやっぱり良くないと思うぞ。

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