映画レビュー0740 『ドクター・ストレンジ』
ということでですね、年始恒例感もあるとかないとかで、「キングスマン: ゴールデン・サークル」を観に行く前にTS●TAYAまで行って8本ほど借りてきました。
我ながら多すぎるだろと思ったんですが、一応スケジュール的に観られないことも無さそうなのと、人様からオススメされてハヨ観なければというのと、インフィニティ・ウォーに備えてMCU補完せねばというのと、いろいろ重なっての8本と。
まずはMCU補完第一弾としてこちらの映画。僕がまだ観ていないのはこれ以外にあと「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」と「マイティ・ソー/バトルロイヤル」ですが、マイティ・ソーはまだソフト化されていないため、とりあえず2本借りてきました。
ドクター・ストレンジ
観たことのないバトルにワクワクするおっさんが年始に爆誕。
MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース…一連のマーベル映画シリーズ)の14作目にあたる映画になります。もう14作目ですか…。今から追うぞ、って人はかなり厳しい感じになってきましたね…。
さて、そんな今作はまた新たなヒーローの誕生話ということで。もう見飽きてんだよバーロー的なことも思いつつですね、正直そんなに期待していませんでした。
多分僕の中で「デッドプール」があまりにも「キャラは良いけど話は普通のヒーロー誕生モノ」って感じで期待外れだったので、もうヒーロー誕生モノは期待できないんじゃないか的な思いがあったんだろうと思われますが、しかしこれがですね。期待していなかっただけに思いの外良かったという感じで。
「ドクター・ストレンジ」というのはまさにそのまま、医者のストレンジさんが主人公です。「ミスター・ストレンジ」とか呼ばれても何度も「ドクター、だ」と訂正する辺り、医者としての誇りが鼻につくぐらい感じられます。
そう、最初はとにかく鼻につく「名医」なんですよ。自分で腕があるのがわかっていて、それを拠り所にしている感じの人物。であるが故に、不注意から起こした事故によって“医者の命”とも言える指先の繊細な動きが不可能になってしまったことで、どん底まで落とされる…というのがスタートのお話。
様々な治療法を試すも効果がなく、いわゆる西洋の先進医療に見放されたところで、「かつて半身不随だったのに普通に歩けるようになった男がいた」という話を聞いてその彼自身に話を聞きに行ったところ、「カマー・タージで修業したらこうなったのさ」ということで彼もそのカマー・タージへ行き、そこで師となるエンシェント・ワンに出会って魔術を教わり、医者に戻るつもりが(ありがちですが)世界を救う戦いに巻き込まれていく…というお話です。
「巻き込まれる」のはありがちではありますが、ただ自らヒーローになろうともしていない、ただ医者としてもう一度名声を取り戻したいと思っているだけの人物が、魔術の能力が高いっぽいことから自然と戦いに巻き込まれ、結果的にヒーローとして誕生しましたよというのは割とMCUとしては変化球なスタートのような気がします。そんな経緯なので特に高い正義感を持っているわけでもなく、なんならちょっと嫌な奴なんじゃねーの系の匂いすら漂ってはいたんですが、やはりその出自故か他のヒーローよりも知的な雰囲気があり、なんだかんだやっぱり差別化出来ている辺りがこれまたさすがにすごいわね、と。
話自体もやや「メッセージ」感もあったりして、当然ながらあそこまで込み入った難しい話ではないんですが、それでも時間軸やら時空やら「普通に見える世界の外の話」が多いので、MCUの中では最も知的で広がりを持ってそうに見えるお話だったのがまず良かったですね。
見た目としても予告編でお披露目されていた通り、ちょっと「インセプション」っぽい街ごとゴワゴワ動かしてーのバトルだったりして、これがかなり新鮮ですごくてですね。もう単純に「うわこんなバトル観たこと無いなー」って感じで面白かったです。いかにもスーパーヒーローモノらしい、普通ではないバトル感が強くて。
興を削がないために言及は避けますが、特にラストバトルはかなり斬新なものだったのでもう単純にそのバトルを観ているだけで「すげーな、映画の表現もココまで来たんだな」みたいな進化を感じる良さがありましたね。さすがマーベル、とんでもなくお金がかかっているものと思われます。
そんな世界的な良さと見た目の派手さに加え、やや抑圧した知的キャラを演じるカンバーバッチに、激強師匠のエンシェント・ワンを演じるティルダ・スウィントン、敵役にはマッツ・ミケルセン、ヒロインはレイチェル・マクアダムス、そして兄弟子として重要な役割を担うのが我らがローラでおなじみのキウェテル・イジョフォーという豪華なメンバーがまたすごく良かったですね。
割と今までのヒーローモノは「これから売っていく役者さん」がメインで、ところどころ味のある役者さん+通好みのベテラン役者を配置するようなイメージが強かったですが、この映画はそういう今後に期待的な人よりもすでに評価の定まった実力派が集まった映画という意味でこれまた他のMCU作品とはやや趣が違う感じがあり、そこがまた贅沢感みたいなものを感じさせて良かったと思います。
当然ながら続編も作られるようですが、何よりインフィニティ・ウォーへの参戦もあることを考えると、やっぱりMCUを追う人たちは観るべきだと思いますが、「一応観とかないと」というレベルとしては結構良い意味で期待を裏切る力の入った作品なだけに観て損はないのではないでしょうか。僕としてはもうね、ヒロインがレイチェル・マクアダムスっていうだけで観てよかったですけどね。別にサービスシーンはないんですが。知的ヒロインとしてこの上ない人選なので大満足でした。
このシーンがイイ!
上に書いたラストバトルはもちろん、その前の某アレとのやり取りのシーンも良かったですね。絶対伝わらないと思いますが、若かった頃に観てトラウマのように記憶に残った「世にも奇妙な物語」のある1エピソードっぽい展開に震えました。
あとはエンシェント・ワンが技を使うシーンはどこも強そうな感じが出ててワクワクしましたね〜。
ココが○
ここに来てまだ新しい形でヒーローを誕生させるのはやっぱり素直にすごいなーと思います。正直もうヒーローばっかりいいでしょって気持ちも無いことはないんですが、そう思ってても「面白かったなー」って思わせる力量はやっぱりすごいぞマーベルと。
あとはもう、単純に映像として他にない作りなのが素晴らしい。ほんの10年ぐらい前だと考えられない映像だと思うんですよね。進歩の度合いがえげつない。
ココが×
単体として観たときには特に無いと思います。「いつものやつでしょ?」という冷めた目を見事に覆してくれました。
ただ、結局「また地球の危機かよ」みたいなのはもちろんあります。もうしょうがないんですけどね。宇宙に地球を狙うやつらいすぎじゃね? っていう。そういう感覚はどうしてもある気はします。
MVA
そんなわけで今回はなかなかキャスティングが良くてですね。カンバーバッチも思ってた以上に似合ってて良かったし、正直人選がズルいぐらい良い人をあてた感が強いティルダ・スウィントンにしたい気持ちもありつつ、結局この人。
レイチェル・マクアダムス(クリスティーン・パーマー役)
ストレンジの同僚で元恋人。つまりは女医なわけですが、ここ数年の知的ヒロイン的ポジションを確立したレイチェル・マクアダムスにまさにぴったりな職種なわけですよ。おまけに(魔術絡みで)驚いたりの演技もベリーキュートということでもはや結婚に迷いなし。お待ちしております。こねーよ。