映画レビュー0885 『キャプテン・マーベル』
MCUの総決算的な作品「アベンジャーズ/エンドゲーム」まで気付けばもう1か月ですよ奥さん。
MCUを追ってきた人たちにとって、「インフィニティ・ウォー」の終わり方からしても当然ながら「エンドゲーム」は絶対に観なければいけない“業”のような映画だと思いますが、となるとその“前フリ”となるこの映画も当然観なければいけないわけです。
おまけにレンタルを待ってられるほどの時間的余裕もない…! ということで行ってまいりました。本当は「運び屋」の方が観たいんだけど業なので仕方ありません。
ちなみに行ったのは公開初週の土曜日なんですが、最寄りの劇場はIMAX工事中とのことで普通のスクリーンでした。が、工事を終えた先にはIMAXレーザーが待っておりまして、そのこけら落としとなるのが「エンドゲーム」という…鼻血出そう。
言っちゃあなんですがなんで埼玉の田舎にこんな最新設備が登場するのか謎でしか無いんですが、それにしたって楽しみです。
※PCのブラウザで見ると表示が崩れているんですが、原因不明のためほったらかしです。気にしないでください。
キャプテン・マーベル
メグ・レフォーヴ
ニコール・パールマン
ジェネヴァ・ロバートソン=ドゥウォレット
リズ・フラハイヴ
カーリー・メンチ
アンナ・ボーデン
ライアン・フレック
『キャロル・ダンヴァース』
ロイ・トーマス
ジーン・コラン
パイナー・トプラク
2019年3月8日 アメリカ
124分
アメリカ
劇場(通常スクリーン)

前フリ感を感じさせないさすがの単品クオリティで期待爆上げ。
- マーベル初の女性ヒーロー単体作品にして「地球に初めて現れたヒーロー」の物語
- 若かりし頃のニック・フューリーが彼女と行動をともにするバディ・ムービーっぽさもアリ
- 相も変わらず安定した作りでエンドゲームへの期待も高まる
- ニャーンかわいい
あらすじ
ということで土曜日のレイトショーに行ってきたんですが、レイトショーとは思えない8割程度の客の入りで改めてMCUのバケモノっぷりを感じさせられましたね。基本車じゃないと来られない劇場に、終了時は日付が越えるレイトショーでわんさか客が入るわけですから。
「エンドゲーム」の前フリブーストは間違いなくあったと思いますが、それにしてもこの盛況っぷりは結構な衝撃でした。裏を返せばそれだけ「エンドゲーム」に期待している、「絶対観るぞ」と思っている人たちが全国にドチャクソいるんだとわかるだけに震えますね。どんだけ稼ぐんだか…。
さて、改めてご説明するまでもないですが、今作はマーベル・スタジオによる一連の映画「マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)」シリーズの第21作目に当たります。前作は「アントマン&ワスプ」(これも近々観ます)、次作がくどいようですがいよいよ「エンドゲーム」と。
ご承知の通り、同名ヒーローの作品としては1作目になり、また「マーベルにおける女性ヒーロー」の単体映画としても初になります。
そのうち「ブラック・ウィドウ」単体映画も作られるらしいですが、それより先にこちらが女性ヒーローの先鞭をつけますよと。言うまでもないですが「ワンダーウーマン」はMCUのライバル的な存在であるDCEU(DCエクステンデッド・ユニバース)の方なので別物です。
物語の舞台は1995年、超高度文明を誇る惑星・クリーに住み、エリート特殊部隊に所属する女性・ヴァースはとあるミッションで罠にかかり、まだ「ヒーロー」という概念が無かった頃の地球に不時着します。ちなみに落ちてきた場所が今や配信優勢故に全米1店舗のみとなったレンタルビデオショップチェーン「ブロックバスター」というのがなんとも物悲しい。
そこに通報を受けてやってきたのが若かりし頃のニック・フューリー。「ブロックバスター」を破壊した容疑者として彼女を追ううちに、別のエイリアンも来襲していることを知った彼は、ヴァースと共に地球を舞台にしたエイリアン同士の戦いに巻き込まれていくわけですが…まあ後は説明不要でしょう、観てつかぁさいよ。
舞台は古くてもちゃんとMCU
舞台が90年代ということもあって、僕は詳しくはないんですがいかにもやや懐かしめの洋楽が多用され、またファッションその他もその辺りの雰囲気が存分に感じられる「ちょい懐かしい世界」を舞台にしたヒーロー映画でございますよと。
「ナイスガイズ!」なんかもそうでしたが、僕ぐらいの年代にとっては一応記憶がある「そんなに古くない時代」を舞台にした映画っていうのはそれだけでちょっと好きになっちゃいますよね。その頃の映画が好き、っていうのも相まって。
ただ当然ながらMCUの映画であり、かつ現代の技術で作られた映画なので、見た目は古くてもローテク感はゼロ。バトルもまたMCUらしい安定感のあるものでした。
ちなみに今作では若かりし頃のニック・フューリーを演じるサミュエル・L・ジャクソン、「やっぱ黒人さんは年齢わかんねーなーすげーなーもう70でしょ?」と感心していたんですが、それもそのはずデジタル処理によって全編若返り手術を喰らいつつの出演だったそうです。ついでにコールソン役のクラーク・グレッグも。またも出たね節穴と。
ただ見た目は別として、ニック・フューリーの性格自体も今の重厚な雰囲気とはまるで違う軽めのおっちゃんっぽい雰囲気が漂っていて、それはそれでまた「前日譚」的な楽しさがあると思います。まだそんなに偉そうじゃない感じが。
ほんのりサスペンステイストがグッド
まあやっぱりある種「いつものMCUヒーローお披露目映画」なので、その面について特段どうこう言う部分はあまりないんですが、ただ今作は主人公であるヴァース(キャロル・ダンヴァース)が記憶喪失になっていて、その記憶をたどっていくバディ・ムービー的な展開にややサスペンスっぽい味付けがあり、そういう面で「ただのヒーローモノ」とはちょっと違った面白さがあったような気はしますね。きっと刑事モノが好きな人は他のMCU作品より惹かれるものがありそう。
ただ世間的には「他より弱い」と感じる人も多いらしく、その理由もおそらくはアレだろうなと思うんですがネタバレになるので書くのはやめておきましょう。まあ賛否両論ある…これまたMCUらしい映画と言えるかもしれません。
結局MCUの映画は「好き嫌い」でしか無いんですよきっと。僕も「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズはそんなに好きじゃないし。
逆にあのシリーズが大好きな人たちも多いし、それはそれで良いことだと思いますからね。「一連のヒーローモノ」だけど好き嫌いがあるってことはそれなりに個性があるってことですから。監督だってそれぞれ違うわけだし。
あ、でもジェームズ・ガンの「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー Vol.3」監督復帰はとても嬉しいと思ってます。それを踏まえて3は楽しみになりましたね。
「女性である必要がない」のが良い
今作の一番の特徴は、やっぱり「女性ヒーローである」という点なのは異論の余地がないと思いますが、観ていて僕は「別にこれ男がやっても良いヒーローだよな」と思いました。ただこれは良い意味で。
逆説的な話になりますが、「女性ならではのヒーロー像」を考えた時、僕程度の脳味噌では、陳腐ですが「色恋要素」「母性を感じる人物像」「おっぱいビーム」とかなのかなと思うんですよ。
「ワンダーウーマン」なんてピークの見せ場でもろ色恋入ってくるし、アマデウス的な出自からしてアレはやっぱり“女性(にしかできない)ヒーロー”じゃないですか。
それが悪いとは言いませんが、ただ今回この映画で「特に女性である必要がない」ヒーローを女性にしてきたことの意味合いって小さくないんじゃないかなと思うわけです。
おまけに観てもらえればわかりますが、間違いなくMCUのヒーロー陣において最強クラスっぽい能力を持っているんですよね。印象としてはDCのスーパーマンに近い感じ。
「男性でも成立する」「MCU最強クラスのヒーロー」を、「エンドゲーム直前にヒーロー側の切り札として」登場させたのが女性ヒーローである、っていうのはなかなかすごい選択ですよこれは。きっと。おまけに「エンドゲーム」後のMCUの中心キャラクターになる、って話だし。
もちろんそれによって(ジェンダー的な意味で)面白くないと感じる人たちもいるんでしょうが、はっきり言ってその価値観はもう時代遅れだし、おまけに「男性でも成立する」=裏を返せば「ジェンダー的に論じる意味がない」ヒーロー像なので、このタイミングで超重要ヒーローを女性として登場させつつその手の批判を封じる作りにしたのは、ある種確信犯というか、相当な決意のもとにやっているんじゃないかなと思います。その決意のほどが伺える(色恋もない)潔いヒーロー映画にしているのがなんとも痛快でした。
エンドゲームを観るなら当然必見
おそらくMCUを観てきた人であれば誰もが感じているであろう「そんな強いヒーローならなんで今までのピンチに登場してないの?」という設定的な違和感も(個人的に)納得の行く答えが用意されていたし、ニャーンかわいいしで「思っていた以上に」満足しました。
この時期に公開される以上、どうしても消化試合というか、あからさまな前フリ的なニュアンスが出てきちゃうある意味気の毒な立ち位置の映画だと思いますが、そのモヤモヤを吹き飛ばす安心のMCUクオリティと言って良いでしょう。
逆に言えば、前フリ感が出ちゃうタイミングだからこそ今後の軸になる“女性ヒーロー”を送り出してきたんでしょうね。このせいで「エンドゲームが終わったらひとまずMCUはいいかなー」と思っていた僕も結局まだ観続けようかなと思いましたからね。計算高い。汚いなさすがマーベルきたない。
改めてマーベルの力量と計算高さを思い知らされる一作となりましたねこりゃ。
こうして人は「自分で選んでいる」つもりが「選ばされている」人生を送るんですよ…。永遠にMCUを観させられ続けるんだ…。
このシーンがイイ!
ちょっと「キャプテン・アメリカ」シリーズっぽいんですが、エンドクレジットの振り返り的なところが最高でしたね。曲含めて。
あとはやっぱりブリー・ラーソンがTシャツとかノースリーブとか着てる時は
ココが○
ヒーローモノとしての安定感は言うまでもなく、やっぱりMCUは「振り切れる良さは無いのがわかりつつ観ちゃうけど面白い」辺りさすがだなと。ある種惰性で観てるんですが、それでも普通に2時間があっという間に感じられるぐらいに面白いので、これだけ似たように見えるヒーローモノでありながらまだ飽きずに見せ切る力量というのはとんでもないと思います。
あとはやっぱり女性ヒーローであるという点でしょう。上に書いたように、諸々重要な意味を込めつつ女性ヒーローに仕立てた計算高さはスゴイと思います。
ココが×
とは言えやっぱり突き抜けたものはないと思います。ってかマーベル自身でヒーロー映画のハードルを上げて行っているので、その中で改めて誕生譚が出てきても「うおーー!!」って鼻血が出るほど面白い、ってことはないですよね。やっぱりね。
MVA
サミュエルさんは相変わらず確かなお仕事で最高でしたが、まあ今作はやっぱりこの人になるのかな。
ブリー・ラーソン(キャロル・ダンヴァース役)
「ルーム」で観た時はこんなヒーローが似合う人だとはまったく思いもしませんでしたが、さすがの人選ですね。ちょーかっこよかった。
美人だけどかわいすぎない雰囲気もヒーローっぽいし、自信満々な雰囲気も似合ってるしで文句なし。
それとやっぱりジュード・ロウもね。当たり前ですが良かったですね。やっぱりこの人がいると締まるなと。このタイミングでこの人を取り込んでくる辺りもニクい。


