映画レビュー0035 『ディファイアンス』
[2017年追記]
追記ももう書くことが無くなってきたよね。(早)
この映画はMVAにリーヴ・シュレイバーをチョイスしていますが、後年「スポットライト 世紀のスクープ」でも選ばせて頂きました。この時の役とはまったく違う、それこそ180度違う役柄で、「スポットライト」を観た後に「ああ、ディファイアンスの!」と思い出してびっくりした記憶があります。
継続的に映画を観ていると、いろいろとそういうつながりが出てくるのがまた楽しみの一つなんですよね。古い映画に親父が出てた、とか。
この映画は他にも「リトル・ダンサー」のジェイミー・ベルが出ていたりするので、これまた今観るとちょっと違った印象を持ちそうな気がします。
ディファイアンス
地味だけどまじめなドラマに仕上げているのが◎。
実話を元にした戦争映画と言うのは少なくありませんが、映画というもの自体が娯楽なだけに、演出過多なものも結構ある気がします。
その点この映画は、もちろん多少は脚色されているんでしょうが、全体的には非常にまじめで地味な作りです。戦争映画とは言え、戦闘シーンよりも集団の生活や人間模様に重きを置いています。そこがすごくよかった。
迫害とは、ひいては戦争とはどういうものなのか、そして自由とはどういうものなのか、そういったものをじっくり考えさせてくれる映画ですね。
特に中盤に出てくる結婚式のシーンは、意味合いとしてはすごくハッピーなんですが、いかに自由が大切で、でも大変なのかということと、過酷な状況に順応して希望を見いだしていく人々の強さというものを象徴したシーンに感じられて、「人ってすごいなぁ、強いなぁ」と涙が出てきちゃいました。
ここだけに限らず、背景にいろんな「人間の性質」を語らせている場面があって、地味ながら深い映画だなぁと思います。
あとは、主演のダニエル・クレイグ。
ちょっとした演説チックなシーンがありますが、あそこでこの先もっと大物になるんじゃないか、と感じるものがありました。歳を取っても渋い名優として、良い役をやっていけるんじゃないかな、と。
ただかっこいいだけじゃないんですよね。
力強さやオーラがあるから、悪役としてもハマりそうだし、今も一流ですが、作品に恵まれればこの先もっと上のランクに行けるんじゃないかな、と思います。
ココが○
乱暴な言い方をすれば、ハリウッド=商業主義的なイメージもあると思いますが、そういう匂いがまったくしない、とにかく実直な作りの印象。
それ故地味なんだけど、その分より実話という部分が際立ってきて、じわじわと名作感が胸に残りました。
役者陣も、本当にメジャーなのはダニエル・クレイグぐらいですが、他の役者陣もすごくよかった。
とにかく「戦争は悲惨だ」というのはお決まりのように言われますが、そういう思いを広げるためにも、こういったまじめな戦争映画は大切だと思います。
ココが×
くどいようですが地味なので、向いてない人には向いてないと思います。
終わり方も割とサラッとしているので、劇的な盛り上がりには欠けるでしょう。
逆に言えば、そういう点を入れてしまうともうこの映画の良さは無くなると思いますが。
MVA
当然ダニエル・クレイグ…と言いたいところですが、
リーヴ・シュレイバー(ズシュ・ビエルスキ役)
にしときます。
ソ連軍に入った弟役。
彼もすごく力強いオーラを持ってましたね。他の弟もみんなすごくよかったです。顔は誰一人似てなかったけど。