映画レビュー0597 『アントマン』

ということでMCU残りの1作鑑賞。

これで一応フェイズ3・1作目までのすべての作品を観たことになるわけですが、果たして(現時点での)「遅れてきたヒーロー」はどうでしょーか。

アントマン

Ant-Man
監督
ペイトン・リード
脚本
エドガー・ライト
ジョー・コーニッシュ
音楽
公開
2015年7月17日 アメリカ
上映時間
117分
製作国
アメリカ

アントマン

窃盗罪の服役から出所したスコット・ラング。足を洗うと誓ったものの、養育費の未払いから娘に会うことができず、お金欲しさにかつての仲間の誘いに乗ってしまい、とある富豪の屋敷に忍び込む。しかし苦労して開けた金庫の中には奇妙なコスチュームしか見当たらず…。

今後の活躍に超期待。MCUファン必見です。

8.0

その名の通り、「アリのような小さいサイズに変身する」ヒーローのお話。おそらくはそのサイズから「アントマン」なんだと思う(思っていた)んですが、映画を観ると実際にアリを仲間として活用しながら戦うヒーローという側面もあるようで、まさに文字通り「アントマン」ということのようです。

主人公はスコット・ラング。義賊まがいの強盗で実刑を受け、刑務所にいたという一風変わった経歴の持ち主です。模範囚として釈放され、足を洗うと決めた矢先、別れた元妻が引き取った娘に会いたい一心からまたも強盗に手を染めるんですが、その強盗先が「初代アントマン」だったピム博士の家で、金庫に入っていたのはアントマンのスーツ。

実はピム博士が彼に強盗させようといろいろ手を回していたらしく、そこで世界の危機を救ってくれ的にアントマンとしてスカウトされる…というお話。ご多分に漏れず「アントマン」第一作目として、ヒーロー誕生の物語になっています。

正直なところ、なぜピム博士がスコットにご執心なのか、その辺りの描写がやや雑で、しかもかなり早い段階でこの映画における「世界の危機」が表出してしまう面もあり、こと“ヒーロー誕生”のお話としては少し丁寧さと盛り上がりに欠けるような部分はあった気がします。「成り行きヒーロー」感が強いというか。

それとこれは良さでもあるんですが、スコットがあまりにも普通の人すぎるので、スーパーヒーロー特有のスペシャル感みたいなものも無かったです。博士と娘のいざこざについても、スタートから「そういう親子です」という感じで登場するので、根っこに何が引っかかっているのかもよくわからず、そのおかげで終盤の見せ所も少し感情移入しにくい気がして、いいお話なだけにちょっともったいない気はしました。

とまあちょっと悪いと感じた部分を最初に挙げましたが、しかしどうして映画としてはとても面白かったです。いやホント、これだけたくさんのヒーローモノをそれぞれ単品としてしっかり成立させ、そしてそれぞれに要所で映画ファンが喜ぶキャスティング(今作ではマイケル・ダグラス)を置く心憎さったらないですね。すごいぜマーベル。

おまけにヒーローとしても、「小さくなる」というだけでただ正面から戦うだけのヒーローたちとはまったく違う価値があるので、今後のアベンジャーズバトルにおける戦略の肝になってもおかしくない、特性としての面白さがあります。

実際、この後に登場する「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」でも、正攻法では勝てないであろうアイアンマンを翻弄する場面があり、作り手の工夫次第でとても気持ちのいい見せ場を作れる、かなり美味しいヒーローになれそうな予感。そういう意味で、MCUファンとしては必見の映画と言えるでしょう。

加えて、主人公・スコットのキャラクターがまたイイ。軽すぎず、重すぎず。

アイアンマン」のトニーほどひねくれた感じもないし、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」のピーターのようにナンパな感じもないし、かと言って「キャプテン・アメリカ」のようにクソ真面目なわけでもなく、ちょうどいい塩梅に「面白い良い人」という感じがイイ。上に書いたように「普通の人」なので、高尚でもなければ俗すぎもしないイイカンジのキャラ。もしかしたら、アベンジャーズの面々で最も感情移入しやすいキャラクターになるかもしれません。

「小さいヒーロー」ということも手伝って、今後デカイバトルに巻き込まれた時に一番応援したくなるんじゃないか…と思わせる雰囲気があります。これはなかなか今までのMCUには無かった感覚のような気がします。絶対にソーの「ムジョルニア」は持てないだろうけど、持っても悪用しないよね感がすごい。

この「主人公のキャラクター」もまた、今後のMCUにおいて面白いポジションになりそうな気がします。ヒーローとしてもキャラとしてもいいポジションを確保しそう、そんな匂いがたまりません。

今までのMCU作品を楽しめた人ならまず問題なく楽しめるだろうし、今後への期待も大きく感じさせる1本なので、未見の方はぜひどうぞ。

このシーンがイイ!

2回ほど出てきますが、マイケル・ペーニャ演じる悪仲間の回想シーン、回想の演者の口の動きとマイケル・ペーニャの声が完全にリンクしてるのがグッド。当たり前っちゃ当たり前だし特段変わった部分でも無いんですが、あそこの軽さが映画の雰囲気に貢献してる部分、けっこーある気がします。サラリといいシーン。

ココが○

「小さくなる」それだけで今までのヒーローとは別の価値が生まれる、その面白さはこの映画ならではでしょう。

それに加えてーの愛すべきスコットのキャラクター。次作も期待大。

ココが×

上に書いたように、「なぜスコットを選んだのか」という理由が希薄な部分と、開始早々に悪役が判明しちゃう点。特に後者は結構残念でした。

何でも裏で糸を操る人間がいればいい、ってわけじゃないですが、黒幕的なものがいないのはそれはそれで寂しいな、と。特にちょっと小物感ある敵役だったので余計に。

それと、結構な数のアリがうじゃうじゃ出てくるので、虫系が苦手な人は結構ダメかもしれません。僕はこの人海戦術的な感じが今までのヒーローとはちょっと違って面白かったんですが。

一応デフォルメされてはいるものの、アメリカンなデフォルメなのでイマイチ効果を発揮していない感じがしないでもないというのがまた。

MVA

主要3人はどの人もとても良くて、かなり悩ましいところです。マイケル・ダグラスは超ブイシーだし。爺になってもかっこいい男は素敵だ。と悩みつつ、この人。

ポール・ラッド(スコット・ラング/アントマン役)

いい男なんだけどいい男過ぎず、応援したくなる感じはこの人の功績かな、と。演技としては突出してどう、って感じもないんですが、逆にその自然体な感じがイイ気がします。

次点でピム博士の娘を演じたエヴァンジェリン・リリー。すこーし歳を感じる雰囲気が残念でしたが、かっこいいし綺麗だしでヒロインとして申し分なし。ただ30代には見えなかったけど。

敵役であるコリー・ストールはちょっと悪っぽさが物足りなかったかな…。この人は「ハウス・オブ・カード」みたいな小物感ある役のほうがウマイ気がする。

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