映画レビュー0708 『デッドプール』

レンタル3本目。去年結構話題になった映画の一つですね。一周遅れで観ました。

もう完全に勘違いしていたんですが、僕はこの映画もMCUの一環だと思っていて「観なきゃ」と焦り気味に借りたものの、この映画はX-MENの系譜に連なっている(8作目)ようでMCUとは関係がない模様。無念。X-MENはまだ1作も観ていないので順番違いにもほどがあるだろ、と思いますが。

ただX-MEN自体は昔ゲームから入ってそれなりに知識もあったので、その辺は特に心配もなく観られたのは良かったかなとどうでもいい情報で始めましょう。

デッドプール

Deadpool
監督
ティム・ミラー
脚本
原作
ファビアン・ニシーザ
ロブ・ライフェルド
出演
モリーナ・バッカリン
エド・スクライン
ブリアナ・ヒルデブランド
音楽
公開
2016年2月12日 アメリカ
上映時間
108分
製作国
アメリカ
視聴環境
TSUTAYAレンタル(ブルーレイ・TV)

デッドプール

正義感ゼロの「傭兵ヒーロー」デッドプールの誕生物語。

キャラに頼りすぎ?

7.0

ご存知無い方のために超ニワカ野郎がご説明しておきますと、元々デッドプールというキャラクターの一番の特徴は「第四の壁を無視する」ところにあります。

この「第四の」というのは、簡単に言えば視聴者・読者等の観客側と、デッドプールのような劇中に登場するキャラとの間にある壁のことで、要は彼自身「マンガのキャラ」「映画に出ている」ことを理解していて、「第四の壁」越しに語りかけてくるキャラクターという超特殊な設定があるわけです。

この映画でも観客に話しかけたり「127時間」のネタバレに言及したりX-MENのプロフェッサーXを演じる役者について言及したりとやりたい放題で、この映画を観て「きゃーいろいろ思い切ったこと言っちゃっておもしろーい」と思うかもしれませんが、それは別にこの映画の功績というわけではなく、単純にデッドプールというキャラそのものが元から持つ特性なわけです。

昔カプコンから出ていた格ゲーでも確か体力ゲージを持って攻撃したりとかしていました。だからもうある意味でこのキャラクター自体が反則ものなんですよね。当然面白いです。振り切ったキャラなので。

映画はデッドプールが目の敵にしている男を追うシーンから始まります。そこから彼がなぜその男を目の敵にしているのか、そしてそもそもどうやってデッドプールになったのか、を前日譚的に振り返りつつ現在に戻り、そしてメインとなるバトルに入っていくという流れ。

デッドプールを演じているのはライアン・レイノルズ、そうあの“無かったこと”にされた「グリーン・ランタン」の主人公も演じていた彼です。「グリーン・ランタン」の時にも「よくこんな近く(同じようなコミック由来のヒーロー)の役を射止めたね」的なことを書きましたが、逆にこれはもう完全にそれありきで採用したっぽい気がしますね。最初に書いた「第四の壁」的に、グリーン・ランタンに触れられる美味しさ込みで採用した感じで。

ただグリーン・ランタンでのオーソドックス(で面白みの薄い)マッチョアメリカン的なキャラとは違い、しっかりとある種反則的なコメディヒーローをしっかり演じていたところを観ると、なかなかいいチョイスをしたようにも思います。

話を戻しましょう。

元々特殊部隊上がりのチンピラ的な男だったウェイドは、日々「自分よりも弱い悪党」を懲らしめることで日銭を稼ぎ、ストリッパーのヴァネッサと良い感じになって幸せも絶頂…のところで末期がんが発覚、途方に暮れます。そこに怪しいリクルーターの男から「がんを治せる」と誘われ、人体実験に参加したところミュータント(突然変異の能力者的な存在)として覚醒、「強烈な再生能力を持つ不死身の肉体」を手に入れデッドプールとなりますが、その副作用で全身がただれ醜い外見に。そのためにヴァネッサに会うこともできなくなってしまったウェイドは、醜い外見を隠すようにマスクを付け、実験を主導し「私ならその顔も治せる」と言っていたミュータントのフランシスを執拗に追い始める…というお話。

ちなみにオープニングの時点ですでにデッドプールとしてそれなりに知る人ぞ知る的な存在にはなっていたようで、あまりにも傍若無人で周りを考えない彼に対し、X-MENに入れるという形で更生及びハンドリングしようとX-MENの一員であるコロッサスも話に加わってきます。

コロッサスもねー、懐かしいですね。カプコンの初代X-MENでよく使っていました。投げの後に投げ、拾って投げてまた投げでKO、とかひどいキャラでよく爆笑したもんです。(どうでもいい情報)

まあそんなわけでですね、簡単に言えばデッドプール誕生の物語+因縁の対決という感じの物語。やはり元となるキャラがキャラなので、それなりに過激だしそれなりに下品です。若干ですがスプラッタ寄りな描写もあるので、苦手な方はやや注意が必要かな、と。まあとは言え「アメコミの延長線上」みたいなものなので、そこまで気にするものでもないでしょう。

基本的に「ヒーロー誕生の物語」は大体それなりに面白いんですが、この映画はまあやっぱりデッドプールその人のキャラが濃すぎるので、そのお楽しみの「誕生譚」みたいな部分はややあっさり目&さして面白みのない内容ではありました。そもそもそこに重きを置いていない感もあり、裏を返せばそこが弱いから他で膨らませたのかもしれないですね。

そういう面も含めてですが、最後まで観て考えると「デッドプールのキャラ外したら普通すぎねーか?」というような内容なので、果たして卵が先か鶏が先か、良くも悪くもデッドプールのキャラ頼みの映画であることは確かでしょう。

悩み→きっかけ→ヒーロー→対峙という流れはもうこの手のヒーローモノすべてのフォーマットに乗っかったものなので、そのフォーマットとの違いにキャラしか無い、というのはなかなかしんどい気はします。面白かったのは面白かったんですけどね。

多少X-MENと絡むとは言え、MCUのような他の作品とつながる世界の広がりが無い以上、単純にこの作品内部で「キャラオシだけのいつものヒーロー映画」っていうのはさすがにちょっとべた褒めする気にはなれないかな、と思います。僕は。

世間的にはかなり高評価っぽいし、事実デッドプールのキャラはかなり貴重なんですが、そんなわけで映画としては「普通のヒーローモノ」の範疇ではないかなと思います。さすがにこれだけヒーローモノが溢れている状況だと、もう少しキャラ以外に他と違う何かが欲しい。

ただ、くどいようですがデッドプールのキャラはかなり貴重で他にない類のものなので、今後他の(X-MEN)シリーズに登場させる時はかなり良いポジションを獲得しそうな予感はあるし、そのためのご紹介映画、言ってみればこの映画自体が前日譚みたいな立ち位置の映画になるのかなという気もします。

まあ、そもそもデッドプール自体が能力的に地味(この映画を観る限り再生能力だけ?)なので、能力的な面白さを見せられない分、キャラ勝負に頼らざるを得ないのは仕方がない面もあるんでしょう。

ということで、X-MENシリーズを追っているなら観ておいた方が良いような気はしますが、そうでない人はMCUだけでヒーローモノは十分じゃないの、と勝手なご意見。

これでMCUにも出てくればねー。俄然面白くなってくるんですが。

ただむしろデッドプールはこの破天荒なキャラで(二次創作含めた)あちこちに顔を出して引っ掻き回すのが楽しかったりするので、映画そのものよりも「デッドプールというキャラを知ってちょっとした登場を楽しむ」ために食前酒的に観ておく感じで良いのかな、とも思います。

最近のネットではトムホ版スパイディと絡む創作漫画をよく見かけるんですが、そういうものをより楽しめるようにするためのツール、みたいな。

あくまで本編は「それなり」だと思うので、その程度の割り切りの元に観る感じでいいのかなと思います。

このシーンがイイ!

オープニングの車内バトルはなかなか面白い映像ですごかったですね。

ココが○

やっぱり一番は「デッドプールってこういうやつだよ」というご紹介的な意味合いだと思うんですよね。急に出てくると妙に鼻につく感じがしそうだし、一度メインの映画を作って理解させておく、っていう段取り的にはとても価値があるような気がします。

ココが×

やっぱりストーリー的に見慣れたものでしかない点でしょうか。意外性がないというか。

MVA

そんなわけでライアン・レイノルズもとても良かったと思いますが、今回はこちらのお方に。

モリーナ・バッカリン(ヴァネッサ役)

今作のヒロイン。

やっぱり主役が主役なので、他のヒーローモノのヒロインよりもちょっと大人でエロくてアウトローな感じ、ピッタリハマっていたと思います。

この人は連続ドラマの「HOMELAND」の時点でエロいなちくしょうと思っていたので、映画でも楽しめて大変ありがたき幸せと。アラフォーに見えない小悪魔感もいいですね〜。

あとバーのマスター役のT・J・ミラーもとても良かったですね。ベタですがああいう脇役も大事です。

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