映画レビュー0645 『ラ・ラ・ランド』

今年劇場3本目、ご存知こちらの映画です。

アカデミー賞はノミネート数史上最多タイだったそうで…さぞやものすごい映画なんでしょう、と期待に胸を膨らませ。ただ、ミュージカルってそんな好きじゃないんだよなーでもこれ観ないと映画ファン失格だよなーという感じで。ゴー。

余談ですがまだ「NO MORE 映画泥棒」のCM変わらないんですかね。楽しみにしているんですが…。まあ今のもノリノリで好きなんですけどね。

ラ・ラ・ランド

La La Land
監督
脚本
音楽
公開
2016年12月9日 アメリカ
上映時間
128分
製作国
アメリカ
視聴環境
劇場(IMAX 2D)

ラ・ラ・ランド

女優を夢見るミアと、素晴らしいジャズを聞かせる自分の店を作るのが夢のセブ。二人はたまたま何度か出会い、やがてお互いを愛し合うようになるが…。

薄っぺらくてダメでした。

5.5

もうねぇ、これほどまであちこちで絶賛されている映画についてケチを付けるのは非常に憚られるんですが…。まあお決まりのごとくさして見に来る人がいるわけでもない映画レビュー界のスラム街ということで、好きなように書きます。

一応軽くご説明すると、映画は「冬」というちょっとしたタイトル表示に始まり、1周した後にまた「冬」に戻って終わります。その間、主人公であるエマ・ストーン演じる女優を夢見るエマと、ジャズ好きを拗らせちゃったライアン・ゴズリング演じるセブが最悪の出会いから(なぜか)恋に落ち、二人で過ごし、危機を乗り越えお互いの夢をつかめるのか…ってなお話で、それを一部ミュージカル仕立てにキラキラお送りする映画でございますよっと。

まず最初に、ミュージカルとしては(個々のシーンの善し悪しは別として)物足りない印象が強く、厳格に「ミュージカルシーンですよ」というようなシーンは数えるほどしか出てきません。多分5~6曲ぐらい(適当な印象)。なので、「ミュージカル映画」として観た場合は「ダンサー・イン・ザ・ダーク」に近い気がしました。あの程度のミュージカル感。いやあれよりももっと少ないかも。そんな感じなので、多分ミュージカル大好きな方は少し肩透かしだろうし、逆に苦手な人は観やすいレベルなのかもしれません。

そんな少なめのミュージカルシーン以外の大半は普通にドラマ。というか恋愛映画。なので、僕はこれは恋愛映画だと思います。一応ミュージカルっていうのはシーンがあまりにも特殊なので、ああいうシーンがいくつか含まれる以上ジャンルとしては「ミュージカル映画」だとは思いますが、観る上での感情の置き所は間違いなく恋愛映画です。これから観るぞ、って人はソコントコロをよく覚えておきましょう。

で、ですよ。

恋愛映画として観るとですね、これがもう箸にも棒にもかからないレベルでクソ。ええ、ハッキリ言いますけどクソです。ひねりがなさすぎ。上の方に「最悪の出会いから(なぜか)」と“なぜか”をカッコ書きで入れましたが、この二人がお互いを意識し始めたであろう重要なシーン、例のポスタービジュアルなんかにも使われている、外燈の下二人が歌って踊るミュージカルシーンですが、ここがもう唐突過ぎてまったく意味不明でした。

一応歌詞としては「とかなんとか言っちゃったりして」的な広川太一郎風(古い)逃げの歌詞にはなっているんですが、それにしてもお互いまったく近付く可能性を見出だしていない状況からのアレは唐突過ぎる。「そういうところがわからないから独り身なんだバカ」とか言うのはやめて差し上げろ。

ミュージカルでキラキラさせているので勘違いしがちなのはわかりますが、あんなのもう感情的には「タイプじゃないけどかわいいしヤリたいからお持ち帰りする」合コンみたいにしか見えなかったっすよマジで。

まあ、いいでしょう。そこは。そこは説明不足として許容しましょうよ。完璧な映画なんて無いわけだし。

が、そこに目を瞑って二人が付き合い始めてからの話だけを切り取っても…まあひどい。純粋な恋愛映画としてこの映画を観たら、誰もが「へ?」ですよ。

もう展開としてはコッテコテだし、結末も想像通りでしか無いし。こうした方が観ている方の感情を揺さぶる、だからこっちの結末で、みたいな選択理由までモロに見えてくる。

これはねー、ちょっとどうなのと。

ネタバレにならないように書きますけども、だったらまだ逆の展開にしてくれた方が良かった。結末自体の好き嫌いではなく、「クソな恋愛話だけどまあまだこの終わり方なら許せるわ」っていう意味で。ヘタに狙いに行ってる感じが透けてて鼻についたのがすごく嫌ですね。

実話ならまだわかるけどさー、作り物でこの展開は狙いすぎだし、そもそもエンディング前の最も重要なところをすっ飛ばしてるからね。最も脚本の力量が問われるであろうそこを描かずに最後にドン! で「うわーんいい映画ー(泣)」ってバカかよ!! なんでそうなったのかきっちり描いて勝負せいや!!

おっと取り乱してしまいました失礼レーシツ。

ま、そんなわけで「めんどくさいんで書かないけども最終的にはショック狙いましたー」的にいい加減な流れで意外性を挟み込もうとした感じ、大嫌いでした。今思えば、すでに監督の前作「セッション」でもその予兆はあった…のかもしれない。まだあっちの方がわかったけど。こっちはいくらなんでも手抜き過ぎる。

音楽自体は悪くはなかったと思います。特にオープニングの高速道路でのミュージカルシーンはとても素敵でした。その後のミア宅も良かった。ってことは段々尻下がりだったのかもしれない。

ただ、音楽の力を感じるという意味では、ミュージカル映画に限らず他にもっと印象的な映画がたくさんあるし、この映画は観終わって大して経っていないのにあまり頭に残らない程度の音楽だった気もします。(僕がこの映画を好きではないからでしょうが)

もちろん、好みもあるでしょうが、率直な印象としては「ミュージカルと恋愛映画を中途半端に繋いでそれっぽく見せた」感じ。どっちも一流を作れないけど、うまく見せる技量で一流(に見える)映画に持っていったような。冷凍うどんと冷凍エビフライでそれなりに食べられるえび天うどんができましたよ、っと。残り物で美味しい料理を作るのは良い料理人ですが、映画でそれをやっちゃイカンぜよ。

まあ、ご多分に漏れず僕はどうも変わっているようなので、世間様の高評価が実際のところなんでしょうが、僕にはとてもとてもそんな手放しで大絶賛できるような映画には思えませんでした。これはもう確信を持って。

でも一応5.5点はあげますよ、っていうのはなぜかっつーと、テンションは徐々に尻すぼみ感あったにせよ途中までは結構ワクワク楽しめたし、あとは単純に主演二人が頑張っていたからです。特にエマ・ストーンのかわいさだけで5.0点はあげられます。あと0.5点をゴズリング、君にあげよう

でもライアン・ゴズリングはこの前の「ナイスガイズ!」の方が演技も映画も良かったし、あっちを観てやってほしいなぁと思いますよ。ワタクシは。

なーんかデイミアン・チャゼルの映画って違う気がするんだよな…。ただ単に合わないだけなのかもしれませんが。「セッション」は面白かったとは思うけど、反面、なんとなく激しいパンチでごまかしてる感じもしたし…。2作続けてちょっとした違和感というか…メッキ加工感を強く感じたので、評価的に次の映画がすごく重要な気がします。最も前2作がえらい評判になっちゃったので、お金にもなるだろうし違うやり方はしないと思いますが…。

ということでですね。おそらく上映終了するまで、総勢3ケタの人にすら読んでもらえないこのネット社会において信じがたいレベルの過疎ブログとしては、「ラ・ラ・ランド」、オススメしません。

やっているうちに「ナイスガイズ!」を観た方が確実に幸せになれます。アンガーリー・ライス、かわいいよ!!

ネ・タ・バ・レンド

まず大前提として、上に書いたようにこの映画は恋愛映画だと思うんですね。

このこと自体は異論を挟む人ってあんまりいないと思うんですよ。恋愛が主でミュージカルが副、っていう。

その上で、僕が引っかかったのは

  • なぜ惹かれたのかわからない
  • なぜ別れたのかわからない

部分。つまり最初と最後がまったく納得できず、こんなの恋愛映画じゃねぇ! と憤ったわけです。

特に別れの部分に関しては、上に書いた通り最も重要な部分であるにも関わらずまったく触れずに一気に時間が進み、ミアが別の人と結婚&出産しているのを観て観客が「あ、別れたんだ」と知るわけですが、なんで別れたのかがサッパリなところに切なげな結末を盛り込んで「辛いねー切ないねー」と思ってね、ってちょっと観客バカにしすぎじゃねーのか、と思ったわけです。

もっと言えば、ラストシーンで二人がお互い目を合わせて「良かったね」的に微笑むじゃないですか。アレもなんか綺麗な物語に見せようとするがためのいかにもなフィクションで気に食わない。

「お互いの夢のために発展的解消で!」的にお別れしたのであればまだわかりますが、とは言え基本的にはどっちかがフッてどっちかがフラれるのが世の常じゃないですか。恋愛って。

もちろんお互いのことを思っているからこその微笑みなんだろうとは思いますが、でもどっちかがフッていたとしたら、もうちょっとなんか後ろめたい感じが出るんじゃないのかなーってちょっと違和感があったんですよね。

まあほぼ間違いなくミアがフッてるんだと思うんですけど、そしたらどことなく「私間違ってなかったよねスマイル」にも感じられ、何いい子ちゃんブッてんだよビッチが、と思わざるを得ません。ただエマ・ストーンはビッチでも好きです。むしろビッチな方が好きかもしれない。ただこれは別の話です。

まあなんというか、きっちり恋愛を描ききる技量が無いのに綺麗に見せよう見せようとしすぎな感じがして。フィクションにそこまで言ってもしょうがないとは思いつつも。

で、結局は別れを描いていないだけに、その辺もわからないじゃないですか。幅を持たせてる展開なので。どっちがフッたのかとか、発展的解消だったのかとか。どっちに取ってもいいお話になっているわけで。

そういうやり方をするべきお話ももちろんありますが、ただそういう展開にするほどの深みを物語に持たせているわけでもないし、単純にことこの映画に関してはただ単に逃げて楽な方に持っていって、ちょっとしたバッドエンドで観客に媚びる、っていうすごい嫌な作りに見えたんですよね。

だから嫌いなんだよ! ばか!!

このシーンがイイ!

個々のシーンで言えば、良いシーンはいっぱいありました。

ミアの部屋でのミュージカルシーンも良かったし、天文台でのシルエットで踊る二人も良かったし…。

でも一番はミアが「I RAN」をリクエストするところとミアがジャズに合わせて踊ってたシーンですね。だってそこが一番かわいかったんだもの。エマ・ストーンが。

ココが○

やっぱりミュージカルはややハードルが高いと言うか、今時好まれ難いジャンルだとは思うので、そういう意味では観やすくて取っ掛かりとしてはいいかもしれません。それでもミュージカルが観たいなら僕は違う映画をオススメしますが。

ココが×

まあ、もうホントに一言で言えば「ストーリーが陳腐すぎ」。これに尽きます。

あとね、予告編で良いところ使いすぎ。あれはひどいよ。予告編であのシーン使っちゃダメだよ。マジで何考えてんの? ポニーキャニオンの仕業?

MVA

ライアン・ゴズリングも相変わらず素敵でございましたが、ただ歌がべらぼうにウマイとかもなく。となるとこの方にならざるを得ません。

エマ・ストーン(ミア・ドーラン役)

まあね、もうかわいすぎるんでね。この方は。

目がカイデー。顔の半分目じゃないの、ってぐらい。世界で2番目にサインが欲しい人かも。と1番目に欲しい人にサインくれ、って言った時のやり取りを想像しながら思いました。

ブリティッシュジョークで「ゲイなのかい?」とか言われながら、みたいな。もちろんヒュー・グラントですよ。知ってるでしょ。

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