映画レビュー1068 『シャザム!』
例によってネトフリ終了間際シリーズ、今回はDCEUのこちら。
この辺りから「DCEUもいいぞ!」という声がだいぶ強くなってきていた印象で、それだけに一応観ておかないと的に観ることにしました。
※ジャケット描いてたら足が妙に長くなったよ
シャザム!
デヴィッド・F・サンドバーグ
ヘンリー・ゲイデン
ヘンリー・ゲイデン
ダーレン・レムケ
『キャプテン・マーベル』
ビル・パーカー
C・C・ベック
ザッカリー・リーヴァイ
マーク・ストロング
アッシャー・エンジェル
ジャック・ディラン・グレイザー
グレイス・フルトン
フェイス・ハーマン
イアン・チェン
ジョバン・アルマンド
マルタ・ミランズ
クーパー・アンドリュース
ジャイモン・フンスー
2019年4月5日 アメリカ
132分
アメリカ
Netflix(PS4・TV)

どうしてもマーベルっぽく感じられ、後発故に飽きが来てる不幸。
- ヒーローになれた少年がなれなかった元少年に追われる物語
- 例によって成長も絡めつつの安定した作り
- 子ども故のギャップもあるもののそこまで活かされていない印象
- やっぱりなんだかんだマーベル寄りになってきている印象が強い
あらすじ
DCEU(DCエクステンデッド・ユニバース)としては7作目、前作は「アクアマン」、次作が「ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY」になります。ちなみに「ジョーカー」はこの系統には含まれず、単体の映画という位置付け。
1974年のクリスマス、父の運転する車に兄とともに乗っていたサデウス・シヴァナは、突然謎の遺跡のようなところに飛ばされ、魔術師「シャザム」によって課された試練のようなものに対峙するも“失格”の烙印を押されてしまい、「勇者になる資格がない」と判断され元の世界に戻ります。
それから数十年後…以前自らが経験した“試練”と同じ経験を持つ人たちを研究し、ついにシャザムのいる場所へアクセスすることが可能になったサデウスは、シャザムが封印していた魔物の力を得ることに成功。止められなかったシャザムは、孤児で問題ばかり起こしているビリーに白羽の矢を立てますが…あとは観てどーぞ。
出すのが10年遅い
ということでおなじみのヒーロー誕生譚と悪役退治のアレコレです。至っておなじみのスーパーヒーロー映画となります。
この映画の特徴としては、ヒーローになる人間(ビリー)がまだ思春期の子どもにもかかわらず、変身すると大人の男になるよ…というギャップでしょうか。そこをコメディのポイントとしてアレコレするシーンが前半は結構観られ、予告編でもその辺をおしていたのでそのイメージが強い人もいると思いますが…それ自体はちょっとしたエピソード程度で、あとの大枠はいつも通りの勧善懲悪ヒーローモノです。
全体的にテンポも良いし、(子どもギャップを狙った笑いも含めて)非常にストレートで裏切らない映画なのでよくできてはいるものの、やはりどうしても“先駆者”であるマーベルの構造と似通ってきてしまう面は否めません。
また誕生譚であるが故に仕方のない面はありますが、複雑な人間関係やらヒーロー間の絡みやらがまったくない話なので、「今これ?」という気はしないでもなかったですね。
「アイアンマン」と同時期であればかなり楽しめたかもしれませんが、「エンドゲーム」直前(日本では前週に公開)の公開でこの内容では…10年遅いと言われても仕方がないのではないでしょうか。
公開当時に観ていれば一応「エンドゲーム」前ではあったものの、しかしそれでもさすがにもうヒーロー物はお腹いっぱいかな、もうそろそろいいかなと感じていたところに特段ひねりもないヒーローの誕生譚をまた観させられてもやっぱりきつい。おまけに脳内は「エンドゲーム」への期待感で満たされていたわけで。
これはこの映画自体が悪いという話でもないとは思うんですが、それでもDC全般に漂う後発感がはっきりと悪い方向に出てしまっている印象で、やっぱり後発なら後発なりにもっと大きな工夫が必要ではないのかなと思います。それこそ「ジョーカー」のような思い切りが。
さして詳しくない人がこの映画を観たとき、間違いなく「今度シャザムもアイアンマンとかと一緒に戦うんでしょ?」と言うであろうことは想像に難くなく、まったく差別化が図れていません。まあそこを明確に区別させるのは難しいとは思うんですが…。それにしたって「マーベルに追いつけ追い越せ」のような気概がまったく感じられないし、単発ではそれなりに面白いものの、じゃあこれをどう活かして大きな世界を見せようとしているのかがまったく見えてこないのがつらい。
そう、話自体も「シャザムになったビリー」近辺のこぢんまりとした話しかないんですよね。世界の危機やらユニバース(ヒーローチーム)がどうとかの話がまったく出てこず、小さな世界で閉じた話にしかなっていないからワクワク感も足りない。
くどいようですが、これがヒーロー物初期であれば全然いいと思いますよ。よくできた面白さと言えると思います。でももうMCUは集大成が迫ってきてるよ、ってタイミングで作る映画じゃないでしょう。
すでに「エンドゲーム」終わりでもうMCUはいいかな、と思っていた人間としては、「次はDCを追おうかな」という気持ちが吹っ飛ぶぐらいに普通すぎて、制作陣の広い視野のなさがガッカリでした。せっかくチャンスなのにそれを活かせる作りの映画になっていない。残念すぎる。
ヒーロー映画に飽きていないなら
一応キャラクター的には「スーパーマンと並ぶ地上最強の男」だそうなので、DCEUを追っていく上では当然必見の映画なんでしょう。
ただ僕としては…もう本当にそろそろヒーロー映画は良いかな、という気がしてます。それでもなんだかんだ観ちゃうんだろうけど…。でもこういうのを観るんだったら他のを観た方が意味がありそうでなぁ…。
とは言えこれまたくどいようですが、マーベルに近付いてきた=作りが良くなってきているのも確かなので、ヒーロー映画に飽きていないならそれなりに観る価値があるかもしれません。その辺りはお好みでどーぞ。
このシーンがイイ!
うーん、特には。
ココが○
こなれてきてはいるので、一時ほどひどいDC感は完全に無くなりました。世間的な評価も高いので、基本的には「面白い」と期待していいでしょう。
ココが×
やっぱり一番の不満は「狭い世界で展開する」ところでしょうか。さすがにこんなこぢんまりとした世界の話をヒーロー絡ませて見せられてもそんなに盛り上がらないんじゃないの、と。
MVA
例によって無難なチョイスですが。
マーク・ストロング(Dr.サデウス・シヴァナ役)
幼少期に「ヒーローになれなかった」少年が成長し、魔物たちの力を得た教授。今作のヴィラン。
まあマーク・ストロングですからね。そりゃ良いですよ。
ただこの人はもっと良い役をやらせてあげて欲しい。悪役としての迫力はありましたが、やっぱり悪役的にもちょっとステレオタイプだったのが残念。